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*「戸板康二ダイジェスト」制作ノート・更新メモ、2007年11月更新分(049)を当時のまま載せています。リンク切れはご容赦。




#049
全面リニューアル、再スタート(23, November. 2007)


去年の8月末日以降更新がとまっていた「戸板康二ダイジェスト」をえいっと一から作り直そうとノロノロと改装作業を進めて、ようやく一段落した今日は二の酉、明日は満月。今年の二の酉は一葉忌でもある。"一葉忌ある年酉にあたりけり" という久保田万太郎の俳句を思い出して、いい気分。一葉忌から年末にかけてが一年で一番好きな季節なのだった。

「戸板康二ダイジェスト」が始まったのは2002年8月。かれこれ5年になる。この5年間というもの、日々折りに触れて「戸板康二ダイジェスト」であんなことやこんなことを記事にしたいなというようなことを思ってばかりいたけれども、実質的にははじめの1、2年間のあとは、ほとんど新しい記事は追加されることなく、年譜や書誌をチマチマと追加するにとどまっていた。今度こそ、えいっと一から作り直すのだと、コンテンツを大幅に再構築。後日のためにメモを残すことにして、今回の更新での変更箇所は以下のとおり(リンクは別窓が開きます)。
  1. 「このサイトについて」的なページを新たに追加(About)。2002年8月のサイト開設時に書いた文章は奥に格納して、初心忘れるべからず。
  2. あらたに戸板康二の紹介記事を追加。人物紹介(Introducion_01)は「はてなダイアリー」のキーワード(→ click)の作成時のテキストをほぼそのまま使用した。ブックガイド(Introduction_02)は「Bookish」の戸板康二特集号(2004年1月刊)に寄稿したものをとりあえずほぼそのまま載せているけれども、いくらなんでももうちょっと改稿したい。
  3. 「戸板康二著書リスト」は従前どおり(List_00)。戸板康二の著書がだいぶ手元に集まってきているので、所蔵リストを兼ねている今のかたちを今後は解消せねばとも思っている。以前お遊びでこしらえた戸板康二が解説文を寄せた文庫本リストもここに収納することに(List_01)。このあといろんなリストをこしらえて追懐していきたいものだなア、という願いをこめつつ……。
  4. 「私製・戸板康二年譜」も従前どおり(Chronology)。今後さらに力を入れてゆきたいコンテンツ。
  5. 「戸板康二を語る人々・スクラップブック」も従前どおり(Reference)。こちらは近々大幅に作り直したい。
  6. 他サイトへのリンク集、「戸板康二ブックマーク」は開設以来初めて根本的に作り直した(Link)。もっと網羅的にできたらいいのだけれども手に余るので、ひとまずはこのようなかたちで。なんて、実はまだ制作中(すみません)。近日中にここに掲載のサイトすべてにコメントを付します。
  7. このページ、「制作ノート・更新の記録」は従前どおり。右にある過去ログも、今となっては速攻消してしまいたい恥ずかしいくだりがあるのですが、自戒のためそのまま残しています。ブログ全盛(たぶん)の昨今、あえてブログではなくて、ひっそりとこういう場にちょっとした戸板メモを末永く記録していきたいなと思っている、「ブログ」ではなくて「ウェブサイト」として。なーんて言っている一方で、制作者は「日用帳」というブログ(→ click)を別にやっているのだったが。
  8. コンテンツを整理している過程でもれてしまった過去の単発記事はまとめて「過去の単発記事」に格納。戸板康二のサイトを作りたいと思い始めた頃(2000年9月)に書いた『「暮しの手帖」創刊号の戸板康二』(Archives_01)、これを機に雑誌探索ファイルを続々とアップしたいなと張り切ったもののそれっきりになっていた『キアラの会の雑誌「風景」の戸板康二』(Archives_02)、制作者本人にとっては愛着がある『藤木秀吉遺稿集『武蔵屋本考』のこと』(Archives_03)というラインナップ。以上はすべて2000年と2003年に書いたもの。今後もっといろいろ書いていきたいのがこんな感じの単発記事なのだった。
  9. 隠しファイルとして、串田孫一『日記』(実業の日本社、1982年)の抜き書き(Extract_01)と『折口信夫坐談』の抜書き(Extract_02)。年譜からリンクをはっているので。
というわけで、今度こそ、一からコツコツと作り始めていきたいところ。永遠の目標は、わが長年の愛読サイト、「綺堂事物 - 岡本綺堂案内」。

