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Moni der Geisbub(ヤギかいのモニ)1886

第五章 モニがふたたび歌うとき


   現代ドイツ語文はThe Project Gutenberg からの著作権フリーデータを使用しました。  
「モニ」について (5)   
御礼です。 翻訳について (3)   
  


現代文
原文
作業用単語
5. Kapitel      
Moni singt wieder Moni singt wieder モニは 歌う 再び モニがふたたび歌うとき
       
Paula hatte angeordnet,  Paula hatte Befehl gegeben,  パウラは した 命令   パウラは、翌朝に早く起きたかったので、モーニングコールを注文しておきました。

 やぎかいの男の子がきたら、その場で直接あって話したいことがあったのです。
dass man sie am fruehen Morgen wecken sollte.  dass man sie am fruehen Morgen wecken sollte,  ということ 人は 彼女に おいて より早い 朝  起こす してほしい
Wenn der Geissbub kaeme, wollte sie selbst mit ihm verhandeln.  denn sie wollte auf dem Platze sein, wenn der Geissbub kaeme; sie wollte selbst mit ihm verhandeln. というのは 彼女は 〜するつもりだった 上で その場所 、〜のとき やぎ飼い 来る、彼女は 〜するつもり 自身 一緒に 彼に 交渉する
Am Abend hatte sie noch eine lange Unterredung mit dem Wirt gehabt  Am Abend hatte sie noch eine lange Unterredung mit dem Wirt gehabt  おいて 晩 だった 彼女は 更に ある長い 話し合い 一緒に 主人と 持った  昨日の夕方に、じっくりとホテルの主人と打ち合わせをしてありました。
und war dann sehr befriedigt aus seiner Stube herausgekommen.  und war dann sehr befriedigt aus seiner Stube herausgekommen.  そして だった そのとき とても 満たされた 〜の中から 彼の 居間 外に出てきた  話が終わってご主人のリビングルームから出てきたパウラは、とても満足そうです。
Sie musste etwas Erfreuliches mit ihm ausgemacht haben. Sie musste etwas Erfreuliches mit ihm ausgemacht haben!  彼女は ちがいなかった なにか (中から外へ)うれしそうに 一緒に 彼に 取り決める   なんでしょう?
 思わずニコニコしてしまうことを、ご主人と決めてきたに、ちがいありません !
       
Als der Geissbub am Morgen mit seiner Herde herankam,  Als der Geissbub am Morgen mit seiner Herde herankam,  〜のとき やぎかいの少年 翌朝に 一緒に 彼の群れ 近寄ってくる  朝になって、やぎかいの少年がヤギたちと一緒に近よってきたときには、
 もうパウラは建物の前に立っていて、さけびます。
stand Paula schon vor dem Haus und rief:  stand Paula schon vor dem Haus und rief:  立った パウラは もう 前に その家の そして 呼んだ
>>Moni, kannst du denn immer noch nicht singen?<< <<Moni, kannst du denn immer noch nicht singen?>>  モニ できる きみは それじゃ 相変わらず 否定 歌う? 「モーニーッ。

 あなたまだ歌えないのー ?!」
        
Er schuettelte den Kopf:  Er schuettelte den Kopf:  彼は 振った その頭を  少年は首をふります。
>>Nein, ich kann's nicht, <<Nein, ich kann's nicht. 否定 私は できる否定 「だめなんだ。
 ボクできない。
 ich muss jetzt immer an das Maeggerli denken,  Ich muss jetzt immer an das Maeggerli denken,  わたしは しなければならない いま いつも おいてメーギリ 考える  いつだって、ちいちゃんのことを考えてるよ。

 あとどれくらい、あいつとボクはいっしょに牧場にいけるだろうかってね。
wie lange es noch mit mir geht.  wie lange es wohl noch mit mir auf die Weide gehen wird.  〜のように 長く それを 気分よく まだ 一緒に 私に 上に 牧場へ いける 〜なるように
Ich kann nicht mehr singen, solange ich lebe, und hier ist das Kreuz.<<  Ich kann nicht mehr singen, solange ich lebe, und hier ist das Kreuz.>>  私は できる 否定 もう 歌う、〜しているうちは 私が 生きている、そして ここに あり その十字架  もう、これからもずっと歌えないよ・・。
 えっと・・、十字架はこれです」
       
Damit uebergab er ein kleines Paeckchen,  Damit uebergab er ihr ein kleines Paeckchen;  それを持って 手渡した 彼は 彼女に ひとつの 小さな 包みを  少年は、パウラに持っていたちいさな包みを手渡しました。

 それはおばあさんが、紙で三重にも四重にも、ていねいにつつんでありました。
denn die Grossmutter hatte es ihm sorgfaeltig in drei oder vier Papiere gewickelt. denn die Grossmutter hatte es ihm sorgfaeltig in drei oder vier Papiere gewickelt.  というのは おばあさんが それを 彼に 念入りに 中に 3 あるいは 4 紙(複) 巻きつけた
       
Paula schaelte das Kreuz aus den Huellen heraus  Paula schaelte das Kreuz aus den
Huellen heraus 
パウラは 皮をむいてとりだした その十字架を 〜から その包み 外へ  パウラはつつみをひらいて、十字架を外に取り出し、くいいるようにみつめます。
und betrachtete es genau.  und betrachtete es genau.  そして じっとみた それを 厳密に
Es war wirklich ihr schounes Kreuz mit den funkelnden Steinen und voullig unversehrt. Es war wirklich ihr schounes Kreuz mit den funkelnden Steinen und voullig unversehrt.  それは だった ほんとうに 彼女の 美しい 十字架 一緒に それらの きらきら輝く 石(複) そして まったくの 無傷の  それは確かにパウラのものです。

 きらきら光る宝石がいくつもついた素晴らしい十字架で、傷一つありません。
        
>>So, Moni<<, sagte sie nun freundlich,  <<So, Moni>>, sagte sie nun freundlich,  感嘆 モニ 、言った 彼女は いま 感じのよく 「そうね、モニ・・」
 彼女はうれしそうに言いました。
>>du hast mir eine grosse Freude gemacht,  <<du hast mir eine grosse Freude gemacht,  きみは 私に 大きな うれしさ もたらした 「あなたは、わたしにすっごくいいことしてくれたの。
denn ohne dich haette ich wohl mein Kreuz nie mehr gesehen.  denn ohne dich haette ich wohl mein Kreuz nie mehr gesehen.  というのは 〜なしに きみを 私は たぶん 私の 十字架を 決して〜ない もう 見る  だってモニがいなかったら、わたし、きっと、二度とこれを見ることがなかったもの。
Nun will ich dir auch eine Freude machen.  Nun will ich dir auch eine Freude machen:  今度は 〜するだろう 私は きみに また ある うれしいことを つくる  今度は、わたしがあなたに、いいことをする番ね。
Geh, hol das Maeggerli dort aus dem Stall, es gehourt jetzt dir!<< Geh, hol das Maeggerli dort aus dem Stall, es gehourt jetzt dir! >> 行け、 かわいい そのメーギリ あそこに 〜の中から 小屋の、それ(こやぎ)を 〜のものである 今 君に !  いってきてちょうだい。
 ちいちゃんを小屋からつれてくるのよ。
 もうあなたのヤギになってるんだから !」
       
