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詰将棋おもちゃ箱カピタンリバイバル
カピタン展示室 No.23 シンさん
アンチキルケ協力詰 7手
カピタンリバイバル
カピタンリバイバル

手順はこちらでご鑑賞ください。

出題時のコメント:

たまには変わった詰将棋でも ==> カピタンリバイバルへ

アンチキルケ 駒取りを行った場合、駒取りをした駒は最も近い初期位置に戻る。
==> アンチキルケルール
==> アンチキルケ入門 (Takubon's 詰将棋
協力詰(ばか詰) 先手後手協力して、最短手順で後手玉を詰ます。

カピタンリバイバルは、変則将棋・変則詰将棋のコーナーですが、将棋にとどまらず、中将棋や中国象棋の詰将棋から詰碁などいろいろなゲームの詰めものまで広く扱っています。

変則将棋とは普通の将棋とどこかを変えた将棋で、安南将棋や衝立将棋が有名です。 変則詰将棋も同様に普通の詰将棋とどこかを変えた詰将棋で、チェスのFairy Chessから名前を取ってフェアリー詰将棋と呼ばれています。 こちらは、協力詰(ばか詰)が一番知られているでしょうか。

アンチキルケルールはチェスのAntiCirceを将棋に適用したもので、2005年2月に若林さんによって提案された、フェアリー詰将棋の中では新しいジャンルです。

駒取りを行った場合、駒取りをした駒は最も近い初期位置に戻る」というのが基本的なルール。 例えば15香、同金と取ると、香は普通に後手の持駒になりますが、取った駒(金)は取ると同時に初期位置である41に移動します(61も初期位置だが、61より41が近いので)。これを同金/41金のように記述します。

本作を理解するために重要な補足ルールが二つ(詳しくはアンチキルケルールを参照)。
一つは「成駒は成ったまま戻る」。 例えば、15香、同龍と取ると、龍は成ったまま82に移動します。
もう一つは「初期位置に駒があり、戻れない駒は戻らない」。 例えば、16香、15歩合、同香と取ると、戻るべき19には既に19歩があるので、この場合は香は15にそのまま残ります。

さて、本作はアンチキルケルールの協力詰。 協力詰は「先手後手協力して、最短手順で後手玉を詰ます」もの。 つまり、王手しながら両方の駒を(ルールは守って)好きなように動かして7手で詰んだ局面を作れれば成功です。

ここまで来ないと解き始めることができないので、はじめての方にはハードルが高かったと思います。
アンチキルケはおもしろい問題が多いので、この機会に本作の解説を読んでおぼえてしまいましょう。

シンさんは初登場の作品も簡潔な初形のアンチキルケ協力詰でした。
第2弾の本作も初手が香打しかなく手が狭いので、考えやすい問題です。

アンチキルケで重要なのが51玉と移動できないようにすること。
王手して同玉と取られると玉は51に移動してしまうので、これを防止する意味ですね。
71の角が移動すれば91龍が51に利いてくることを考えれば、18香、17龍、同香、同角という順が浮かんできます。

17同香は19が塞がっているので香はそのまま残ります。
しかし、17同角は角が初期位置の22に移動します。 この移動がなければ13飛の一発(51に龍が利いているので同玉とは取れない)なのですが・・・

この先はアンチキルケに慣れていないと思いつくのは難しいので、正解を見てみましょう。

  18香、17龍、同香、同角成/22馬、11龍、12馬、13飛 まで7手

協力詰では後手は詰みやすいように不成が普通。 本作では常識を裏切って17同角成/22馬。 そのココロは12馬とするためです。 でも13飛で詰んでいるんでしょうか。

13飛に同玉/51玉は龍が利いているのでできません。 13飛に同馬/22馬は11龍が14に直結するので、これもできず、結論として13飛までで詰みということになるのですね。 アンチキルケ特有の詰上りです。

作者:
7手ですが、紛れが少ないので簡単だと思います。でも、そんな中に角成というピリリと香辛料のきいた手があるのでまあまあでしょうか。「アンチキルケって面白い」と思ってもらえれば嬉しいです。

「ルールで敬遠されないか心配ですが・・・。」との作者の心配通り、アンチキルケがはじめての人には大変だったようですが、7名様から解答をいただきました。 今回パスされた方も、本作を見ておもしろいなと思ったら、次回はぜひ挑戦してみてください(手順はこちらでご鑑賞ください)。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

神無七郎さん:
フェアリーでは「成」が妙手であることを再確認させてくれる作。
序をもう少し何とかして欲しい気はしますが、北村手筋の面白い応用例だと思います。
北村手筋については、たくぼんさんのアンチキルケばか詰入門第5回をごらんください。
広瀬稔さん:
解くのに非常に苦労した。12馬が盲点でした。
小峰耕希さん:
懐かしい北村手筋。初形で仕掛けが見え見えな感じなのが惜しい所。
たくぼんさん:
この詰上りは慣れないと気付かないでしょう。作者の感性がうらやましい。
S.Kimuraさん:
17角不成ばかり考えていたので,答えが全く見えませんでした.
隅の老人Bさん:
最後の飛打が光る。取るに取られず、アレマア。

カピタン展示室No.23 解答:7名 全員正解

  S.Kimuraさん  神無七郎さん  小峰耕希さん  隅の老人Bさん  たくぼんさん
  躑躅さん  広瀬稔さん

当選者は、展示室で発表しています。