と、1年以上もブランクがあいてしまった「戸板康二ダイジェスト」のリニューアルがやっと一段落したのと、今年の2月から刊行が始まった、長らく待たれていた創元推理文庫の《中村雅楽探偵全集》全5巻が見事に完結のとがほぼ同時になった(194195196197198)。今まさに、最終巻の第5巻を手にして、大感激しているところ。戸板康二の中村雅楽エッセイ! 日下三蔵の仕事はいつもすばらしい。日下三蔵が手がける本は書誌的に完璧なものばかり。自分の好きな書き手の本を日下三蔵が編集してくれるのは考えうるかぎりの一番幸せなことなのだった。であるので、日下三蔵さんが戸板康二の本を手がけてくれるというのは、戸板康二ファンにとって最高の出来事なのだった。実のところ、戸板康二に夢中になって数年、創元推理文庫として集大成されたことで、初めて戸板さんの雅楽ものに目を見開かされた思い。ところで、帯にある「全巻ご購入の方にプレゼント」は何かしら! と胸を躍らせていたものだったけれども、全巻完結して明らかになったところによると、《著者・戸板康二がエッセイでも度々触れている、江戸川乱歩と初めて出会った座談会「推理小説について」、幻のミステリデビュー作・1951年版「車引殺人事件」などを収録したオリジナル小冊子》とのこと。ワオ! どこまでもすばらしい。発送予定の2008年夏がたいへん待ち遠しい。日下三蔵の名前を知ったのは、講談社文庫の山田風太郎の忍法帖シリーズにハマっていたころ、そのすばらしい解説文に眼福だったのが最初だったかな。戸板康二を知ったのとほぼ同じくらいのころ。図書館で借りて読んでメロメロだったもののずっと買い損ねている、都筑道夫『推理作家の出来るまで』上下(フリースタイル、2000年)を買って、3年ぶりに再読したいなと急に思い立った。

『推理作家の出来るまで』をずっと買い損ねていたのは、この本はぜひとも書肆アクセスで買おうとずっと思っていたから。が、書肆アクセスは2007年11月17日閉店してしまったので、その機会は永久に失われてしまった。アクセスがなくなってしまった一方で、初めて戸板康二の本を買ってその後も立て続けに通った、演劇書専門の奥村書店がいつのまにか閉店していて、びっくり。今年は2月に忠臣蔵を見て以来歌舞伎座にまったく行っていなくて、ここまで歌舞伎を見ないのはわが芝居見物がはじまって以来初めて。自然、奥村書店にも足が遠のいていて、何ヶ月か前、ずっと欲しいと思いつつも未入手の『滝村和男を偲んで』(1961年8月刊)が売っていた! という目撃情報を得て、イソイソと偵察に行ったものの売ってなくてがっかり、というのが奥村書店との永遠の別れとなってしまった。嗚呼。しかし、お店にいらした小林さんが独立して木挽堂書店をはじめられたとあとで知った(木挽堂書店のサイト)。感傷的にならずに新しい本屋さんへエールを! と心から思う。「戸板康二ダイジェスト」も再開できたことだし、ボチボチ芝居見物に復活する所存。「戸板康二ダイジェスト」制作と合わせて、初心にかえって歌舞伎を見て、初心にかえって演劇書を読んでいきたい。今は、千秋楽ギリギリに見物に行くことになった、国立劇場の合邦がたのしみ。(朝日新聞の児玉竜一さんの劇評に《武智鉄二演出での若き日の名演が語りぐさとなっている坂田藤十郎の、芸歴の総決算ともいうべき会心の舞台》とあるのを見て、こうしてはいられないとあわててチケットをとった。)

原田治さんのブログ、「原田治ノート」によると、京橋図書館へ行くときにいつも前を通る、松屋裏の奥村書店も今年いっぱいとのこと(→ click)。戸板康二のいた「東京」がまたひとつ消えようとしている。

奥村書店の戸板康二 《三丁目の奥村書店では先日も長年さがしていた珍本を手に入れた。先代は表通りに露店で出ていて、学生時代散散世話になった。》とある。【『銀座百点』237号(昭和49年8月1日発行)、「私の銀座コース/文:戸板康二、カメラ;林忠彦」より。】




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