Moni starrte das Fraeulein mit einem Erstaunen an,   Moni starrte das Fraeulein in einem Erstaunen an,  モニは じっと見つめた その お嬢さん 中で ある 驚き  モニはびっくりして、お嬢さんをみつめます。
als sei es unmouglich, ihre Worte zu verstehen.  als sei es unmouglich, ihre Worte zu verstehen. 〜より である それ ありえない、彼女の 言葉 〜するために 理解する  思いもかけない言葉に、何をいわれたのかわからなかったんです。
Endlich stotterte er:   Endlich stotterte er:  やっと どもって言う 彼は  やっとのことで、つまりながら言いました。
>>Aber wie ? wie kounnte das Maeggerli mein sein?<< <<Aber wie - wie kounnte das Maeggerli mein sein?>> しかし 〜のように どうして 〜できるのか メーギリは 私に ? 「でも、ど、どうしてちいちゃんがボクのなんだ?」
       
>>Wie?<< wiederholte Paula laechelnd,   <<Wie?>> wiederholte Paula laechelnd,  どうして 繰り返した パウラは ほほえんだ 「どうしてって?」
 にっこりしてパウラがかえします。
>>sieh, gestern abend hab ich es dem Wirt abgekauft  <<sieh, gestern abend habe ich es dem Wirt abgekauft,  見ろ 、昨日の 晩 私は それを 主人に 買い取った (過去完了) 「わかってちょうだい。
 きのうの夜に、わたしがご主人からちいちゃんを買い取ったの。
und heute morgen schenke ich es dir. und heute morgen schenke ich es dir.  そして 今日の 朝 贈る 私は それを 君に  それから今日になって、わたしはあなたに贈るっていうこと。
 Kannst du jetzt wieder singen?<< Kannst du jetzt wieder singen?>> できる? 君は ちょうど 再び 歌う  ねえ、また歌ってくれるでしょ?」
       
>>Oh!<< stiess Moni hervor   <<Oh, oh, oh!>> stiess Moni heraus  感嘆、感嘆、感嘆 ぶつけた モニは そとに 「わ、わ、わぁ !」
 モニはうれしくてびっくりです。
und rannte wie ein Unsinniger auf den Stall zu,  und rannte wie ein Unsinniger auf den Stall zu,  そして 駈けた 〜のように 大変に 〜に 家畜小屋に   いきなりばたばたとヤギ小屋へ駆け出して、ちいちゃんを外に出すと、抱えあげます。
zog das Geisslein heraus und nahm es auf den Arm.  zog das Geisslein heraus und nahm es auf den Arm.  ひきだす こやぎを そとへ そして 取り上げた それを 上に 腕に
Dann kam er zurueckgesprungen  Dann kam er zurueckgesprungen,  それから 来た 彼は とびあがりながら戻る  そして、はずむようにもどってきます。
und streckte dem Fraeulein seine Hand entgegen  streckte dem Fraeulein seine Hand entgegen  伸ばした お嬢さんに 彼の 手 に向かって  手をのばして握手をして、何度もお礼をいいます。
und sagte immer wieder:  und sagte ein ums andere Mal:  そして 言った ein umsandere Mal繰り返し
>>Ich danke tausendmal! Vergelt's Gott!  <<Ich danke tausend, tausendmal! Vergelt's Gott!  わたしは 感謝する 千回、何千回も 、どうもありがとう(vergelte es Gott南部方言 神がそのことであなたに報いをたまわれんことを!→どうもありがとう) 「ありがと。何千回だって言うよ。本当にありがとう。
 あなたにもいいことが、きっとありますように !」
(天の祝福が(あなたに)ありますように!)
Und wenn ich Ihnen nur einen Gefallen tun kounnte!<< Und wenn ich Ihnen nur einen Gefallen tun kounnte!>> そして 〜するときに わたしは あなたに ただ〜だけ 喜ぶように する できる  ボク、あなたになんでもいいからお礼がしたい !」
     
>>Dann sing mir dein Lied<<, sagte Paula.  <<So, jetzt stimm einmal an.  そう、今 歌い始める 一度 「だったら歌ってみて。
  Wir wollen doch sehen, ob es wieder klingt! >> sagte Paula. 私たちは するつもりです  やはり わかる、かどうか それが ふたたび ひびくのか 、言った パウラは    みんな、あなたの声が前と同じかどうか聞きたいはずよ」
 パウラはいいます。
       
Da stimmte Moni sein Lied an   Da stimmte Moni sein Lied an  そこで 歌い始めた モニは 自身 歌を  こうしてモニは、自分の歌をうたいはじめたのです。

 それからヤギたちを山の上に連れて行きます。
 ヨーデルが谷間いっぱいにひびきわたります。

 それはホテルにいる人みんなに聞こえて、
 眠っていた人が何人も寝がえりしてつぶやきました。
und zog nun den Berg hinauf mit den Geissen,  und zog nun den Berg hinauf mit den Geissen,  そして ひいた 上へ 今度は 山に 一緒に その山羊たち
und seine Jubeltoune schmetterten so ins Tal hinab,  und seine Jubeltoune schmetterten so ins Tal hinab,   そして 彼の 歓喜の音 力任せに投げつける そのように 谷の下へ
dass im ganzen Badehaus keiner war, der sie nicht hourte.  dass im ganzen Badehaus keiner war, der sie nicht hourte,  その結果 中の すっかり 温泉旅館 だれも〜ない だった 、それらは 彼らは 否定 聞いた
Und mancher drehte sich auf seinem Kissen um und sagte:  und mancher drehte sich auf seinem Kissen um und sagte:  そして 幾人もの 向きが変わった (回帰) において 彼の まくら そして 言った
>>Der Geissbub hat wieder gute Laune.<<  <<Der Geissbub hat wieder gut Wetter.>> そのやぎかいは もった ふたたび よい 天気(機嫌)  「あのヤギかい、元どおりになったんだなぁ」
       
Es freute aber alle, dass er wieder sang,   Es freute aber alle, dass er wieder sang,  それは 喜んだ でも みんな、というのは 彼は再び 歌った  モニがまた歌いだして、みんなニッコリします。

