ちょっと手を出すには勇気のいる形。
最初はシンプルな1.5往復でしたが、歩知恵の輪は既存作品もあり(くるくるNo.26参照)、作者はなんとか回数をふやしたいと改良を繰り返し、ついに2.5往復の本格的な作品に。
変化読みもあり、くるくるとしては厳しいと思いましたが、歩知恵の輪と決め打ち変化とばしすればなんとかということで出題させていただきました。
歩知恵の輪のキーとして初形から見えるのは、
1)92龍と龍の左転回
2)95馬と成桂を取る(持駒に桂を入手)・・・どこかに桂打ち
3)36香とと金を取る(馬筋を15に通す)
4)14銀と銀を取る・・・14銀がなくなれば25桂とできそう
ぐらいでしょうか。
知恵の輪だけにこれらのキーはすべて絡み合っていて、順番は限定されています。
・ 4)14銀、同玉、15銀と打ちかえるには、59馬の15への利きを通しておく(36香)ことが必要。
また92龍型にしないと玉は23に行けません。
・ 3)36香は、92龍と転回したあとでは、同桂と取らずに23玉と逃げられると24歩が打てず不詰。
このことから、36香、92龍、14銀、95馬、(25桂)の順だと判明します。
実際にこの通りうまくいくのか、手順を並べてみましょう。
84歩、73玉、74歩、・・・ 44歩、33玉、36香、同桂、
43歩成、同玉、53歩成、・・・ 83歩成、同玉、92龍、73玉、
歩成は取らずに逃げる変化があってやっかいですが、いずれも次のような順で詰みます(他の詰め方もあり)。
83歩成、63玉、72龍、53玉、54歩、・・・ 24歩、13玉、
14銀、同玉、15銀、13玉(25玉は17桂、16玉、26馬まで)、63龍以下
作意順の92龍だと、最後のx3龍ができないので、この順では詰まないわけですね。
83歩成に同馬は、95馬、84歩合、同金、63玉、55桂、53玉、54歩、64玉、86馬、65玉、62龍まで
74歩、63玉、64歩、・・・ 24歩、13玉、14銀、同玉、15銀、13玉、
23歩成、同玉、33歩成、・・・ 73歩成、同玉、95馬、同馬、
43歩成に23玉は、33と、同玉、32金、23玉(同銀は77馬以下)、24歩以下
73歩成に53玉は、62龍、43玉、44歩以下 (63歩成や53歩成の変化も同様)
74歩、63玉、64歩、・・・ 24歩、13玉、25桂 まで67手
論理が明快な歩知恵の輪2.5往復でした。
作者:
- 先日の詰将棋駒数増えて苦しいもののなんとか伸ばすことが出来ました。
2往復半にするためのポイントは初手92竜とすると36香車のときに23玉と逃げる手があるために12竜を23に効かせたまま36香車を決めてから竜を動かす。
なので、36香車、23玉、32竜を防ぐために32に効かす駒が必要なので21銀を配置。 31金は歩を成捨てたときに逃げられる数々の変化で必要。
11竜は24歩を省かれる変化のときに必要。(香車、生飛車だと余詰) ・・・
この前の2往復の奴(右図)はうまい具合に駒数減らしながら出来まして、これをベースに発展させようとしたのですがなかなかうまくいかなかったです。
くるくる展示室には2往復の作品の方が良さそうですが、ここまでして2.5往復を実現した作者の苦心にお応えして今回の図での出題としました。 本格的な論理の作品になったので、新設のパズル展示室で出題すべきだったかもしれません。
なお、歩知恵の輪では、墨江酔人さんになんと3往復という作品があります。 参考にご鑑賞ください。
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