29香のため玉は1筋しか動けず、歩を連打して送る趣向が見えています。
しかし、それだけでは詰みそうになく、61飛の活用が鍵になりそうです。
6筋から王手をしても、48龍の利きで4筋に合駒されてなんともなりません。
それではどうするか。
左下にある銀2枚が怪しい配置。
これを何とか取れないか、と考えると、62-73-84-95-96-97というルートが見えてきます。
19香で脱出を押さえて銀が2枚あれば詰みそうですね。
62飛成、42と、13歩、同玉、73龍、43と、14歩・・・と実際に進めてみると、確かに詰むのですが、歩が余ってしまいます。
何を間違えたのでしょうか。
実は、受方にも銀を2枚とも取られるのを阻止する驚愕の受けが存在します。
まず62飛成に対して52と!。
これを同龍では42歩合で、以下龍を63、74と動かしても銀を取れなくなって失敗。
つまり、この移動中合のと金は取れません。
そこで、と金を52-63-74-85と動かせば96龍を同とと取れるわけです。
だいたい構想が見えたので、進めてみましょう。
62飛成、52と、13歩、同玉、
73龍、63と、14歩、同玉、
84龍、74と、15歩、同玉、
95龍、85と、16歩、同玉、
96龍、同と、17歩、同玉、
銀は1枚しか取れませんでしたが、持駒には銀香と歩が4枚。
ここで、「あ、銀歩送りだ!」と気が付いた人はするどい。
19香、18歩合、26銀、16玉、18香、同龍、17歩、同龍、
25銀、15玉、16歩、同龍、
24銀、14玉、15歩、同龍、
23銀不成、13玉、14歩、同龍、
22銀不成、12玉、13歩、同龍、
21銀不成 まで45手
遠ざかる龍に追随すると金、そして銀歩送りで還元玉の詰み上がり。 高度な趣向をシンプルに実現したおもしろい作品でした。
作者「2020年看寿賞中編賞の宮原さんの作「跳ね玉兎」と同じテーマをと金でやってみたものです。
質駒にヒモを付けるという意味は同じで、この作では96の銀を取られた後に竜を取り返さないと97の銀まで取られてしまうという仕組みになっています。
もともと持駒制限なしでやっていて図(下図)もあるのですが、内容は同じですし、スッキリしているこちらを選びました。
最終手余詰は御勘弁ください。」
「跳ね玉兎」は96-97-98-99と馬で角を取りに行くのに対して桂を63-75-87-99と移動中合して99馬を取り返す趣向。 それを龍とと金で実現したのが本作ということになります。
天月春霞さんのYouTubeチャンネルに「跳ね玉兎」の解説がありますので、ぜひごらんください。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 松崎一郎さん:
- 二兎を追うものは一兎をも得ず。
- あいうえおさん:
- 最初、2手目は△4二とかと思っていたら、銀が2枚取れてしまって20数手で詰んでしまい「あれ?」。
△5二とにはたまげました。
龍を追いやると金、と。
- 山下誠さん:
- 前半のと金の押し売り移動合が抜群に面白い味。
- ひろぽんさん:
- 龍のこで銀を取りに行く
- 蛇塚の坂本さん:
- 収束形が、銀と歩と龍の押して行く形だと見えたが、そのプロセスが、難しいと思った。
- S.Kimuraさん:
- 龍の真横にと金が単騎で連続合駒するとは驚きました.
- おかもとさん:
- 使用駒制限という特殊な条件下だけど、よくこんな手順が成立するものだ。
- 池田俊哉さん:
- 銀一枚は取られても仕方ないが二枚目は取らせないぞ、と言うと金移動合。
最終手13銀成から詰ませようとしたのはご愛敬
- inokosatoshiさん:
- おかしい、40手もかからない。早く詰んでしまう… パスします。
と金の連続移動中合という妙防があったのでした。
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