 だって、そのまま起きるにしろ、また寝床にもどるにしろ、気分よく目をさまされるのが、みんなのおなじみだったんです。
denn sie hatten sich alle an den frouhlichen Wecker gewouhnt,  denn sie hatten sich alle an den
frouhlichen Wecker gewouhnt, 
というのは 彼らは みんな おいて 楽しげな めざめ 慣れていた(過去完了)
die einen zum Aufstehen, die anderen zum Weiterschlafen.  die einen zum Aufstehen, die ande-ren zum Weiterschlafen. 彼らは ある 〜ために 起きる、別の さらに先に眠る
Als Moni oben von der ersten Houhe das Fraeulein immer noch unten vor dem Haus stehen sah,   Als Moni oben von der ersten Houhe das Fraeulein immer noch unten vor dem Hause stehen sah,  〜したとき モニは 上に 〜から その 最初の 高み その お嬢さんへ あいかわらず 下に 前に その 家 立っているのを 見た  モニが山から帰ってきて、最初に目に入ったのは、下の方の建物の前にいつもと同じように、女の子が立っていることです。

 まだまだ遠くけど、パウラに向かって、せいいっぱいの大きな声で下に歌いかけました。
trat er extra weit hinaus  trat er besonders weit hinaus  あゆみよる 彼は ことさら 遠く 向こうに
und sang hinunter, so laut er konnte: und sang hinunter, so laut er konnte: そして 歌った 下に、そのように 大きい 彼は できる
        
>>Und so blau ist der Himmel, <<Und so blau ist der Himmel,    ♪空はなんて 深い青
  うれしいボクは 天にものぼる
Und ich freu mich fast zu Tod!<< und i freu' mi fast z' Tod.>>
       
Den ganzen Tag ueber sang der Moni  Den ganzen Tag ueber war in Monis Mund nur ein Freudenjauchzen.  それを すっかり 一日 の上の方に だった 中に モニの 口  ただ〜だけ うれしさ-歓声を上げる  ずっと一日中、空に近いところにいて、
 モニの口は、よろこび、さけんでばかりいました。
und alle Geissen wurden angesteckt von seiner Frouhlichkeit  Alle Geissen wurden angesteckt  すべての やぎたちは 〜なった 感染した(うつった)  ヤギたちにそれが伝わって、みんな、ぴょんぴょんあたりをとびまわり、はねまわり、まるで大きなお祭りみたいです。
und huepften und sprangen umher.  und huepften und sprangen umher,  そして ぴょんぴょんとぶ そして はねる あたりいちめんに
Es war, als ob ein grosses Fest gefeiert wuerde.  als waere ein grosses Fest da oben. 〜より だった ある 大きな お祭り その 高い方に
     
Die Sonne schien frouhlich vom blauen Himmel herunter.   Und die Sonne schien so frouhlich vom blauen Himmel herunter,  そして 太陽は 輝く とても 上機嫌の 〜から 青い 空 下に、  太陽はまっ青な空にサンサンと輝き、

 イヤになるほど降った雨も、野の草たちをシャキッっと元気にさせて、

 黄色や赤のとてもきれいな花をさかせていました。
Und nach dem grossen Regen waren auch alle Kraeutlein frisch  und nach dem grossen Regen waren auch alle Kraeutlein so frisch und die gelben  そして 〜へ その 大きな 雨 だった また すべての 草々 とても みずみずしく
und die gelben und roten Bluemlein glaenzten.  und roten Bluemlein so glaenzend. そして 黄色や 赤の 花々 とても すばらしい
       
Moni glaubte, Berg und Tal   Dem Moni war's, als habe er Berg und Tal   モニに だった そのよう、〜したとき 彼が 山や 谷や  モニの目には、
 山や谷や、この世界のすべてが、

 これまでないほど、とってもきれいに見えてくるのでした。
und die ganze Welt noch nie so schoun gesehen zu haben.  und die ganze Welt noch nie so schoun gesehen. そして すべての 世界を いまだかつて決して〜な い そのように 美しく 見せた
Sein Zicklein liess er den ganzen Tag nicht aus den Augen.   Sein Zicklein liess er den ganzen Tag nicht von sich weg. 彼の 子やぎは させた彼に 一日中 否定 〜から 自身 離れる  少年のものになった子ヤギは、一日中、手元から離しませんでした。
Er zog ihm die besten Kraeutlein aus   Er zog ihm die besten Kraeutlein aus  彼は 抜き出す 彼に 一番の 草を  いちばんいい草を集めて、たべさせて、何回でも言いました。
und fuetterte es und sagte immer wieder:  und fuetterte es und sagte immer wieder: そして えさをあげる それ そして 言った くりかえし
       
>>Maeggerli, du gutes Maeggerli, du musst nicht sterben,   <<Maeggerli, du gutes Maeg-gerli, du musst nicht sterben,  メーギリ、君は 元気な メーギリ、君は しなければならない 否定 死ぬ 「ちいちゃん、元気なちいちゃん。
 おまえ死なずにすんだんだ。
du bist jetzt mein und kommst mit mir auf die Weide hinauf,  du bist jetzt mein und kommst mit mir auf die Weide hinauf,  君は です 今 私の そして あがっていく 一緒に 私に 上で その牧場   今はぼくのになったよ。

 一緒に山の牧場に登っていくんだ、ぼくらが生きてるあいだずっと・・。」
solange wir leben.<<  solange wir leben.>> の限りは、 わたしたちが 生きてる
Und mit schallendem Singen   Und mit schallendem Singen  そして 一緒に 響く 歌は  モニの歌とヨーデルは、夕方におりていくまで響きわたります。

 ちいちゃんの母親のクロヤギを小屋にもどした後で、
 モニは子ヤギを腕にだきあげ、とうとう自分の家へと、つれていくんです。
und Jodeln kam Moni auch am Abend wieder hinunter.  und Jodeln kam Moni auch am Abend wieder herunter,  そして ヨーデルを 降りてくる モニは また 夜に 再び
Nachdem er die Schwarze zu ihrem Stall gefuehrt hatte,  und nachdem er die Schwarze zu ihrem Stall gefuehrt hatte, そして したあとで 彼は そのクロ(ヤギ) 〜に 彼女の 小屋 連れて行った
nahm er das Zicklein auf den Arm, es kam ja nun mit ihm nach Haus.   nahm er das Zicklein auf den Arm; es kam ja nun mit ihm nach Haus.  とりあげる 彼は 子やぎを の上に 腕の、それ(コヤギ)は 来た そうです 今 一緒に 彼と 家へ
Das Maeggerli machte auch gar keine Anstalten,  Das Maeggerli machte auch gar keine Miene,  メーギリは 〜だった また 全然〜ない 表情、  そしてちいちゃんも、母ヤギと別れるのがイヤなようすを見せません。

