特集5

「遥かなる人民の鐵路・1」

 

貨物列車

 

早朝の、凍てつく長春のホームに降り立った拙者を出迎えたのは、町全体を包み込む石炭の香りと、入れ替えをするSLのドラフトであった。ホーム両側に列車が停車中で、直接その姿を見ることが出来なかったが・・・今まで、聴いたこともない迫力ある音に眠気も吹っ飛んだ。既にホームには、国営旅行社のガイドが迎えにきてくれていた。写真を撮る間もなく、ちょっと古めの黒い「セドリック」に乗り、朝食を採りにホテルへと向かった。「鉄」としては、何とも不本意だが、元々「観光中心」の予定、しかも『全く』言葉が通じないのだから・・・仕方が無い。朝食後は、予定通り、戦前のわが国の国際犯罪の証『旧満州国』の遺構を尋ねた。ガイドさんと次第に打ち解けてきたので・・・意を決して・・・「そう、遠くないところでSLを撮れそうな所へ案内」・・・を頼んでみたら・・・快諾(*^_^*)/v!。以前に、イギリス人が来たことがあるが、日本人ははじめてとのことだそうです。案内されたのは、長春の北の町外れ。広大な駅構内を抜け、ハルピン方面への幹線と、吉林方面行きの支線(単線)が分かれてゆく付近でした。景色は、平凡だが、絶好のロケーション!いきなり、(「鉄」などいない)中国の観光ガイドさんにこんなところに連れてきて貰うなんて・・・本当にラッキーでした。以下の写真は、当日と翌日午前中に同所付近で撮影したものです。次々とやってくる長大編成の列車を引く大型のSL!「SLを狙ってSLにカブられる!」という夢の世界が、そこにはありました。この間にやってきたDLは、長距離「特快」1本だけ!だった気がする・・・。

見事な!北からやってきた長大な「タキ」で編成された貨物列車を引いて雄大なカーブを驀進する『前進』

近づいて来たら、なんと「重連」!『前進』は、空車重量160トン・全長26Mを超す「1−E−1」の大型貨物機。最高速度は80Km/h。写真では動輪が4つに見えなくもないが・・・確かに5つある。たしか、撮影したときも、新製が続けられていた?中国(世界?)最大の両数を誇るだけあって、かなりの「バラエティ」があったと思われる。↑の番号は『1094』と読める。相当の「初期型」と思われる。連結器付近の凍りついたドレーンが、厳寒を物語る。


 

「前進」の前頭部アップです。巨体に比して1500ミリの小ぶりな動輪が、貨物用の証。これも「ナメクジ」というのだろうか?製造銘板らしきものが気になる。それにしても・・・デカイ!


 

霧に煙る長春駅構内に侵入してゆく「前進」の引く貨物列車。極寒&低湿度のもとで立ち上る煙・蒸気は最高です。

 

いかにも、厳寒の長距離を走るに相応しい、完全密閉の車掌車です。「出窓」が面白い。連結器取り付け位置・・・車体が大きい割りに、低い感じがする。


 

構内入れ替えで活躍する「解放」形。軸配置は1−D−1です。中国の「キューロク」か?ごらんの通り「人民」は、線路内歩行は当たり前のようだ。


 

「ブローオフ!」

↑インターネット検索では・・・あの忌々しい改造ゴムタイヤ車のスカスカ音・・・の事しか出てこなかった(+_+)。しかし・・・「鉄」にとってはなんと言っても「コレ」です。ごらんの通り、線路脇のゴミ?が吹き飛ばされる勢いです。市街地ではまずやらない、と思っていましたが・・・大胆にも人家のすぐ傍で・・・やってしまった!単線の、吉林方面からやってきた貨物列車です。とにかく、その迫力には、圧倒される!


1989年2月18〜19日撮影

共通データ:アサヒペンタックスSPF SMCタクマー55ミリF1.8・85ミリF1.8・120ミリF2.8

TMX T−MAX depelopper 1:4  24℃ 6.5min.


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