一見するとよくある形。 しかし山田さんの2枚馬パズルは一味違います。
馬の王手に上がる手と下がる手があって、解くのはちょっと大変なのですが、変化は後まわしにして、まずはその一味違う手順を鑑賞してみましょう。
わかりやすいように11の馬と12の馬に色を付けてみます。
22馬寄、42玉、33馬、53玉、44馬、64玉、55馬、75玉、66馬、86玉、77馬、75玉、
66馬引、64玉、55馬、53玉、44馬、42玉、33馬、53玉、
44馬行、64玉、55馬、75玉、66馬、64玉、
55馬引、53玉、44馬、64玉、
55馬行、75玉、
76歩、同玉、66馬、86玉、
87歩、同玉、77馬、97玉、
98歩、同玉、88馬 まで43手
- 作者:
- 2枚馬のパズルです。2枚の馬に追いかけられる玉が歩の階段を昇ったり降りたりして必死に延命を図りますが、徐々に包囲を狭められ、最後は階段を一番上まで昇りつめて昇天します。
2枚馬で追う作品はくるくるNo.43などいくつかありますが、2枚馬で5回、ここまで徹底して追いかける作品は本作がはじめて。 2枚馬で追いつめたあと、今度は歩を捨てながらの馬追い趣向で収束します。
2枚馬パズルの決定版ともいえる充実した内容です。
なぜこのようなおもしろい順が成立するのか、手順を解明していきましょう(詳しくは分岐棋譜でご確認ください)。
どの玉位置でも歩打ちがあります。 このとき常に左下に潜られる変化があるので、2枚馬がこの変化が詰む位置でないと歩は打てません。
1) 42玉に43歩、51玉 44馬・55(66)馬型なら73(84)馬で詰み
2) 53玉に54歩、62玉 これはどの馬位置でも詰まない
3) 64玉に65歩、73玉 これもどの馬位置でも詰まない
4) 75玉に76歩、84玉 44馬・55馬型なら62馬、93玉、82銀、同銀、同馬、同玉、72と、93玉、84銀で詰み
5) 86玉に87歩、95玉 33(44・55)馬・66馬型なら51(62・73)馬で詰み
この変化手順が作意を成立させるポイント。 攻方は76歩以下の趣向に入るために44馬・55馬型を目指し、受方は歩打ち以下の詰みに陥らないように逃げまくります。
1回目の馬追い 55馬に53玉と戻ると? 44馬引、42玉、43歩以下。
1回目の馬追い 66馬に64玉と戻ると? 4回目の馬追い55馬引に短絡して早い。
2回目の馬追い 55馬に75玉と戻ると? 76歩以下。
2回目の馬追い 44馬に64玉と戻ると? 5回目の馬追い55馬行に短絡して早い。
3回目の馬追い 55馬に53玉と戻ると? 44馬引、42玉、43歩以下。
3回目の馬追い 66馬に86玉だと? 87歩以下。
4回目の馬追い 44馬に42玉だと? 43歩以下。
上記のような巧妙な仕組みはさておき、馬追いで減衰していく不思議な手順を並べるだけで十分楽しめます。 解けなかった方もぜひご鑑賞ください。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 小野寺さん:
- どれが最長手順か探すのが面倒でしたが、遊び心があってよかったです。
- 大貧民さん:
- なんだか面倒なだけ、という気になる。
- 馬屋原さん:
- どこで歩を打つか結構迷った。
- 凡骨生さん:
- ウマくウマく作ってありますネ。
- 嵐田保夫さん:
- 歩の裏側へ入っての清算手順かと思ったが最長手順があった。
- 長谷繁蔵さん:
- 玉が長く逃げる
- 中澤照夫さん:
- くるくるとしては難しい。雪隠詰で上手く纏まっている。
それは変化別詰。 作意も読んでいると思われるので正解扱いとします。。
- 魚熊さん:
- 32手目の変化でちょっと長考することに。
左上の銀2枚省いて、92香を93にする訳にはいかないのでしょうか。
それだと3回目の66馬のところで76歩以下詰んでしまいます。 2枚銀は33馬では詰まず44馬なら詰む苦心の配置。
- 渡辺さん:
- 盗塁失敗、挟みうちでアウト。
- S.Kimuraさん:
- 2枚の馬が徐々に中央に寄っていくのが不思議です
- 隅の老人Bさん:
- 爺さんの砂丘見物。
1歩登っては足もと確認、大丈夫?
また、1歩、草臥れました、息切れします。
登り終えるたぞ、一望千里。
- タクさん:
- 二枚馬で斜めに行きつ戻りつ玉を送る軽快なパズル、楽しみました。
- スイカズラさん:
- 盤を使ってみたものの解けず、結局ノートにメモを取りながら解きました。馬を香車に取られない位置に動かせば良いことに気づくのに時間を要しました。解いている途中は迷路をさまよっている気分でしたが、解ければなるほどと思う作品。
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