 それどころかモニにぴったり体をよせてきます。
 だれが、自分を一番大切にしてくれるのかわかっているんです。
als wollte es lieber dableiben,  als wollte es lieber dableiben,  〜したとき 〜しようとした それは より好んで そこにとどまっている
sondern schmiegte sich an den Moni.  sondern schmiegte sich an den Moni an  そうではなく 体をすりよせる 自身 きわへ モニの
Bei ihm fuehlte es sich geborgen,  und fuehlte sich unter dem allerbesten Schutz.  そして 感じた 自身 下へ その最良の 保護
denn Moni hatte es ja schon lange besser  Denn Moni hatte es ja schon lange besser  というのは モニは 持った それを そうだ すでに 長く よりよい  だってモニは、ちいちゃんを、ずっと前から、本当のお母さんよりももっとていねいに、もっと優しくしてくれるんです。
und zaertlicher behandelt als die eigene Mutter. und zaertlicher behandelt als die eigene Mutter.  そして 愛情のこもった 取り扱い 〜よりも その自分自身の 母親
       
Als aber Moni zu der Grossmutter kam,  Als aber Moni so bei der Grossmutter einzog,  〜したとき でも モニは そのように 〜の近くに おばあさん おろす  そしてモニはちいちゃんを、おばあさんのところで肩から降ろします。

 おばあさんはそれをみて、どういうことなのか、さっぱりわけがわかりません。
sein Maeggerli auf der Schulter,  sein Maeggerli auf der Schulter,  である ちいちゃん 上の 両肩の
da wusste diese gar nicht, was geschehen war.  da wusste diese gar nicht, was sie sah,  それは 知っていた これを 全然〜ない、だった 彼女は わかった
Denn Monis Rufen:  und Monis Rufen schon von ferne:  そして モニの 叫びは すでに 遠くから  モニの大声は、家からずっとから離れたところからとどいていました。
>>Es gehourt mir, Grossmutter, es gehourt mir!<<  <<Es gehourt mir, Grossmutter, es gehourt mir! >> それは 〜のものである わたしに、おばあさん、 「この子はボクのものなんだ。
 おばあさーん。
 ボクのなんだよー !」
erklaerte ihr die Sache noch lange nicht.   erklaerte ihr die Sache noch lange nicht.  説明した 彼女に そのことを まだ長く (否定)  おばあさんに説明するのに、長くはかからないはずです。
Aber Moni konnte noch nicht erzaehlen.  Aber Moni konnte noch nicht
 erzaehlen. 
でも モニは できた まだ 否定 物語る  でもモニはまだくわしく話しません。
Erst lief er zu dem Stall  Erst lief er nach dem Stall,  最初に 走る 彼は 〜へ その家畜小屋  最初に少年がやったのは、家畜小屋に走っていって、自分の家の茶色ヤギのすぐとなりに、寝るところを作ったことです。

 子やぎがさびしくならないよう、新しいワラで、きれいにやわらかく作ります。

 そこに寝かせて、モニは言います。
und dort, hart neben der Braunen,  und dort, hart neben der Braunen,  そして そこで、すぐ 〜の隣に 茶色の 
damit es sich nicht fuerchte, machte er dem Maeggerli ein schounes,  damit es sich nicht fuerchte, machte er dem Maeggerli ein schounes,  〜するために それ 自身 否定 恐れる、作った 彼は メーギリに ひとつの美しい(立派な)
weiches Lager aus frischem Stroh.  weiches Lager von frischer Streu,  柔らかい 収容所 〜の 新鮮な 寝藁
Er legte es darauf und sagte:  legte es darauf und sagte:  横たえた それを(こやぎ) その上に そして 言った
>>So Maeggerli, nun schlaf gut in der neuen Heimat.  <<So, Maeggerli, nun schlaf gut in der neuen Heimat!  そうかい メーギリ、今度は 眠る よく 中で 新しい 故郷 「ほら、ちいちゃん、いまからここが新しいおうちだよ、ぐっすりおやすみ !
So sollst du's immer haben,  So sollst du's immer haben.  そうして 〜してほしい 君は そのように いつも   そうさ、おまえはずっとそうするんだ。
alle Tage mache ich dir ein neues Bettlein.<< Alle Tage mache ich dir ein neues Bettlein! >> すべて 日 もつ 私は きみに ひとつの新しい 小さなベッド  毎日ボクは、おまえに新しい寝床を作ってやるよ !」
       
Erst jetzt kam Moni zu der verwunderten Grossmutter zurueck,   Erst jetzt kam Moni zu der verwunderten Grossmutter zurueck,  最初に 今 もどって来た モニは 〜に 不思議がっている おばあさん  やっとモニが、ふしぎそうにしているおばあさんのところに戻ってきます。

 そして晩ごはんをいっしょに食べて、どうしてこうなったか、これまでのことをひとつのこらず話しはじめました。

 この三日間くるしいばかりだったこと、
 そして今日の幸せなしめくくりについてです。
und wie sie nun zusammen bei ihrem Abendessen sassen,  und wie sie nun zusammen bei ihrem Nachtessen sassen,  そして どうして 彼女が 今や 全部 〜のところで 彼女の〜に 夕食 座った  
erzaehlte er ihr die ganze Geschichte von Anfang an.  erzaehlte er ihr die ganze Geschichte von Anfang an,  説明した 彼は 彼女に そのすべての 物語 〜に はじめ
Er berichtete von seinen drei kummervollen Tagen  seine drei kummervollen Tage  彼の 3 苦悩にみちた 日々
und dem heutigen beglueckenden Schluss.  und den heutigen beglueckenden Schluss.  そして 今日の 幸福な 終わり
Die Grossmutter hourte ganz still  Die Grossmutter hourte ganz still  祖母は 聞いた 全体を 静かに  おばあさんは、モニの話すことを、静かに注意深くききました。

