本作は初形から想像できるように銀追い趣向の作品です。
2手サイクルで直線上に進むシンプルな追い趣向は、追う駒が王手する方向と玉が逃げる方向の組み合わせの数だけ種類があります。
古くから作られた金追いは11種類に分類できることを金追いアラカルト(1)で説明していますが、
銀追いも同じようにカウントするとやはり11種類に分類できます。
金追いに比べると銀追いの作品はずっと少なく、おそらくそれは玉の逃げられるマスが多くて、逃げ方を限定させるのが大変だからでしょう。
本作は斜め後ろへの銀追いなのですが、ほかの駒がなかったとしたら33銀不成の王手に対し玉の逃げ方は34・35・43・45・53・54・55と7箇所もあり、
そのうちから55玉1箇所に限定しなければならないわけです。
数少ない銀追いの中でも、斜め後ろへの銀追いはまれですが、前例がないわけではありません。
元祖作品は多分右の図で、「伝九代宗桂遺作」という古写本に収録されています。
どうも詰まないようで、作意は不明ですが、最初は73銀不成、55玉、64銀不成、46玉、・・・ 19玉、28銀と、銀引き追いをする手順のようです。
73銀を同香なら65歩、55玉、73角成以下。 そのあとも同様で銀を取ることはできません。
本当に九代大橋宗桂の作品かどうかはわかりませんが、三代宗看の歩頭の馬ノコを想起させる歩(香)頭の銀追いは九代宗桂といわれてもうなずけるものがあります。
TETSU作では、くるくるを意識して、できるだけきれいで簡潔な初形から余分な変化紛れを排除したシンプルな手順を狙いました。
既存の趣向をくるくる化する場合は、差別化の意味で更に何かプラスしたくなるもの。 本作では
銀の軌跡曲詰(右図)
- 全手順対角線上
- 無防備図式
- 全局面成駒なし
といったところが付加価値になっています。
さて、手順を確認していきましょう。
33銀不成、55玉、
44銀不成、66玉、
55銀、77玉、
66銀、88玉、
77銀、99玉、
88銀 まで11手
2手目43玉は44銀成、32玉、33成銀、41玉、23角成以下9手。
対角線上の一直線な手順で、手数も含めて数字がすべてぞろ目になっているのがきれいですね。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 蛇塚の坂本さん:
- 綺麗な銀と角の連携1直線の動きで気持ち良い。
- 市橋宗士さん:
- 十手台ということで解いてみました。
形から見て、この一直線、いや、一斜線?の詰み!
こんな簡素な配置で実現できるんですね、
4枚の香配置は必然で歩では駄目だし、
また、金銀の配置も変化に必要だし、
いろいろ参考になります。
- 長谷繁蔵さん:
- 変化も有り
- 山下誠さん:
- 斜め一直線に銀と玉を引く。それだけで美しい動き。
- S.Kimuraさん:
- 玉が33から出発するのは難しいでしょうか.
上記の狙いが崩れてしまいそうですね。
- 小山邦明さん:
- 銀で斜め一直線に玉を追う。
- たくぼんさん:
- ぎゅっと縮めるって感じかな
- 原田雄二さん:
- 気持ち良く一直線で詰みました。
- 嵐田保夫さん:
- 一直線もここまで徹底すれば大したもんです。
- 安井豊さん:
- そのまますぎるヒント
- 藤井美大さん:
- 暗算なので自信はありません。
暗算でも大丈夫なのがくるくるの目指すところ。
- 竹中健一さん:
- くるくるらしくて良いですね!
- 加賀孝志さん:
- 本当に一直線
- 津久井康雄さん:
- わき見無しの一直線に、ほっこりします。
- 中村丈志さん:
- 好きなタイプの詰将棋です。
- 千葉等さん:
- 銀斜一線の動きは楽し。
- 出崎守さん:
- 年始めで軽るい問題で楽でした。
- きたさん:
- ヒントがほとんど解答そのもの
- 鳥本敦史さん:
- ヒント通りの斜めノンストップ。
- おかもとさん:
- ひたすら銀引き。くるくるらしい軽作。
- 藤田卓志さん:
- 玉を銀が一直線に追っかける感じが良いですね。
- ウリンチャージさん:
- 今回はTETSUさん得意の玉軌跡と思いきや違うのか!?
玉も一直線ですが位置が中途半端なので、銀の軌跡曲詰としました。
- ハマGさん:
- これは見事、単純明快、楽しい詰初め
- 池田俊哉さん:
- 「くるくる展示室 No.370」に通じるところのある斜め移動一直線。
74金が良い仕事をしている
- 占魚亭さん:
- 素直に追う。
- 田中颯さん:
- 銀を千鳥のように引いていく
- ひよこさん:
- シンプルでよかった。
No.371、No.374、No.376の3作は詰パラ1月号のおもちゃ箱だよりでも出題しました。 たくさんの解答、ありがとうございました。
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