新春くるくる大特集、最初の作品はシンプルイズベスト、コンピュータの発見です。 昨年の詰将棋パラダイス11月号、持駒のある風景で北村憲一さんが「詰将棋竜王戦」と題して、次の条件の詰将棋を創作した顛末を書いていました。
イ 攻方龍1枚 ロ 玉方玉1枚 ハ 盤面右四半分(1〜3筋)
そこに、「加藤徹さんの詰将棋ソフトで、100局ほどは出来上がっているのではないかと」と書かれていたのです。
龍1枚の図式は調べたことがありませんでしたが、これを読んで持駒サーチを使って少し調べてみました。 この図はそのとき見つかったもの。 偶然とはいえ、還元玉の往復趣向になっています。
昔、東大将棋の自動創作で「12玉、21飛、持駒金」という趣向詰がでてきてうれしくなったことがありましたが、往復趣向をコンピュータが発見するのは初めてではないでしょうか。
きっかけを作ってくれた北村さんに感謝です。
初形も持駒もすっきりして詰将棋入門用に出題するのもよさそうで、まさにくるくる。 というわけで、さっそく新春くるくる大特集で出題した次第です。
まず、往路の趣向。24銀と打った銀をすぐに15銀と捨てて玉を釣り上げます。
もう一度26銀から17銀捨てで17玉まで呼ぶことができました。
24銀、14玉、15銀、同玉、
26銀、16玉、17銀、同玉、
これは「捨て送り」または「またぎ捨て」と呼ばれる趣向。
元祖作品は久留島喜内の将棋妙案第27番(橘仙貼璧第95番)で、くるくるNo.103で紹介しています。
銀とともに桂のまたぎ捨てもよく作られていて、こちらはくるくるNo.102で紹介しています。
17玉に28銀と打って、18玉と潜るのは27龍で簡単、16玉と戻るしかありません。
ここがちょっと考えどころ。
27銀上、17玉、26龍は28玉と潜られて失敗。 27銀打、15玉、26銀、14玉、25銀、13玉、24銀と銀追いの趣向も楽しそうですが、14玉、23龍、25玉で残念。
持駒の3枚の桂の活用を考えて、17銀打とこちらから打つのが正解でした。
28銀、16玉、17銀打、15玉、
27桂、14玉、26桂、13玉、25桂 まで17手
桂連打趣向で元に戻って還元玉で詰上り。
簡素な図から往復趣向、サイクル数も少なく、新春にふさわしいかわいらしい作品でした。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 陽気なわらしべ長者さん:
- 楽しく年末年始が過ごせる作品でした。
- 山下誠さん:
- ソフトでこのような軽趣向物が創れるとは驚きです。
- 波多野賢太郎さん:
- 前半は銀4枚が頑張って、桂馬の3連発で締めるのがいいですね。易しいとはいえ、まだこんな作品も残っていたんだなと思いました。
- 長谷繁蔵さん:
- 9手目29桂で余詰んでるかと思った
29桂、18玉で、27銀は29玉で逃れ。19銀捨てがおもしろいですが、同玉、28銀、29玉、37銀、38玉、28龍、47玉で大海へ。
- 蛇塚の坂本さん:
- 銀を捨てつつ玉を下げまた桂で上げて行く玉のエレベーターが、面白い。
- 占魚亭さん:
- 前半は好手順、後半は残念。
- 原田雄二さん:
- 11手目は27に桂打の余地を残すために17銀打ですね。
- 鈴木彊さん:
- 龍と玉だけ2枚の簡素な図。銀攻めの後は桂の並べ詰み。
1筋だけの玉の登り下り、元の位置で止る。
- ぬさん:
- 意外と人間が見つけにくい手順?
- S.Kimuraさん:
- 10手目に18玉とされたらどうするか分からず,しばし悩んでいました.
- 攻めダルマンさん:
- この持駒だと詰みなさそうなんですけどね。17銀打が見えにくかったです。
- 隅の老人Bさん:
- 序の28銀打までが面白い。17銀打も好手です。
- 藤田卓志さん:
- 2八銀から1七銀打にしびれました。
相当長く楽しめました。
- ハマGさん:
- eureka作らしくなく簡明
- hiroさん:
- 玉を柔らかく包む壁の出来上がり。
前半は、こういう手順が成り立つのかと思いました。
- 池田俊哉さん:
- 新春特集にふさわしい初形+持駒趣向。...持銀の一枚は歩でも良さそうだが、ヤボは言わない...って言ってるか
歩でもいいところを銀にするのが詰将棋ですね。 歩のかわりに馬にした3手詰もあったり。
- 小山邦明さん:
- すっきりした初形で、ぴったりの詰み。
- 嵐田保夫さん:
- 金一枚なら一手詰のところを銀四枚と桂三枚で…。まさに人生は一局の将棋といった所でしょうか。
この一作から人生まで感じるとは!
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