 そして、聞き終わったときに、とても大切なことをいうんです。
und aufmerksam zu, und als er zu Ende war, sagte sie ernsthaft:  und aufmerksam zu, und als er zu Ende war, sagte sie ernsthaft:  そして 注意深く、そして 〜したとき 彼が 〜へ 終わる だった、言った 彼女は 重大な
>>Moni, wie es dir jetzt gegangen ist,  <<Moni, wie es dir jetzt gegangen ist,  モニ、どうして それは 君に 今 進んだ 「モニや。
 どうしてそんなことがおまえにおきたのか、
 一生、わすれてはいけませんよ !。
daran sollst du immer denken.  das musst du dein Leben lang im Sinn behalten!  それを しなければなりません きみは きみの 人生 にそって 中に 意味 保持する
Waehrend du dir Sorgen um das Geisslein machtest,  Waehrend du dir den schweren Kummer mit Unrecht-Tun machtest,  〜の間 きみは きみに その 重たい 心配事 一緒に よくない-行い した  おまえが、子ヤギを助けようと、よくないやりかたをしてしまい、心が重くて苦しかったあいだに、
hatte der liebe Gott ihm schon lange geholfen  um dem Tierlein zu helfen,  〜のため その小動物 助けるために
und dir zur Freude einen Weg gefunden.  hatte der liebe Gott schon lange ihm zur Hilfe  持った 愛する神様は 確かに ずっと それ(dasコヤギ)に 助けるために  私たちを愛してくださる天のお方は、ちゃんと子ヤギをたすけ、おまえを幸せにするやり方を、みつけていてくださったんだよ。
Er hat dir geholfen, weil du dein Unrecht eingesehen hast.  und dir zur Freude einen Weg gefunden.  そして 君に 〜への 喜びの ある道(方法) 見つけた
  Du musstest nur erst tun, was vor ihm recht war.  きみは 〜しなければならなかった ただ〜だけ 最初に する、なにが 彼にとって ただしい あった  おまえは、あの方からみて、何が正しいことなのか考えて、それだけを、はじめにやればよかっただけです。
Haettest du sofort recht getan  Haettest du gleich recht getan   だった 君は すぐに ただしい した  正しいことをすれば、たちまち天までとどいて、すべてが良いことにむかっていきます。
und auf Gott vertraut, so waere gleich alles gut gegangen.  und auf Gott vertraut, so waere gleich alles gut gegangen.  そして 前に 神の 知られています、それは だった 同じ すべて 良い 行った
Jetzt hat der liebe Gott dir so sehr geholfen,  Jetzt hat der liebe Gott dir so ueber alles Verdienen geholfen,  いま 愛する 神は きみに そのように おいて すべて 功労報酬・値する(しうち) 手伝った  いまもあのお方は、おまえにこうやって、すべてをふさわしいように与えてくださいました。
dass du es dein Leben lang nicht vergessen darfst.<< dass du es dein Leben lang nicht vergessen darfst.>>  〜ということ きみは それを きみを 生涯 期間 否定 忘れる してはなららない  それをけっして忘れてはなりませんよ」
     
>>Nein, ich will es auch nie vergessen<<, sagte Moni mit eifriger Zustimmung,  <<Nein, ich will es auch gewiss nie vergessen>>, sagte Moni mit eifriger Zustimmung,  いいや、私は 〜するつもりだ それを また 確かに 決して〜ない 忘れる、言った モニは 一緒に 熱心な 同意 「うん、ボクはゼッタイに忘れない。」
 力をこめてうなづきます。
>>und gewiss immer gleich denken:  <<und gewiss immer gleich denken:  そして 確実に いつも 同じに 考える 「これからは、ちゃんと思い出すよ。
Ich muss nur tun, was vor dem lieben Gott recht ist,  Ich muss nur tun, was vor dem lieben Gott recht ist,  私は 〜しなければならない ただ〜だけ 行う、何を 〜に 愛する神 ふさわしい ある  ボクは、あの方の子供としてふさわしいことだけを、すればいいって。

 他はおまかせすれば、すぐにみ心のままに、ちゃんとしてくださるから心配ないし。」
das andere bringt er schon in Ordnung.<< das andere bringt er schon in Ordnung.>> それは 別のこと もたらす 彼は すでに 中に 正常 +in Ordnung bringen〜を直す
       
Bevor aber Moni sich schlafen legen konnte,  Bevor aber Moni sich schlafen legen konnte, 〜する前に しかし モニは 自身 眠る 置いた できた  モニは眠ろうとする前に、もういちどヤギ小屋の中で、自分の子ヤギをうっとりとみつめます。

 こんなことが、本当にあったかどうかをたしかめます。

 子ヤギは、そこで眠っていて、やっぱり自分のものになったんです。
 
 
musste er noch einmal in den Stall   musste er noch einmal in den Stall  〜ちがいなかった 彼は まだ 一度 中に 家畜小屋の
und sein Geisslein anschauen,  und sein Geisslein anschauen,  そして 彼の こやぎを 注視する
ob es auch wirklich mouglich sei,  ob es auch wirklich mouglich sei,  〜かどうか それが また ほんとうに 起こりうる ある
dass es draussen liege und ihm gehoure. dass es draussen liege und ihm
angehoure. 
〜というのは それは 離れて 横たわっていて そして 彼に 所属している
       
Der Jourgli bekam seine zehn Franken,  Der Jourgli bekam nach Versprechen seine zehn Franken;  イェクリは 得た 〜にならって 約束 彼の 10 フランケン  イェクリは約束どおり、10フランを手に入れました。
aber so leicht sollte er denn doch nicht von der Sache loskommen. aber so leicht sollte er denn doch nicht von der Sache loskommen. しかし そのような 軽はずみ 〜という運命にあった 彼は というのは やはり 否定 〜から その問題 離れて自由になる  でも、ちょっとした出来事のはずが、いつまでも、彼につきまとうことになりました。
       
Als er wieder ins Badehaus kam,   Als er wieder ins Badehaus kam,  〜とき 彼が 再び 温泉旅館へ 来た  イェクリがその次にやってきたとき、温泉館の主人の前にひっばりだされました。
wurde er vor den Wirt gefuehrt.  wurde er vor den Wirt gefuehrt.  〜になった 彼は 前に 主人の 連れて行かれ
Er nahm den Buben beim Kragen,  Der nahm den Burschen beim Kragen,   彼(主人)は とる その 若者を のもとの 首・命  そして、主人はイェクリの首のあたりをつかまえて、ガクガクゆさぶり、おどかして言うんです。
schuettelte ihn tuechtig und sagte bedrohlich:  schuettelte ihn tuechtig und sagte bedrohlich:  振った 彼を たっぷり 、言った 危険をはらんだ
>>Jourgli! Jourgli! Versuch du kein zweitesmal mehr,  <<Jourgli, Jourgli! Versuche du kein zweites Mal mehr,  試みる 君は 否定 第2の 回 もう 「こら、イェクリ !
 オレの温泉館の評判を落とすようなことを、2度とやってみろ。
mein ganzes Haus in Misskredit zu bringen!  mein ganzes Haus in Verruf zu bringen.  わたしの ぜんたいの いえ 中に+in Verruf bringen…の評判を落とす
Kommt noch ein einziges Mal so etwas vor,  Kommt noch ein einziges Mal so etwas vor,  起こる まだ ある 比類ない つど そのような なにか  次にまた、一度でも変なことをおこしてみろ、
 そしたらおまえに「これ」で思い知らせてから、オレの館からたたきだしてやる。
so kommst du auf eine Art aus meinem Haus hinaus, die dir nicht gefaellt!  so kommst du auf eine Art zu meinem Haus hinaus, die dir nicht gefaellt!  それは 外に出る きみは あるなにかのようにして 〜から 私の家、それは きみに 否定 気に入る
Sieh, dort oben steckt ein ganz kraeftiges Weidenruetchen fuer solche Faelle.  Sieh, dort oben steckt ein ganz
zuegiges Weidenruetchen fuer solche
Faelle. 
見ろ、そこで 上に 差しこんだ(あるスイス方言) ひとつの まったく 丈夫な(スイス方言) 柳の小枝 〜ために そのような 事件 「見てみろ。
 その上にあるのが、そんな時のためにぴったりの、じょうぶな柳の小枝のムチだ。(次はひっぱたくぞ)
Jetzt geh und denk dran!<< Jetzt geh und denk dran! >> 今 行け そして 思え それについて  さあ、いっちまえ。
 そしてよーく考えとけ !」
       
