| アンチキルケルールは、たくぼんの解図日記でのアンチキルケ入門の連載やアンチキルケばか詰の定期出題でフェアリー詰将棋ファンにはポピュラーなルールになりました(現在第10回アンチキルケばか詰作品展が開催中(7月25日まで))。 協力自玉詰もフェアリー詰将棋では歴史のあるルールですが、両方とも普通の詰将棋ファンにはまだ敷居が高いルールかもしれません。
 さて、本局はその「アンチキルケルール」の「協力自玉詰」です。 短編の協力自玉詰は、詰上りを想定して、初形からどうやってその詰上りにもっていくか考えるのが定跡。
 
 じっと眺めていると、35玉を47まで移動させて29角、同龍まで、という詰上りが浮かんできます。 本局が普通の協力自玉詰だったら、例えば「47桂、36玉、18角、47玉、29角、同龍」ぐらいで49の玉が詰み。
      ところが、アンチキルケなので、この手順では最後、29同龍/82飛となって、全然詰みません。
 
 それではアンチキルケでこの詰上りを実現するには、どうすれば良いか。 そこに作者の狙いがあります。
 
 47桂、46玉、82角、55角合、
 
 最後の29角、同龍のときの82への移動を防止する手段が82角の限定打。 角をここに打ってしまったので、29に打つ角を入手するため、角合をさせますが、この位置も55角が限定。 限定の意味は次の手で明らかになります。
 
 55同桂/89桂、47玉、29角、同龍 まで8手
 
 55同角/88角では王手になりませんが、55同桂と取ると、桂が89か29に移動するので再び82角による王手になります。 慣れないとちょっと気づきにくい手です。 桂の移動先は89か29か選択できますが、29ではあとの29角が打てなくなるので当然89です。 これでようやく、最初に想定した、29角、同龍の詰上りが実現できました。
 
 簡潔な初形ですが、8手もあるといろいろな手が考えられるので、詰上りの想定とそのために必要な手順が見えないと、かなりj難しい問題です。
 
        作者:
        5筋で桂の効き筋に合駒をして、それを取った桂が遠隔地に復活するというのは、ぷらさんの連作等で殆ど手筋になっているようですが、その桂を限定打で発生させるのはまだ見た事が無いので一応存在価値はあるのかなと思います。本作は詰上がりから逆算したものですが、駒数を増やさずに出来たのが気に入っている点。頑張れば更に逆算できるかとも考えましたが、それは使用枚数が増えそうなので止めてしまいました。
 角限定打に限定角合、桂のそっぽ復活と、最後の29角、同龍のためすべてきれいに限定されているのが気持ちいい。 この手順を盤面わずか3枚で実現できたのは収穫で、これ以上の逆算をやめた作者の判断は正解と思います。
 それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
 
        隅の老人Bさん:
        たくぼんさんに鍛えられて、少し腕が上がりました。角打の伏線も、おかげで容易に発見です。
 
 
        橋本孝治さん:
        ある枡を塞ぐための82角の限定打、ある枡を空けるための89桂の限定復活。 この2つの対比がきれいに表現されています。駒の補充を考えれば解き易い作ですが、このルールに慣れていない人にとっては難しいかもしれませんね。
 
 
        小五郎さん:
        自玉詰ならではの合なしの詰上りですね。
        前作に引き続き最少限の駒構成で角の打場所や桂の戻り位置を限定してすべて計算された仕上がり。
        本当にお見事ですね!
 
        小峰耕希さん(作者):
        多分ルール慣れしている方はすぐにわかると思うのですが…。前回出題して頂いたアンチキルケ協力詰(5手)にしても、ルール初心者にとってはちょっとハードだったかも知れませんね。僕がルールも手順も難解な作品ばかり出して、却ってフェアリーを敬遠されてしまうのは避けなければいけないので、カピ展3度目の登場は何とかくるくる級の内容で、ルールも協力詰か、悪くとも協力詰+α程度で作ろうと思います。その条件に該当する物はまだ出来ていないのですが…。
 くるくる協力詰、お待ちしています (^^) 
        たくぼんさん:
        詰上がりは予想がつくので難しくはないですが、82への限定打が含蓄のある1手であり、桂の復活位置選択の味もよく好作です。
 
        S.Kimuraさん:
        47桂 26玉 71角 37玉 82角成 55桂 同桂/89桂 55香 29桂 同龍
 これで自玉が詰んだつもりだったのですが,今,良く見ると10手詰めでした. 8手で到達できる詰みの形に全然分かりません. 残念ですが,これも断念します.解答を楽しみにしています.
 
 作意にかなり迫った解答。 あと一歩でした。 残念。 
        
      ピッコロさん: (おもちゃ箱掲示板より)
        う〜ん、6月解けたのは結局どきどきの1作だけでした。どきどきのもう一作は難しすぎたし、アンチキルケ自玉詰め、いくら考えても10手になってしまうし・・・。 まいりました。 早く回答がみたい!!
 
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