今回の新春くるくる特集では馬ノコ作品が3つ揃いました。
それぞれ違ったタイプの馬ノコなので、ぜひ鑑賞してお楽しみください。
トリを飾る本作は「馬追い×馬ノコ」というおもしろい馬ノコ。
馬追いといっても、単純な一方向の馬追いではなく、玉が
88玉−77玉−76玉−85玉−84玉−73玉
というレーンを行ったり来たりする、ちょっと不思議な馬追いです。
作者 「やよいさんの「草枕」の馬追いに馬ノコをかけました。
どうしても、馬ノコタイミング非限定を消せませんでした。」
やよいさんの「草枕」(詰パラ2013年6月)は、右図のように玉が斜めにも縦横にも動くおもしろい軌跡で、
それを追いかける馬の王手も、密着する王手だけでなく、離れた王手も組み合わせて巧みに追っていきます。
この追い方の馬追いは、菅野哲郎さんの「走馬燈」(くるくる展示室No.153)で八角形の回転型の軌跡で登場していますが、
やよいさんの「草枕」では往復型の追い方になっています。
本作はその馬追いに馬ノコをかけたものということで、34の角が馬になって馬ノコします。
馬ノコの目的はもちろん11歩の入手ですね。
まずは馬追いで、角が成れるようにセットアップしましょう。
「67馬、88玉、89馬、77玉、99馬、76玉、66馬、85玉、
67馬、84玉、94馬、73玉、72馬、84玉、62馬、85玉、
95馬、76玉、43角成、54と、94馬、77玉、33馬、44と、」
6手目の往路の76玉で43角成は85玉でダメ。
復路の76玉で初めて43角成が可能になります。
33馬のタイミングは上記では復路の77玉のときにしていますが、67馬、88玉、89馬、77玉として、次のサイクルの往路の77玉のときでも可能
(馬ノコタイミング非限定)。
この24手1サイクルの手順を、例によって A(43角成、33馬) と記述することにしましょう。
A(43角成、33馬)
A(32馬、22馬)
A(21馬、11馬)
11歩の入手に成功。 このあと収束に備えて馬を近づける必要があります。
A(21馬、22馬)
A(32馬、33馬)
ここまで24×5=120手。 以下、最後のサイクルで途中から収束に入ります。
67馬、88玉、89馬、77玉、99馬、76玉、66馬、85玉、
67馬、84玉、94馬、73玉、
ここから収束。
74香、同玉、66桂、73玉、72銀成、63玉、64歩、53玉、
54歩、同と、43金(馬) まで143手
最後の3手を見れば、11歩を入手したワケも33馬まで戻したワケも一目瞭然ですね。
往復馬追い×往復馬ノコと2枚の馬が大活躍するおもしろい趣向詰でした。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 占魚亭さん:
- 馬追い+馬鋸パズル。収束があっさりしている所も良いですね。
- 山下誠さん:
- 18手一組の左馬の動きが優雅で楽しめる馬鋸。馬鋸の目的が明確なのも良い。
- ぬさん:
- 非限定(収束も?)を何とかすれば、詰パラ本誌で通用しそう。
- 原田雄二さん:
- 133手目74香で歩を入手して詰むと思いました。
- おかもとさん:
- くるくるにはもったいないような……非限定があるからかな?
- 池田俊哉さん:
- 合効かずの単騎馬追い+複式馬鋸。確かに右上馬の王手タイミングは非限定ではあるが、これは仕方ないところかと。
75香が収束に入るための駒と分からずちょっと悩む
- 小山邦明さん:
- 複雑な印象を持つ馬の動きでした。
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