Aber noch eine Folge hatte der Vorgang fuer den Buben:  Aber noch eine Folge hatte der Vorgang fuer den Buben:  しかし まだ ある 連続 持った その出来事は おいて その少年に  でも、この事件には続きがあって、まだ終わらないのです。
Wenn von nun an irgend etwas im Badehaus verloren gegangen war, rief die ganze Dienerschaft sofort:  Wenn von nun an irgend etwas im Badehause verlorengegangen war, gleich rief die ganze Dienerschaft:  〜するときに 〜から 今や 〜の際に 何か あるもの 中で 温泉旅館 失われる あった、すぐに 呼ばれる すべて 召使たち(召使+集合)  このときから温泉館の中で、何かがなくなると、すぐに働いている人たちみんなが叫びだします。
>>Das hat der Jourgli von Kueblis!<<  <<Das hat der Jourgli von Kueblis!>>  それは 持っている イェクリが キュブリスの 「それはキュブリスのイェクリが持ってるぞ !」
Und kam dieser nachher ins Haus, so drangen sie alle miteinander auf ihn ein und riefen:  Und kam dieser nachher ins Haus, so drangen sie alle miteinander auf ihn ein und riefen:   そして 来た これらの人は 後で 中へ 家、そのように しつこくせきたてる 彼らは すべて いっしょに 〜上へ 彼を そして 呼ぶ  それから、ものを失くした人たちが家へおしかけて、みんながみんな、わーわーと、やかましくせきたてます。
>>Gib's her, Jourgli! Gib's heraus!<< Und wie sehr er auch versicherte,  <<Gib's her, Jourgli! Gib's heraus!>> Und wie er auch versicherte,  あたえろ それを こちらへ、イェクリ あたえろ 外へ
 そして どのように 彼は また 断言する
「それだせよ、イェクリ !
 かくしてんじゃないよ !」

 イェクリがどんなに、持ってないといっても、知らないといっても、だめでした。

 みんなが少年を大声で責めたてます。
er habe nichts und wisse nichts, sie schrien ihn alle an:  er habe nichts und wisse nichts, sie schrien ihn alle an:  彼は もった けっして〜ない、そして 知っている けっして〜ない、彼らは 大声でどなりつける 彼を みんな
>>Dich kennt man schon! Uns betruegst du nicht!<< <<Dich kennt man schon! >> und: <<Uns faengst du nicht! >> 君を 知っている 人は すでに、そして、わたしたちを わなにかける 君は 否定」 「おまえがどんなやつか、だれだって知ってらあ !」
 そしてこうです。
「おれたちは、おまえなんかにゃだまされないんだ !」
       
So hatte der Jourgli immer die bedrohlichsten Angriffe zu bestehen  So hatte der Jourgli fortwaehrend solche Angriffe zu bestehen  そのように だった イェクリは 継続した そのような 攻撃 〜ために 存続する  こんなイェクリをなじる声は、消えることなくつづいて、気が休まるときがありません。

 だって、だれかが自分のところへ向かって歩いてくるのをみるだけで、すぐこんな質問しにやってきたのかと、思ってしまうのです。

「おまえ、あんなのとか、こんなのを見つけなかったか?」
und hatte fast keinen ruhigen Augenblick mehr.  und fast keinen ruhigen Augenblick mehr;  そして ほとんど 否定 平穏な 瞬間 もう
Denn wenn er jetzt nur jemand auf sich zukommen sah,  denn wenn er jetzt nur jemand auf sich zukommen sah,  というのは 〜するときに 彼は 今 ただ〜だけ だれか 〜の上へ(四格) 自身 向かってくる みる
so glaubte er schon, der komme, um ihn zu fragen:  so glaubte er schon, der komme, um ihn zu fragen:  そのように 思った 彼は すぐに、その(男)が 来て、ために 彼を 〜ために 尋ねる
>>Hast du nicht dies oder das gefunden?<< <<Hast du nicht dies oder das gefunden?>>  君は 否定 それらを あるいは それ(中性)を 見つけたか ?
 So war es dem Jourgli nie mehr recht wohl zumut,  So war es dem Jourgli nie mehr recht wohl zumute,  そのように だった それは イェクリに 決して〜ない もう 適切な よい 気分にさせるist+zumute  この仕打ちは、イェクリをイヤーな気持ちにさせます。

 そして何度も何度も、思い返すんです。
und hundertmal dachte er:  und hundertmal dachte er:  そして 100回(何度も) 思った 彼は 
>>Haette ich doch jenes Kreuz auf der Stelle zurueckgegeben,  Haett ich doch jenes Kreuz auf der Stelle zurueckgegeben!  わたしは いいえ!  例の 十字架 その 上へ(4格)場所 返却する 「あの十字架をその場で返しておけばなあ ! 

 もう絶対に、自分のものでないものを、手元においたりするもんか」
in meinem ganzen Leben behalte ich nichts mehr, das mir nicht gehourt.<< In meinem ganzen Leben behalt ich nichts mehr, das mir nicht gehourt.  中に 私の 非常に 一生 手元に保持しておく 私は けっして〜ない もう、それは 私に 否定 〜に属している
       
 Der Moni aber hourte den ganzen Sommer nicht auf zu singen und zu jodeln,   Der Moni aber hourte den ganzen Sommer nicht auf zu singen und zu jodeln,  その モニは ところで やめた その 全体 夏 否定 〜上に 〜のために 歌う そして 〜ヨーデルを歌う  その一方でモニは、夏のあいだずっと、歌をうたい、ヨーデルを口ずさむことを、やめることはありません。
denn er fuehlte sich so wohl da oben bei seinen Geissen,  denn es war ihm so wohl da droben bei seinen Geissen
wie kaum einem anderen Menschen auf der Welt. 
というのは それは だった 彼に そのような よい その天上で 〜の近くで 彼の ヤギたち 、どのように ほとんど〜ない ひとりの 別の 人々 〜において 世界  山の高いところで、ヤギたちといるのは、世界じゅうのだれにもまけないくらい、気持ちいいんです。
wie kaum ein anderer Mensch auf der Welt. 
Aber oft, wenn er so in seiner Zufriedenheit ausgestreckt auf der Felsenkanzel lag  Aber oftmals, wenn er so in seinem Wohlsein ausgestreckt auf der Felsenkanzel lag  しかし しばしば、〜するときに 彼は そのように 中に 彼の 健康・幸せ 伸ばす 上に その 説教壇岩 横たわった   でもときどき・・

 つくえ岩の上でのびのびと手足をのばして、きぶんよく寝ころがり、

 日あたりのいい明るい谷を見下したりするときに、
und in das sonnige Tal hinabschaute,  und in das sonnige Tal hinabschaute  そして 中に その 日当りのよい 峡谷 下をながめる
musste er daran denken, musste er daran denken,  〜しなければならなかった 彼は それに関して 思った  あのつらい日日のことを、

