(E)歪みの深さと中音域周波数特性
オーバードライブ系エフェクターの、歪みの深さと周波数特性との関係をシミュレーションで確認してみましょう。 実測した結果は(E)(R)実測:歪みの深さと中音域周波数特性を参照してください。
(E)結果の早わかりまとめ
最初に回路シミュレーション結果から分かる結論をまとめておきます。 詳細を確認したい場合はさらに読み進んでください。
  • オーバードライブの歪みを深くするほど中音域(300Hz - 1kHz)が盛り上がった特性になる。
  • フェクター ON でオーバードライブ状態にしているときは、低音域や高音域よりも中音域が重要になる。
  • 心地よく深い歪みサウンドを出すには、中音域のトーンバランスに注意する。
(E)シミュレーション条件
等価回路(E)
現在生産されていない「TURBO Over Drive」系の黄色いエフェクターの「歪み回路部分」をシミュレーションします。 回路図上に赤枠で囲った部分のダイオードで、信号波形をクリップさせることで歪みを生成しています。 ダイオード2個と1個を逆方向に組み合わせた非対称系のクリップ回路になっています。 また緑枠で囲った部分がローパスフィルターになっていて、高音域をカットしています。

Ef_Tr_Ovd_OD2
シミュレーション条件(E)
DRIVEつまみ調整 10段階
(E)シミュレーション結果(周波数特性)
DRIVEつまみ調整 10段階
電圧特性 VoutdB (青): ローパスフィルターをかけた後の周波数特性
電圧特性 Vt3dB (赤): ローパスフィルターをかける前の周波数特性

ローパスフィルターをかけた後の信号がエフェクターからの出力されるので、 「電圧特性 VoutdB (青)」を確認しましょう。
周波数特性グラフを見ると、歪みを深くするほど中音域(300Hz - 1kHz)が盛り上がった特性になっています。 エフェクター ON でオーバードライブ状態にしているときは、低音域や高音域よりも中音域が 重要なことが分かります。

よって心地よく深い歪みサウンドを出すには、中音域のトーンバランスに注意すると良いでしょう。 具体的には、ギターやアンプのトーンコントロールで中音域を削り過ぎないようにします。 深い歪みと中音域特性との関係が分かっていれば、意識して調整できます。

またエフェクター ON でオーバードライブ状態にしているときは中音域重視なので、 (E)トランジスタ入力回路タイプのカップリングコンデンサで確認した、 入力カップリングコンデンサによる低音域カットは問題にならないと言えます。 (低音域カットが気になるのはエフェクター OFF 状態、かつバイパス回路でない場合です)

Ef_Tr_Ovd_dB_OD2