初形対称の清貧図式。
初形をよく見ると、玉は6段目には行けず、4段目は桂の利きで8・5・2筋だけ行くことができます。
この構造、記憶力のいい方は、同じ作者のくるくる展示室No.239を思い出したかも。
実は、本作の方が古い投稿で、No.239はその発展形なのです。
飛打飛合での横移動+香打香成で穴塞ぎする構成は同様ですが、本作の方がシンプルで趣向を楽しみやすいかもしれません。
本作のポイントは、受方ができるだけ長手数になるように応じること。
詰将棋ですから当然ですが、間違えても作意手順に合流するので、短手数で詰めてしまった方も。
例えば初手74歩に85香合が正解ですが、84玉とすると、85香、95玉、83香成、85香合と、簡単に83成香を発生できて、8手短くなります。
逃げ方に注意して手順を進めて行きましょう。
74歩、85香合、同飛、同玉、
34歩、75飛合、同飛、同玉、
このまま右辺に連れて行かれては早いので、4段目の穴に潜って延命を図ります。
55飛、84玉、85香、95玉、
玉が75から95に二つ戻ったので、その分飛打飛合の回数が多くなります。
83香成、85飛合、同飛、同玉、
65飛、75飛合、同飛、同玉、
55飛、65飛合、同飛、同玉、
35飛、55飛合、同飛、同玉、
35飛、45飛合、同飛、同玉、
54の穴の活用もできるだけ遅らせます。
なお、65玉のときは45飛では54玉で困るので35以遠から打つ必要があります。
25飛、54玉、55香、65玉、
53香成、55飛合、同飛、同玉、
35飛、45飛合、同飛、同玉、
25飛、35飛合、同飛、同玉、
15飛、25飛合、同飛、同玉、
最後は24の穴もしっかり使って収束します。
15飛、24玉、25香、35玉、
23香成、25飛合、同飛、同玉、
15飛 まで61手
初形が対称でしたが、詰上りも玉と飛以外は対称で、きれいですね。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- ギリギリまで飛合で粘って香を打たせるのが手数を伸ばすポイント。
初形も終形も美しい。
- 本間瑞生さん:
- 玉方の細かい延命策がおもしろかったく
- 米澤歩登さん:
- 玉の軌道も面白い。
- 蛇塚の坂本さん:
- 飛と香と桂と歩だけでこんな長手順が作れるなんて凄い?
- S.Kimuraさん:
- 25手目だけは飛車を2マス以上離して打たなくてはいけない?
- 原田雄二さん:
- 手数は60手台とのことですが57手で詰んでしまいました。
4手以上足りません。
正解手順を並べてご確認ください。
とはいえ大筋は鑑賞できているので、正解扱いとしました。
- 小山邦明さん:
- きれいな左右対称形から60手超えの趣向手順はすばらしい。
- 津久井康雄さん:
- 延命のためにギリギリまでかわさないのが面白い。
- 占魚亭さん:
- これぞ!という手順。
- おかもとさん:
- 飛打飛合に香打香成が入った趣向作。
今回の菅野作は、2作とも命名なしですか。
命名なしです。
- ぬさん:
- 趣向手順が分かるまで、4段目に逃げるかどうかで迷う。
4段目に逃げると、2筋左に後退してるところが面白い。
- 池田俊哉さん:
- ところどころ左に戻られないよう、成香でくさびを打ちながら飛打飛合を繰り返す。
これ以上足すことも引くこともできない感じ
- ハマGさん:
- 試行錯誤を繰り返してやっと60手台になったものの最長かどうかすっきりしません。
玉の軌跡はノコの刃、行ったり来たりは押し引きを連想します。
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