 心が重たいかたまりで押しつぶされて、

 「雨の岩」でしょんぼりとすわりこんで、楽しいことなんか、なにもなくなった日々のことを、

 どうしても思い出してしまうんです。

 だからそのたび、口の中でつぶやきます。
 wie er damals mit seinem schlechten Gewissen unter dem Regenfelsen sass. wie er damals mit seinem schweren Gewicht auf dem Herzen auf dem Regenfelsen gesessen hatte  〜のように 彼は 当時 一緒に 彼の 重たい おもり 上に 彼の 心に 上に 雨の岩 座っている だった
und alle Freude aus war,  そして すべて 喜び 終わっていた
 Und er sagte jedesmal laut vor sich hin:  und er sagte jedesmal in seinem Herzen:  そして 彼は 言った そのたびごと 中で 彼の 心の
        
>>Ich weiss schon, wie ich's mache, dass es nie mehr so kommt. <<Ich weiss schon, wie ich's mache, dass es nie mehr so kommt:  私は わかっている 確かに、どんなふうに 私は するか、というのは それは 決して〜ない もう そのようなこと やってくる 「ボクはよーくわかった。

 あんなことに、またならないよう、どうすればいいのか。 
 Ich tue nichts mehr, wenn ich dabei nicht frouhlich in den Himmel aufsehen kann,  Ich tue nichts mehr, wenn ich dabei nicht frouhlich zum Himmel hinaufsehen kann.>>  私は する 決して〜ない、もう、〜するときに 私は そのさいに 否定 楽しげな 〜に 天に 見上げる できる  ボクはもう、けっしてやらないよ。

 楽しい気持ちで、きれいな空をみあげられなくなる、っていうことは。
weil es dem lieben Gott so recht ist.<<
       
Geschah es aber, dass der Moni sich zu lange in seine Betrachtungen vertiefte,   Begab es sich aber, dass der Moni sich zu lange in seine Betrachtungen vertiefte,  行った それは 自身 しかし、というのは モニは 自身 〜に 長い間 中に 彼に 考察 没頭する  でも少年が、あんまり長く考えこんでいると、ヤギたちが、気持ちをいい方向に切り替えてくれます。

 「なにかぐあいが悪いのかな?」と心配するのでしょう。

 いつもの自分たちのおつきあいに、もどってちょうだいとやってきて、メエメエ鳴くんです。

 それでも、ときどきは耳にはいらないことがあります。
 
so kam die eine oder die andere der Geissen heran.  so kam wohl eine oder die andere der Geissen heran,  そのように 達した 気分よく または その 変える そのヤギ 
Sie schaute verwundert nach ihm aus  schaute verwundert nach ihm aus  〜のように見えた 傷ついた 〜へ 彼に
und versuchte ihn zur Gesellschaft zurueckzumeckern,  und suchte ihn zur Gesellschaft zurueckzumeckern,  そして 求める 彼に 〜に 社会・交際 元の場所に メエという
was er aber manchmal ziemlich lange nicht hourte.  was er aber manchmal ziemlich lange nicht hourte.  だった 彼は しかし ときどき かなり ずっと 否定 聞こえた
       
Nur wenn sein Maeggerli kam  Nur wenn sein Maeggerli kam  ただ〜だけ 〜するときに だった メーギリが 来た  そんなときでも、ちいちゃんがやってきて、他のヤギたちと一緒になってさいそくするときだけは別です。

 すぐにモニは気がついて、子ヤギのところに、とんでいくんです。
und mit Verlangen nach ihm rief, dann hourte er es gleich.  und mit Verlangen nach ihm rief, dann hourte er es gleich  そして 一緒に 要求 〜へ 彼に 呼んだ、それから 聞いた 彼は それにすぐに
Er lief ihm auch sofort entgegen,  und kam ihm auch auf der Stelle entgegengesprungen,  そして 来た 彼に また 〜の上で 場所 〜に反して 跳んだ
denn sein anhaengliches Geisslein war  denn sein anhaengliches Geisslein war  というのは 彼の 愛着を感じている コヤギ だった  だってモニはちいちゃんが大好きだし、
 これからもずっと、大切にしたいのです。
und blieb Monis liebstes Gut. und blieb Monis liebstes Gut. そして 〜のままである モニの 愛する  高価なもの

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 「やぎかいのモニ」について(5)

 ようやく「やぎかいのモニ」終了です。
 いろいろ感じることはありますが、まずは素直に「モニっていいやつだな」と思いたいです。


 私の感想としては、モニみたいなストレートなお話はずいぶんひさしくというか、子供時代も通して考えてみても、ほとんど読んだことないです。
 初めて読んだとき、「すごく新鮮」に思えました。
 その意味で、究極のおとぎばなしなのかもしれません。

 それから「ぼくは一生歌えないだろう」(原文の意味)というこの言葉は、口がすべったとしても興味深いです。モニの知性の限界、感情の激しさをしめすものでしょう。

 田舎に住み、学校にいけないやぎ飼いの少年を、あまり知性的に描かないのは原作「ハイジ」のペーターにも共通しています。
 そして、子やぎが処分されてしまう問題で、アニメ高畑ハイジのペーターの態度と、モニの態度の落差は比較するべきでしょう。
 高畑ハイジのペーターは、アニメの下敷きの一部になったと思われる「モニ」への批判になるかもしれません。


 それから、個人的にモニには違和感を感じますが、イェクリについてはずっと身近に感じました。
 このあたりは、スピリが見聞きした実際のやぎかいの生活、少年たちのやりそうな行動などが反映しているでしょう。
 その一方、モニの性格の設定は、女性が少年に対して持つ「かくあれかし」といった一種の思い込み・幻想があるような気もします。

 男性から女性をみるばあい、一方的なあこがれ・理想があるように、
 女性から男性をみる時に、男性が男性をみるときに前提としている「ダメな部分」がわからないみたいだ。と思ったりします。(これ以上はいわないほうがいいでしょう)

 モニは、健康で明るく無学で貧乏で、そしてすべてから愛されていて祝福された存在です。
 そのようにスピリはモニを造形し、思い描いているのです。

 モニは、スピリにとっては2年前に失った、裕福で学歴があって病弱だった一人息子をしのび、心のカガミにうつしたいと願った姿のような気もします。

「あの子もこんなふうに元気でいてくれたら・・、音楽が好きだったから、モニのように歌ってヤギと山野をかけまわってくれたなら」

 ベルンハルトは享年29歳ですから、成人して亡くなったのですが、母親は息子の少年時代を理想的に再現して、永久にとどめようとしたのかもしれません。
 そして同時に、すべての少年たちに贈るメッセージを描いたのでしょう。


 「モニ」の結末は、パウラの経済力と気まぐれで、力まかせにおわってしまいます。
 原作ハイジと同じですね。
 このパターンは、スピリ作品の「特徴・仕様」だと思って、目をつぶってください。(゜▽゜;)
 いちいちコメントするのが面倒になってきました。

 面白いのは、大きな地名がすべて実名だということです。
 これらの土地に、スピリは実際に足をはこんで景色を見たのでしょうし、温泉に泊まり歩いて、モニやイェクリみたいな少年と仲良くなったのかもしれません。
 「先生のつくえ岩」や「竜の岩」は本当にあるのでしょうか?

