くるくるおもちゃ箱 はじめに より
「詰将棋の楽しみはいろいろ。
その中でも趣向詰はおもしろく、 繰返しの美しさに魅せられて詰将棋の楽園に入り込む人も少なくないようです。
残念なのは、おもしろい趣向詰でも、配置が複雑で解く気がしなかったり、序や収束が難しくてなかなか解けない問題が多いこと。
そこで、この「くるくるおもちゃ箱」では、 はじめて趣向詰に触れる人が楽しめることを目的として、いろいろな人の作品を紹介し、
そのままでは難しい作品は、おもちゃ箱流にアレンジして紹介していきたいと思います。
目標レベルは、詰パラ読者なら半分以上が暗算で解けること (解答者の半分ではありませんぞ)。」
くるくる展示室もこの趣旨にそって、やさしく楽しい趣向詰を出題しています。
本作も楽しい趣向詰を予感させるきれいな配置。
初手の歩打ちも見えていて思わず解きたくなりますね。
26歩に14玉と逃げるのは、15歩、同玉、16歩、14玉、23龍まで。
あわてて先に23龍とすると打歩詰で詰まなくなるので注意が必要です。
実はこの「打歩詰にならないよう攻める」のが本作の趣向のテーマにもなっています。
34玉には銀でも王手できますが、こういう舞台を作っている駒は動かさないとしたもの。 素直に龍で王手しましょう。 龍での王手も43龍・23龍と考えられますが、43龍だと45玉で打歩詰。
54への利きが発生しないよう23龍とするのが正解です。 難しくいえば、打歩詰回避のための不利王手。
26歩、34玉、23龍、45玉、
これで二筋横に移動して、また同じような構図になりました。
趣向詰のよいところは、1サイクル分かれば、あとは考えなくても楽しめるところ。
続けていきましょう。
46歩、54玉、43龍、65玉、
66歩、74玉、63龍、85玉、
86歩、94玉、
最後も94玉に83龍と行きたくなるところですが、最初の14玉の変化を思い出してください。
そう、先に95歩と捨てて96歩を据えるのが正解です。
95歩、同玉、96歩、94玉、83龍 まで19手
作者「打歩を回避しながら王手するのが狙いです。
龍が元の位置に戻って詰みます。」
本作のノコ型の歩の配置をみたとき、私は三代大橋宗与の養真図式第29番(棋譜ファイル)を思い出しました。 くるくるおもちゃ箱でも、ちょっとアレンジしてくるくるNo.63で紹介しています(右図)。
これは玉の下からは龍、上からは飛で追う二枚追いです。
養真図式の頃はまだ趣向詰はほとんどなかったので、往復もする本格的な趣向詰は大きなインパクトがあったのではないかと思います。
馬屋原作も似た構図ですが、趣向部分だけでなく、2手目の変化から収束まで一貫して打歩詰回避をテーマとした現代的な作品になっています。
初形が端駒のない風船図式になっていたり、収束で序の変化と同じ順がでてきたり、還元龍で詰め上がるとか、随所に遊び心があるのもくるくる的でいいですね。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- のくせにさん:
- ありそうでなかったパターンですかね?
私が調べた範囲では初めてのパターンです。
- 金少桂さん:
- 龍で先回りしようとすると打歩詰になってしまうので一方向から追いかける。
- 山下誠さん:
- 春にちなんで、リズミカルなもぐらたたき。
- S.Kimuraさん:
- 玉を1筋から始めたかったですね.
ちょっと駒数が増えてしまうので、悩ましいところ。
- 長谷繁蔵さん:
- 初手の変化が収束で現われる
- 蛇塚の坂本さん:
- 龍と歩のコンビネーションがコミカルで面白い
- 占魚亭さん:
- 心地よい手の流れ。竜が還元するのも良い所ですね。
- 藤田卓志さん:
- 最後に龍が帰ってきてエンディング。楽しめました。
- hiroさん:
- 打歩詰にならないよう、龍の利きをコントロールしながら追撃。
- Pathfinderさん:
- これぞくるくる作品。リズムに乗りすぎると最後打歩詰に。
- 池田俊哉さん:
- 打歩にならぬよう控えた着手が良い
- 鳥本敦史さん:
- これぞくるくるという感じ。
- 小山邦明さん:
- くるくるらしく、暗算で解ける楽しい作品
- おかもとさん:
- 強すぎる龍が、及び腰で追いかける。
- 波多野賢太郎さん:
- 打歩詰にならないようちょっぴり考えるところもありつつ、楽しく易しい手順で好作と思います。
- ハマGさん:
- 軽快な4拍子。ガイダンスにふさわしい。
- 諏訪冬葉さん:
- 打歩詰め防止のための龍移動
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