と金と歩の二つの斜めの列が目につきます。
と金の方は角があれば14角から空き王手で連取りできそう。 そして角は受方の駒台にのっています。
まずはこの角を入手しましょう。
21飛、22角合、同飛成、同玉、23歩、同玉、
ここで14角、22玉(13玉は32角成まで)、23歩、13玉、36角とすれば、と金を取ることができます。
23玉に続けて14角として、47と、58と、69とも取ることができます。
でも全部取っても・・・ 持駒は歩だけだし、あとどうするんだろう・・・
実はここまでくるともうどうしようもありません。 14角と打つ前に準備が必要だったのです。
その準備とは、89角!
78から34のどこかに合駒(飛しかありません)するしかありませんが、同角、同歩(香)となれば、どれか1枚が89−23の斜めの筋に入ってきます。
この1枚を先ほどの14角以下の手順で取りにいくのが本作の構想。
89角には一番手数が長くなるように78飛合とするのが正解です。
89角!、78飛合、同角、同歩成、
21飛、22角合、同飛成、同玉、23歩、同玉、
14角、22玉、23歩、13玉、36角、23玉、
14角、22玉、23歩、13玉、47角、23玉、
14角、22玉、23歩、13玉、58角、23玉、
14角、22玉、23歩、13玉、69角、23玉、
ここで78角とと金を取れるのが、最初のおまじない(89角)の効果です。
78角と取ると再び飛合しかなく、順番に斜めの歩を取っていくことができます。
78角、67飛合、同角、同歩成、
21飛、22角合、同飛成、同玉、23歩、同玉、
14角、22玉、23歩、13玉、58角、23玉、
67角、56飛合、同角、同歩、
21飛、22角合、同飛成、同玉、23歩、同玉、
14角、22玉、23歩、13玉、47角、23玉、
56角、45飛合、同角、同歩、
21飛、22角合、同飛成、同玉、23歩、同玉、
14角、22玉、23歩、13玉、36角、23玉、
45角、34飛合、同角、同歩、
21飛、22角合、同飛成、同玉、23歩、同玉、
14角、22玉、23歩、13玉、25角、23玉、
34角、22玉、23香 まで107手
と金の連取りは図巧39番(詰将棋博物館)など昔からよく作られた基本的なパターン。
以前は連取りといえばこの空き王手で近くの駒から順に取って行くパターンしかありませんでした。
歩の連取りは、合駒させて歩の位置をずらし、遠くの駒から順に取って行く新しいパターン。
こちらの元祖は上田吉一さんの「五月晴れ」(全詰連HP)で、詰パラ1972年5月の発表、斬新な趣向で看寿賞を受賞しています。
現在では空き王手でなくノコギリ趣向で取りに行く(あるいは戻る)連取りなども登場し、連取りも多彩な作品が作られています。
- 作者:
- 角での斜めはがしに、飛から角への持ち駒変換を混ぜてみました。
さりげなく話していますが、本作は基本パターンの連取りと五月晴れ型の連取りを組み合わせ、更に飛角の持駒変換も組み込んだかなり高級な趣向詰。 このような趣向をくるくるとして誰にでも鑑賞できるシンプルな作品に仕立て上げた手腕はすばらしく、今後の活躍に期待したいですね。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 小野寺さん:
- 蛙臭がすごいのですが(w
冬眠蛙さんではありませんよ。
- 馬屋原さん:
- 毎回飛角交換を繰り返すのが面白い、収束も趣向の雰囲気を崩さすシンプルで初入選とは思えない
- 凡骨生さん:
- 斜めのと金と歩がキレイに剥がされる、巧いですネ。
- 嵐田保夫さん:
- マジシャンばりの見事な妙技。それにしても歩の残り枚数と手数を確認するのがしんどかった(笑)。
Kifu for Windowsなどのソフトで並べると楽かも。
- 長谷繁蔵さん:
- 7手目89角として77歩を取る準備をしておくのですネ。
と金を先に消してしまうと詰まない所面白い。
次作期待。
最後14飛で同変かな。
25角に14飛の捨て合は、同香、23玉、21飛で合駒なしの詰み(同手数)。
- 中澤照夫さん:
- このシンプルな形から連取りが存分に楽しめる。
100手越えはすごい。
- 魚熊さん:
- 104手目14飛が同手数と気づくのに30秒ほどかかってしまった。
- 渡辺さん:
- ぐるぐる何周も回ってやっと念願の香釣り上げ。
詰め上がり図が存外すっきりしています。
7手目89角は78飛で駄目と思って14角を考えたらやっぱり89角で良いことが分りました。今度も最初34飛合から考えてそれでは早いことが分り、78飛に戻りました。
本作はと金がなくても成立すると思いますが、と金のおかげで14角の筋を早く考えることが出来て助かりました。
- S.Kimuraさん:
- 最初は7手目に14角としたため,最後のほうで失敗したことに気付くはめになりました
と金の連取りが見えているので、まずは14角から読みますよね。
- 隅の老人Bさん:
- ウ−ン、お見事。
これだけ繰り返されると、これしか言いようがありません。
- 鈴木康夫さん:
- 連取する前に下準備が必要。
- スイカズラさん:
- 「と金」のはがしには早く気付いたのですが、はがす前に8九角を入れておくのが気付きにくい手で、ここでしばらく盤面とにらめっこ。しかし、ここに気付いてからはスラスラと解けました。歩を一通りはがして香を奪取すれば、収束は呆気ないほどきれいな詰め上がり。
私事で恐縮ですが、生まれて初めて100手台の問題が解けました。感動ものです。
100手超え初解答おめでとうございます。作者もくるくる冥利(?)につきるでしょう。
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