 「ちいちゃん」も本当にいたかもしれません。
 そしてモニの歌った歌は、どんなメロディーでしょう?
 今も歌われているのかもしれません。
 ひょっとしてスピリが作って、やぎかいの男の子に教えたのだったらどうでしょう。

 なんだか、いてもいなくても大して変わらないパウラのおばさんというのは、実はスピリ本人が作中に登場しているのかもしれません。
 文中に、作者自身が直接コメントしているらしい部分もあり、ドキッとしました。
 いろいろ考えると、アルプスの山へ飛んでいきたくなります。

 残念なのは、パウラがモニと一緒に牧場にいかなかったことですが、ハイジとペーターに比べると二人とも年齢が高いので、かえって行かないほうがリアルですね。

 もちろん作者のスピリはどこまでが事実で、だれがモデルで、どこがフィクションか全部わかっていました。

 自分で自分の伝記、自分の作品の解説をすると、どんな少年少女たちを見つめていたか具体名を出さないといけなくなります。
 それが自伝をかかなかった理由の一つとは考えられないでしょうか?
 (定番の妄想です。そろそろこの手のガセネタ情報もあきれ果てられると思いますので、本格的研究書を読み解いて紹介していく予定ではおります・・)


(以下、脱線気味です)



 スピリは「モニ」の結末を感動をもって描こうとしています。

 しかし、キリスト教的色彩をおびていると、モニが「感じていて実際に行う行為の是非(良し悪し)」とは別に、私たち日本人には「うさんくさく」見えてしまい、非現実的なお話になって心に訴えてこなくなります。

 そこで考えてしまうんですが・・
 モニが、「いけないことはいけないんだ。もうこんなことはしない。」
 と考えるのは、日本人にとっても至極もっとも・実に正しいマトモなことです。(断言)

 そしてイェクリのようなことをしたら、
 日本でも(日本でこそ)、あんなふうに扱われかねないし、むしろそのように描かれた19世紀のスイス人たちを信頼できるいい人たちだ。 と評価するはずです。

 イェクリはとっちめないといけません。
 反省してもらわないといけません。
 過去も現在も未来も、東洋でも西洋でも。です。

 日本人にはキリスト教はまったく異質の思想で、本能的反感があるようです。
 これは、日本人と一神教が最初に接触した戦国時代から絶えることなく底に流れていて、わずかな機会をみつけて噴出してきました。

 でも、その日本的特性(クセ)とはまったくかかわりなく、西洋では基本的倫理として機能して、社会秩序がささえられて「公正」「誠実」「正直」といったものを裏側で支えています。

 いうまでもない、きわめてあたりまえなことに、「公正」「誠実」「正直」といった価値は、日本でも重要で、西洋とは別の思想によってこれが実現されています。

 西洋でも日本でも、「理由」はちがえど、「結果」は同じです。
 それどころか、むしろ結果を求めることこそが、本質のように思えます。
 だったら両者が対立する必要はまったくないのです。

 推測になりますが、日本人がキリスト教に対して無意識的反感をつい抱いてしまいやすいのは、私たちを守っている「公正」「誠実」「正直」といったものが、キリスト教という異質な思想によって解体されて、機能しなくなってしまうのを防ぐ本能的反応なのかもしれません。

 いわば日本人の、「正しいこと」を愛する心―まともでありたいという―、
 自分をちゃんとさせておきたい願いこそが、
 異質な思想に危険を感じて排除してしまおうとするのかもしれません。

 もしそうだとすれば、日本人がキリスト教を排撃することは、動機として(だけ)は実に純粋であり、正しいものであって、けっして消えることはないでしょう。

 このことを我々は、「誠実な」西洋人と、友好を深めるときに自覚する必要があると思うのです。

 さて、それではどうやれば「うさんくさく」感じないように、「作者がモニで本当に表現したいこと」を紹介すればいいでしょう。

 ちょっと考えて、すこし迷って(ドースリャイイノカコノワタシ)から「この本」に書いてあることを使わせてもらうことにしました。

 儒教は、飛鳥時代に日本に伝えられてから、日本人の伝統的価値基準の体系にとりこまれて、私たちの文化の一部になっています。(そうとう日本的解釈でゆがんでいるそうですが・・)

 ですからキリスト教的に表現すると抵抗感があることでも、儒教的表現を使えばなじみやすいというのです。

 それで「天」の表現を多く使うことにしました。

 三国志の「我知る 汝知る 天知る 地知る すなわち四知である(隠そうとしても、すでにみんな知っている)」(引用いい加減です)とか、
 昔かたぎの人がいいそうな「人間はお天道(てんとう)様の下をまっとうに歩かなきゃいけない」とかの表現を見ると、なんとなくそうかもな。
 と思わないでもないです。

 少なくとも、「神の意志である」と書くとカチンときますが、
 「それは天の声である」「天命がくだった(天の命令=運命)」と書くと、なぜかスルッと読みすごせるのが文化の面白いところです。

 モニの訳で、これが成功したかどうかは、皆様のご判断を仰がせていただきたいです。

 ハイジ原作も、「Gott」を儒教の「天」の考え方とおきかえて読むと、「感動的お話」として素直に読めますよ。
 もっとも一神教の「Gott」と儒教の「天」とは、まったくちがうものですから、誤読になってしまうんですが・・。


 それにしても、悪事といってもイェクリのやったことが悪い・・ぐらいでとどめておきたいものです。

 今年も終わりに近づいてきましたが、いつもの年と同じように、とんでもないことがいっぱいおきて、見たくないことをいっぱい見てしまいました。

 特にあのロシアの学校の事件は、いったいなんだったんでしょう。
 そして、もっとひどいことも、これから見てしまうはずでしょうし、すべては私たちという人間自身がやってしまうことです。

 人間がやってはならないはずのことを、いつの時代も、あらゆる理屈をつけて、あらゆる方法でリミッターを外して可能にしてしまっています。

 便利なネットを検索すればトホホなことが「浜の真砂より多い」(BY 石川ゴエモン)実例が出てきます。

 19世紀も同じだったのでしょう。

 どうにかして道(あればのハナシ)を踏み外さず、幸せに生きる方法はないか?
 そのために何か自分にできることはないか?

 スピリもそう思っただろうな、なんてぼんやり考えています。

2004/11/8
(ぐちゃぐちゃと蛇足を書いてもうしわけないです。以後自粛予定です。)