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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱
くるくる展示室 No.143 菅野哲郎さん 「天橋立」
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出題時のコメント:

受方の持駒は歩1枚だけ。40手台


47に逃げられてはいけないので、92角成、47歩合で穴ふさぎ。 27銀、37玉となると、有名な銀歩送りの形で、82馬、46桂と歩の補充と4筋の封鎖をかねた馬寄りとの組み合わせでいけそうです。 ところが、このまま進めて詰めてみると35手。 ヒントの40手台とは合いません。 どこで間違えたの?

じつは、初手の92角成に83歩という応手があるのです。 どのみち取られる運命の82歩を移動合して2手稼ごうという手。 2手延ばすだけであとの手順は同じとなれば、無駄合では? と突っ込みたくなりますね。 でも、この手順は駒も余らず手数が延びるので、「ヤケクソ中合」といって有効合ということになっています。

それではあらためて手順を進めましょう。

  92角成、83歩、同馬、47歩合、27銀、37玉、
  82馬、73歩、同馬、46桂、38歩、同と、26銀、36玉、
  72馬、63歩、同馬、45桂、37歩、同と、25銀、35玉、
  62馬、53歩、同馬、44桂、36歩、同と、24銀、34玉、
  52馬、43桂、35歩、同と、23銀、33玉、
  34歩、同と、32銀成、同玉、41馬、33玉、23香成 まで43手

ヤケクソ中合が4回入り、8手延びて43手になりました。
ヤケクソ中合を含んだ趣向は珍しいですが、平井康雄さん「鬼ごっこ」(くるくるNo.144で紹介)など作例はあり、菅野さん自身もくるくる展示室No.116で発表しています。 本作はそれに銀歩送りを組み合わせて作品化したものです。

詰上りを見ると、4筋に「天橋立」が出現!
天橋立は日本三景の一つ。 世界遺産登録に向けた動きもあるようです。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

凡骨生さん:
中合い連歩取り面白い。
長谷繁蔵さん:
8筋9筋に残りの駒を置いて(21歩→21香 攻方22歩 42歩→42香)大学で出題したら誤解者続出かも。
(協力詰じゃないけれども)
ほいさん:
40手台のヒントがあって助かった。
中澤照夫さん:
玉方の移動捨合が絶妙。手数表示で助かる。
大森常一さん:
歩の移動合は当初気が付きませんでした。
嵐田保夫さん:
芸が細かい歩の移動合。4筋の駒柱が印象的。
井上順一さん:
手数伸ばしの歩の突き捨て。手数表示に助けられた。
池田俊哉さん:
手数稼ぎの捨て合を趣向にしてしまうところがお茶目な感じ。銀が消えて締まった
上田大輔さん:
桂馬がひとつひとつ跳ね落ちてきて積み重なっていく形がとてもすてきだなとおもいました。
kbnrkさん:
これは面白い。明快な論理で成立していて好感が持てる。
隅の老人Bさん:
危ない!騙されるところ。注意一秒、怪我一生。
占魚亭さん:
飛龍観。いつか天橋立に行ってみたいなあ。
鈴木康夫さん:
早く詰んだので悩みましたが2段目の歩の意味を考えたら趣向がわかりました。
S.Kimuraさん:
最後は駒柱を崩さずにいきたいですね.
渡辺さん:
何度やっても35手で詰むと思ったら…。
歩突きは先手の駒を増やさないので無駄合ではないんですね。

くるくる展示室No.143 解答:16名 正解15名

  嵐田保夫さん  池田俊哉さん  井上順一さん  S.Kimuraさん  大森常一さん
  螽斯さん  kbnrkさん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  占魚亭さん
  中澤照夫さん  長谷繁蔵さん  ほいさん  凡骨生さん  渡辺さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。