次ヘ
次ヘ
詰将棋おもちゃ箱カピタンリバイバル
カピタン展示室 No.4 小峰耕希さん
アンチキルケ協力詰 5手
カピタンリバイバル
カピタンリバイバル

手順はこちらでご鑑賞ください。

出題時のコメント:

最近大流行のルール。こちらを読んで挑戦を。

アンチキルケとは 「(双方共)駒取りを行った場合、駒取りをした駒は最も近い初期位置に戻る」  というルール。 協力詰(ばか詰)は 「先手後手協力して、最短手順で後手玉を詰ます」 ルールの詰将棋です。 例えば図で12香と打って同玉と取ると、取った玉は指し将棋の初期位置である51に移動します。 これを手順では、「12香、同玉/51玉、」と表記します。 12香を同角と取った場合は角の初期位置22にすでに桂があるので移動できません。 この場合は角は12にそのまま残ります。 詳しくはアンチキルケルールをごらんください。

アンチキルケルールはチェスのAntiCirceを将棋に適用したもので、Onsite Fairy Mateの掲示板で2005年2月9日、若林さん(YOMUKA Fairy)によって提案されました。提案と同時に各氏が創作し始め、2005年9月19日、たくぼんの解図日記でアンチキルケ入門の連載開始(アンチキルケ入門にまとめられています)でブレイク、現在のフェアリー詰将棋でもっとも流行しているルールになっています。これまでの経緯はアンチキルケ入門詰将棋メモ)で見ることができますので、興味がある方はどうぞ。

小峰さんは、おもちゃ箱ではくるくる展示室で登場していますが、アンチキルケばか詰作品展などで活躍しているフェアリー詰将棋作家でもあります。カピタン展示室初登場となる本作もアンチキルケ協力詰。どんな狙いが秘められているのか、楽しみです。

普通の協力詰なら、12香、同玉、23角、11玉、12銀までで簡単。アンチキルケでは2手目同玉が駒取りなので、12香、同玉/51玉となって全然詰みません。アンチキルケでは、この51への移動をどう防ぐかが一つのポイントです。

「1四香,同桂/2一桂,3三角,2二合駒,1二銀まで 5手詰
ルールの理解がイマイチなので自信がありませんが,5一へ戻れないのはこれしかないかと。」


そう、王手しながら51へも利かせるには33角しかなさそう。すぐ打っては王手にならないので、その前に22桂を移動させる。33角としてから12銀と打てば、同玉/51玉とはできません。その構想は正解なのですが、この手順だと残念ながら12銀を同角と取れるので、詰んでいません。22が塞がっているので、12同角とできないと思いがちですが、初期位置が他の駒で塞がっているときは普通に取った駒がそのまま残るルールになっています。

では、12同角をどう防ぐか。ここが本作の最大の狙い。巧妙な手順をごらんください。

  18香、14桂跳、33角、18角不成/22角、12銀 まで5手

初手18香は限定打。角に取れる位置に打つことによって、4手目の角の移動合を可能にしています。4手目は不成でいくのが重要なところ。18角成/22馬では、12銀を同馬/22馬と取れるので詰みません。

作者:
アンチキルケでは(51を抑えるための限定打を除けば)短打か最遠打が多いのですが、わざと取らせるために中空に放つ香の感触は悪くないと思います。
因みに持駒香を飛にして玉方41歩を配せばそれでも成立していて、初手の感触は更に良くなるのでしょうが、初形盤上3枚の形が気に入っていたので、駒数が増えるこの案はやめにしました。

18香、33角の限定打、14桂の移動合、18角不成/22角の不成限定のアンチキルケ移動合、取禁状態の詰上りと、わずか3枚の簡潔な初形にアンチキルケの魅力をたっぷり詰め込んだ、素敵な作品でした。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

橋本孝治さん:
居食いの可能性を消すための角不成。
簡素な初形からこれが出てきたのは収穫。
たくぼんさん:
アンチキルケの魅力を充分に引き出している作品ですね
北川仁士さん:
かなり悩みました。
ttdiamondさん:
5手で詰ますスキームがどうしても浮かばず投了,FMで鑑賞に走ってしまいました。
5手詰なら2手目に桂,4手目に角を動かさなくてはならないはずですが,なるほど1八香をタイミング良く取らせるのか・・。良問ですね。
これまで複雑なルールに消極的だった私も挑戦してみましたが解けず,でも良問とは理解できる。
こういう人がいるなら,啓蒙としては成果アリでしょうか?
FM自体も初めて試したのですが,スゲー!!ちょっと感動しました。
どかん5号さん:
盤面たった3枚から驚きの手順。特に角不成限定がチャームポイントですね。
隅の老人Bさん:
たくぼんさんに鍛えられていますが、これは難問、そして好作。
小峰耕希さん(作者):
今回の出題作で一番ルール名が込み入ってますねぇ。
後は手数でどこまで補えるかですが…。
PCが普及したお陰で、僕のような検討力ゼロの者でも詰将棋を出題出来るようになった訳ですが、逆に言えば検討ソフトが無いルールを作る勇気が無いって事なんですよね…。
でも、協力詰創作の先駆者が管理なさっているサイトで、アンチキルケ「協力詰」が発表出来るのはやはりPC通信発達のお陰。
やはりPCには足を向けて寝られません。
諏訪冬葉さん:
3手目-▲33角と打って51をふさぐ
2手目-▽22桂を動かす
ここまですぐ気付いたのに初手を▲14香として悩んでました。
もずさん:
1手おいて香を取る。
アンチキルケ独特の手筋ですね。
S.Kimuraさん:
桂ではなくて角を戻す構想だったとは驚きました.
若林さん:
持ち駒3枚で綺麗な作。アンチキルケ含む移動合2連続。
井上順一さん:
4手目の18角生はなかなか発見できなかった。すごい手。

おもちゃ箱では初めてのルールで、ちょっと心配していたのですが、フェアリー特集の中でもっとも多い解答をいただきました。 たくさんの解答と感想、ありがとうございました。


カピタン展示室No.4 解答:13名 正解:12名

井上順一さん  S.Kimuraさん  北川仁士さん  小峰耕希さん
隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  たくぼんさん  ttdiamondさん
どかん5号さん  橋本孝治さん  もずさん  若林さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。