棋譜ファイル(柿木将棋kif形式）

出題時のコメント：

馬の大活躍　６０手台

詰将棋では、問題図で受方の持駒を表示しない悪い習慣があるので困りますが、数えてみると本作では歩以外の持駒はないことが判ります。 ４筋から７筋までは受方の歩が並んでいるので、初手７３馬と王手すると合駒がなく３８玉と逃げるしかありません。 更に８３馬と追撃すれば、ここでも合駒がなく逃げる一手。

　　７３馬、３８玉、８３馬、２８玉、
　　２９馬、３７玉、３６と、同玉、

８３馬にいったん３７玉と逃げて、４７馬、２８玉、２９馬とした方が２手長くなるように見えますが、３７玉にはすぐに３６ととできて、逆に２手短くなります。

　　４７馬、３５玉、５７馬、３４玉、６７馬、３３玉、７７馬、３２玉、８７馬、２２玉、
　　２１馬、３３玉、３４歩、同玉、

２６飛が６段目を押さえているので、７段目を横這いして馬で追います。 ８７馬にいったん３３玉とするのは３４歩、同玉、７８馬、３３玉、３４歩、２２玉、７７馬、３２玉、３３歩成まで。 上下で一見２手延びそうな変化別詰があるので、作意６１手のところ、６３手から６９手までいろいろな手数の解答が。 趣向は鑑賞できているので、すべて正解として扱いました。

　　４３馬、３５玉、５３馬、３６玉、６３馬、３７玉、７３馬、３８玉、８３馬、２８玉、
　　２９馬、３７玉、４９桂、３６玉、

４段目は６２桂５２桂の２枚が押さえているので、ここでも３段目を横這いして馬で追います。 今度は先ほど取った桂で楔を打ち込むことに成功。

　　４７馬、３５玉、５７馬、３４玉、６７馬、３３玉、７７馬、３２玉、８７馬、２２玉、
　　２１馬、３３玉、３４歩、同玉、

先ほどと同じように４３馬、５３馬と追うと、３６玉では３７にもう行けないので６３馬、３５玉、４５馬で詰み。 そこで５３馬には３４玉と戻って収束します。

　　４３馬、３５玉、５３馬、３４玉、
　　３５歩、３３玉、４３馬、２２玉、２１馬、３３玉、４３香成　まで６１手

作者 「くる展Ｎｏ．２９９で紹介されていた「玉と馬がタテヨコに遠ざかる」手順を上下２か所で反復させてみた図です。」

構造的には黒川一郎さんの「車井戸」（黒川一郎研究78（将棋雑記）参照）と同様に追い趣向で玉を上下させる知恵の輪ですが、 金が馬に変わっただけではなく、４段目、６段目に馬が行けない構図によって、馬が横這いすることになるため、印象がかなり異なり、 盤面を広く使うダイナミックな趣向になっています。 折り返しで登場する馬の大ジャンプが気持ちいいですね。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

蛇塚の坂本さん：

最初４六歩同玉など駒柱にチョッカイ出す手を考えていたのですが最初から最後まで馬が生きる展開は意外でした。

山下誠さん：

合駒が利かないので、馬が我が物顔で闊歩する。盤上に遊び心が溢れている。

占魚亭さん：

ダイナミックな馬の動きが面白いですね。

キリギリスさん：

盤面を大きく使っていて雄大な感じがしました。

長谷繁蔵さん：

愛の無いのは悲しいなあ。手数間違っているかも・・・

ぬさん：

正しい逃げ方が分からなくて、苦労しました。
どうしても59手歩余りになるのでソフトにかけてみたら、3箇所(実質2箇所)間違えてました。

中沢照夫さん：

馬が斜めに大きく、横に小さく、自在に活躍。

S.Kimuraさん：

馬が玉から離れて横に動いていくのに意表を突かれました．
柿木将棋IXでは，4手目と34手目に28玉と行くのですが，37玉と戻った方が長くなる気がするのですが・・

前述の通り、37玉では逆に２手短くなります。

Pathfinderさん：

玉から離れていったと思えば近づいて、近づいたと思えば離れていく不思議な馬追い。 馬の動きが楽しく、何度も並べてしまいました。

はやしさん：

馬のこではなく、変わった軌道でした。

おかもとさん：

馬の横這いを上と下でくりかえすのは斬新。

小山邦明さん：

馬の3段目と7段目の動きがセットになっていて面白い。

波多野賢太郎さん：

すごい見た目と趣向の仕組みがわからず、はじめはとまどいました。 桂馬や２六の飛車などがうまく配置されていて、よくできてるなあと思いました。

隅の老人Ｂさん：

例えるなら、馬の楽しい小宇宙旅行。
感心したのは、26飛の配置、これで馬の動きが限定です。

池田俊哉さん：

盤面を大きく移動する、見たことがない馬の軌跡。
何かと組み合わせれば長手数も期待できそう

金少桂さん：

往路復路ともに馬が玉から遠ざかっていくので不思議な感覚の馬追い１往復半。

ハマGさん：

馬がアキレスになったりカニになったり。

くるくる展示室Ｎｏ．３１７　解答：１７名　全員正解

　　池田俊哉さん　　S.Kimuraさん　　おかもとさん　　キリギリスさん　　金少桂さん
　　小山邦明さん　　隅の老人Ｂさん　　占魚亭さん　　中沢照夫さん　　ぬさん
　　Pathfinderさん　　長谷繁蔵さん　　波多野賢太郎さん　　ハマGさん　　はやしさん
　　蛇塚の坂本さん　　山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。