粟村政昭 論争史


クール・ストラッティン論争


牧歌ジャズ論争


テスト盤論争
先日、某掲示板を読んでいると、「粟村政昭って奴はレコード会社からサンプル盤が送られないと点数を辛くするって豪語した奴」云々という書き込みを目にしました。事実や真実というものは必ず誤解されるものですから、こういう発言を気にしていると、切りがありませんが、今となっては、その典拠を確かめることも困難でしょうから、一言しておきます。
この誤解は、『スイングジャーナル』誌で毎年行われている「ジャズ・ディスク大賞」の選考を巡って、当時、評論活動を行っていた慶応大学教授(英文学)の鍵谷幸信氏が『スイングジャーナル』1977年3月号(288頁)に書いた一文に端を発しています。引用すると、
「本誌2月号の「ジャズ・ディスク大賞」の投票と選考後記における粟村政昭氏の感想は、まさしく暴言以外のなにものでもない。氏は書いている。「…ただし、テスト盤の来なかった東芝、コロンビアの候補作については、プロモーションというものについて公平を期す意味で、悪いけれど、選考の対象から、はずした」。これはいったいどういうことか。氏はここ数年同じ趣旨のことを書いている。粟村氏はまずなによりも怠慢である。候補作品がレコード会社から送られて来なかったからといって、全く無視するというのは、批評家なる者当然レコード会社からテスト盤は送られてくるもの、という前提に立っている。(中略)ヒヒョウカにはテスト盤を送るべきだと氏は考えているようだが、思い上がりも甚だしい。(後略)」
これに対して、翌4月号(290頁)に、粟村氏の「鍵谷幸信氏に答う」という文が寄せられています。
「小生が、テスト盤の来ないレコードは聴かない――などとは、妄想もいいところ。当方では、テスト盤など来ようが来まいが、目ぼしいレコードは大抵その前に輸入盤で聴いています。投票するとかしないとかは、それとはまったく別の話。スイング・ジャーナル社が主催し、各レコード会社が協賛するという建前で<ジャズ・ディスク大賞>の催しがある以上、建前を無視した商業主義のありかたが指摘されるのは当然と思いますが…。(後略)」
さらに翌5月号には、氏の「論敵(?)」である岩浪洋三氏の「粟村氏の文に一言」という文章も掲載されています。
従って、客観的に見れば、元気はいいが多少思慮に欠ける所のある鍵谷氏が、「ジャズ・ディスク大賞の選考の際にテスト盤が送られてこなかった」という粟村氏の趣旨を「普段からテスト盤が送られてこなかった会社は」と誤解した上で、無用の論争を挑んだ、という所でしょう。
実際にレコードのライナー・ノーツにしても、氏は自分が好きな作品しか解説を書かないというスタンスですし、雑誌のレコード評でもレコード会社への苦言も多く、レコード会社の顔色を窺うという様子は全くありません。むしろ、こんなことを書いたらレコード会社に嫌がられるだろうなという発言ばかりです。『スイングジャーナル』1972年1月号のお笑いコーナーには「粟村政昭氏=ライナー・ノーツの申し込みが殺到中。近く休診日を現在の毎週金曜から思い切って月水金にする予定。」などと書かれています。もちろんこれは反語です。


海賊盤論争

付録
アール・ハインズ論争

書いても、余り楽しくないので、当座は放置。いつか書きます。


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