次へ
次へ 		詰将棋おもちゃ箱 − くるくるおもちゃ箱
くるくる展示室　Ｎｏ．９４　志賀友哉さん 		くるくるおもちゃ箱
くるくるおもちゃ箱
出題時のコメント：

桂合をさせないためには。４０手台
歩がたくさんあるので、左に追える形。ちょっと進めてみましょう。

　　１６歩、２５玉、２６歩、３５玉、３６歩、４５玉、４６歩、５５玉、５６歩、６５玉、６６歩、７４玉、

最後７５玉なら７６香の１手詰なので、７４玉と逃げます。 それでも７６香と打って、さて合駒は？
歩合は二歩なのでできません。 香合なら同香、同玉、７６香まで。 桂合なら・・・ まるで詰みそうにないですね。
そこでヒントの「桂合をさせないためには」です。

初形では玉方は桂を持っていません。 桂合されたのは途中で４枚の桂を取られたから。
何とか桂を渡さないようにできないか。
そんなうまい話があるわけない ・・・ いやあるのです。 志賀さんの魔法はこちら。

　　１６歩、２５玉、２４と、同玉、２３桂成、２５玉、

２３のと金が成桂に変わっただけのようですが、もう一つ大きな違いがあります。
それは３５桂が盤面から消えたこと。 これで玉方は３５で桂を入手できなくなりました。
この魔法を４回使えば、玉方は１枚も桂を入手できません。

　　２６歩、３５玉、３４と、同玉、３３桂成、３５玉、
　　３６歩、４５玉、４４と、同玉、４３桂成、４５玉、
　　４６歩、５５玉、５４と、同玉、５３桂成、５５玉、
　　５６歩、６５玉、
　　６６歩、７４玉、
　　７６香、７５銀合、

７５桂合ができないため、やむを得ず７５銀合（飛角金香合は取って簡単）。

　　同香、同玉、８４銀、７４玉、

ここからなんとまた趣向が始まります。

　　７３と、６４玉、６３成桂、５４玉、５３成桂右、４４玉、４３成桂右、３４玉、
　　３３成桂右、２４玉、２３と、１４玉、１５歩　まで４７手
作者：
狙いとしては逃げ駒の趣向化です。 首さんのサイトの逃げ駒を繰り返すことが出来るのではないかと思ったのがそもそものきっかけで、偶然にも銀合からの折り返しが入ってこのようになりました。
頭２手は他にもっとやりようがあるかと思いましたが、適当な手が思い浮かびませんでした。
いずれにせよ、首さんは本当に偉大な方だと思います。
首猛夫さんは、解答者に挑戦する作品群を創作し続けた般若一族のメンバです。 残念ながら２００８年８月癌で亡くなられました。 首さんのサイト般若一族の叛乱では、首さんをはじめ般若一族の作品の詳細な解説が掲載されています。 「逃げ駒」もその１作で、桂を渡さないためにあらかじめ逃げておく伏線がテーマ。 なお、首さんのサイトは管理者逝去のためいずれ見られなくなると思われるので、見たことがない方は今のうちにごらんください。

本作は「逃げ駒」の桂の事前退避の伏線を繰り返して趣向化した作品です。 高度な狙いなのに難しさを抑えてくるくる化しているのに感心。 メインの逃げ駒趣向のあと戻りの趣向まで入り、初手と呼応した最終手で収束と、完成度の高い作品です。

もう１作同時に投稿された作品がありますが、初投稿なのにいずれもハイレベルな作品でびっくり。 もう１作も近いうちに出題しますのでご期待ください。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
広瀬稔さん：
桂馬を取らせない。
中澤照夫さん：
桂を取られないように成桂を作っていく。合駒は銀のようだ。
小野寺さん：
桂馬の配置がユニーク。取られてはだめな仕組み。
小峰耕希さん：
実にくるくる向けなアイデアだと思う。
凡骨生さん：
と金を成桂に替えるトリックにうっとり。
躑躅さん：
最後、右に戻ってくるとは思いませんでした。
稲葉上さん：
桂を取ると、と金のつり天井が降りて来る。
しろねこさん：
桂成でと金を取らせ、徐々に追い詰める。
桂合がどこだか全く分からず。
長谷繁蔵さん：
ヒントを先に見て桂合に落ちず残念。合駒は注意ぐらいにして欲しかった。次作期待
鈴木康夫さん：
桂成の意味付けと言い、銀の限定合からの折り返しと言い、ただただ見事な趣向としか言えません。
大森常一さん：
ヒント様様でした。
利波偉さん：
桂合いをさせない為の捨て絞り趣向は良いし、一往復させて歩突きに始まって歩突きで終る構成にしたのも巧みです。
嵐田保夫さん：
７五に桂合をさせない工夫と１六歩に始まり１五歩にわたるエンディングに好感が持てる。
魚熊さん：
「と金はあげるけど、桂馬はあーげない」ｂｙ意地悪な先手。
S.Kimuraさん：
歩を使い切った後にどうすれば良いのか悩みましたが，右側に戻っていくとは思いませんでした。
隅の老人Ｂさん：
くるくる？、難しいよ。最後は突き歩、上手く出来てる。
馬屋原剛さん：
これは高級なくるくる。初手と最終手がリンクしているのもよい。
数年前ウェブ上で、と金ベルトが１サイクルごとに端から成香に変わっていって、最後には成香が４つ並んで収束に入った作品を見た覚えがあります。今考えてもどういう仕組みか全く思い出せずもう一度鑑賞したいのですが、どなたかご存じないですかね？
小規模なと金ベルトならくるくる展示室Ｎｏ．１５（でこぽんさん）がありますが、成香が４つ並ぶのは？　フェアリー？　どなたかご存じの方、よろしくお願いします。

くるくる展示室Ｎｏ．９４　解答：１８名　全員正解（下記）

　　嵐田保夫さん　　稲葉上さん　　上田阿吽さん　　魚熊さん　　馬屋原剛さん
　　S.Kimuraさん　　大森常一さん　　小野寺さん　　小峰耕希さん　　しろねこさん
　　鈴木康夫さん　　隅の老人Ｂさん　　躑躅さん　　利波偉さん　　中澤照夫さん
　　長谷繁蔵さん　　広瀬稔さん　　凡骨生さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。