(E)トランジスタ入力回路タイプの周波数特性
トランジスタを使ったエフェクター入力回路の、周波数特性を回路シミュレーションで確認してみましょう。 着目するのはトゥルーバイパス回路でないタイプのエフェクターで、エフェクトを OFF したときの周波数特性です。 エフェクト OFF のときは、余計な音への影響が無いことが理想的です。

なおエフェクト ON のときの周波数特性は、求めるエフェクト(オーバードライブやワウなど)に応じで変わるので、 ここでは比較対象にしません。
(E)結果の早わかりまとめ
最初に回路シミュレーション結果から分かる結論をまとめておきます。 詳細を確認したい場合はさらに読み進んでください。
  • 接続しているだけで、低音域がカットされるエフェクターがある。
  • 2台直列に接続すると、低音域カットも2倍になる。
  • レコーディングやライブ会場ではイコライザーにより、ギターの低音域をカットする場合があるので さほど気にしなくてもいいかも知れない。けれども意図していない音の変化は無い方が良い。
(E)シミュレーション条件
等価回路(E)
現在生産されていない「TURBO Over Drive」系の黄色いエフェクターです。 エフェクトを OFF しているときの周波数特性が知りたいので、「オーバードライブ OFF 状態」 の回路でシミュレーションを行います。 Ef_Tr_Input_OD2
シミュレーション条件(E)
入力回路のカップリングコンデンサ容量 0.022uF
(E)シミュレーション結果(周波数特性)
「オーバードライブ OFF 状態」の周波数特性
電圧特性 Vtrout (青):カップリングコンデンサ直後のトランジスタ出力
電圧特性 Vout(赤):エフェクター出力

周波数特性グラフを見ると、100Hz付近から低音域がカットされているのが分かります。 エフェクターを接続しているだけで、音が変わるので注意が必要です。

例えば、6弦開放での周波数 82.407Hz 付近のグラフを見てみると、約 0.5[dB] 下がっています。
エフェクターを2台直列に接続すると、低音域カットも2倍(1.0[dB])になります。 なので3台直列に接続すると(1.5[dB])、聴覚上でも変化が分かると思います。

レコーディングやライブ会場ではイコライザーにより、ギターの低音域をカットする場合があるので さほど気にしなくてもいいかも知れません (ベースとの音の分離をよくするために、ギターの低音域をカットするのだと思います)
けれどもけれどもエフェクターによる意図していない音の変化は無い方が良く、 知識としても憶えておきましょう。

カップリングコンデンサ容量が小さいほど、この低音域をカットする範囲が広くなります。
ベストセラーになっている「Blues Driver」系歪みエフェクターの場合、 カップリングコンデンサの容量が大きいので、低音域カットはわずかで問題無さそうです。

有名なワウの回路では、入力カップリングコンデンサ容量が 0.01uF になっているようです。
低音域がカットされますが、ワウ ON 状態では中音域重視なので問題になりません。

Ef_Tr_Input_OD2_dB