2筋ずつきれいな配置の初形で、1サイクルで右に2筋移動する趣向が想像できます。
よく見ると、94-83-74-63-54・・・と玉の通り道がジグザグに空いているのがわかりますね。
95と、83玉、82と、74玉、と推移すれば4手で2筋移動することになりますが、玉方は当然延命のために抵抗します。
95とには同玉で、86と、94玉、96飛でと83に玉を落とします。
実はここで、95歩と捨合する変化が大変なのですが、くるくるということで変化とばしの術を使いましょう(気になる方は棋譜ファイルで)。
95と、同玉、86と、94玉、96飛、83玉、
次の82とも同玉と取って抵抗。
71飛成、83玉、81龍とすれば歩合はできず合駒がないので、74玉と逃げるしかありません。
82と、同玉、71飛成、83玉、81龍、74玉、
12手かけて、やっと2筋移動させることに成功しました。
それではしばらくお楽しみタイム。
75と、同玉、66と、74玉、76飛、63玉、
62と、同玉、51龍、63玉、61龍、54玉、
55と、同玉、46と、54玉、56飛、43玉、
42と、同玉、31龍、43玉、41龍、34玉、
35と、同玉、26と、34玉、36飛、23玉、
22と、同玉、11龍、23玉、21龍、14玉、
端まで行ったし、そろそろ収束かな。
15と、同玉、16飛、25玉、29香、34玉、
29香は限定打で、28香では35玉と逃げられ、36飛、同玉、47銀、37玉、38香、28玉で失敗。
なんと、ここから復路の趣向が始まります。
36飛、43玉、41龍、54玉、
56飛、63玉、61龍、74玉、
76飛、83玉、81龍、94玉、
96飛、95歩合、86桂 まで69手
復路はと金がないのでスピーディー。
くるくるNo.397を思い出した方も多いのではないでしょうか。
作者「上下の飛車でジグザグに送る古典的なプロットをアレンジしたものです。
最終2手は入れるべきか賛否あるかもしれませんが、1枚でも盤駒を減らしたい(花駒を置きたくない)のでこのようにしました。」
ということで、本作も三代大橋宗与の
将棋養真図式第29番
(詰将棋博物館)
からの発想のようですが、元の作と同様に往復する本格的な趣向作に仕立てました。
最後、還元玉で詰むのもいい感じですね。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 蛇塚の坂本さん:
- この作品は実に美しい綺麗アート芸術作品だと思う。
まず初形の玉や様子がほとんど変わり無く最終手で桂がピョンと飛んだ形で終わるところが、粋だねぇ。
また玉が端から端まで往復また歩2枚以外全て盤上に使い何らかの役目を持たせている。
凄いの一言だ?
- 山下誠さん:
- 飛と龍でサンドイッチして玉を追うのはユーモラスな手順。
最後に唯一の歩合が出るのもご愛敬。
- S.Kimuraさん:
- 最後がNo.397みたいになったのがユーモラスでした.
- 津久井康雄さん:
- まさか復路があるとは、驚きました。
- おかもとさん:
- 収束にNo.397の手順が出てきて、おもわず膝を打つ。
- ぬさん:
- 手数が足りないと思ったら、玉が往復した。
- 波多野賢太郎さん:
- これは楽しいサンドイッチでした。
くる展397がいい予行練習になったのかもしれません。
予想通り、往復して戻ってきたのも良かったです。
- 占魚亭さん:
- 還元玉を吊るす。 上手い。
- 小山邦明さん:
- 1筋から9筋に折り返す手順がうまくできていると思いました。
54手目35玉では早詰ですね。
- 浜野乙三さん:
- うまくホームインしたのでホッとして歩合を忘れて67手で終えるところでした
- 嵐田保夫さん:
- "自粛"の週末、イヤーまんまと一杯喰わされた。
9三の金を取って8二とと活用する筋に拘り、それなりに面白い詰み筋もあって迷路に嵌り苦戦。
一晩寝てからようやく397の問題と同じ構想だと気づく様では我ながら呆れてしまった。
しかし、本局は初形の異様さと手順も含めて「企画賞」級の作品ではないだろうか。
- 池田俊哉さん:
- 行きはと金のバトンタッチによる飛龍追いで、帰りはシンプルな飛龍追いで戻ってくる。
くるくるNo.397と良い対比になっている。
折り返しの29香限定打もピリッと良いスパイス
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