なし6類型は1989年に山口成夫さんが創作した類型で、その後各氏が改作を発表しています。
作者「この形については私が1989年1月に詰パラに原理図を投稿して以来、色々発展を加えられた方がいて原作者として嬉しい限りです。
私も最初の原理図の改作を数題行い詰パラで入選はしましたが、いずれも配置が大きくなってしまい実戦価値が乏しいものになってしまいました。
そこで最近、これまでに発表された色々な「なし6類型」を調べ、これまでとは違う視点に立ち創作をしてみました。」
ということで3作投稿があり、今回特集を組ませていただきました。
大道棋はお客さんに手を出してもらわないと商売にならないので、手を出したくなる初形がとても重要。
その観点からお客さんの食いつきの良さを初形の面積(駒の広がり)と各駒の点数から評価したのが集客度です。
計算方法はこちらを参照。
「集客度が80点以上なら、かなりの好形、 60点台ならまず合格、 50点以下だと大道棋としてはちょっと使えない感じである。 」
もちろん初形がよいだけでは手を出してくれないので、大道棋の実戦価値は形だけでなく、いかにもすぐに詰みそうな誘い手なども重要になってきます。
なので集客度は一つの目安にすぎないのですが、大道棋で90点以上はまれなのと、まだ駒を増やせる、つまり改作の余地が大きい点はなし6類型の優秀さを示しています。
最初の本作は
作者「客寄せ問題です。
受方7四香がなく初手7四金の紛れがないのは寂しいところですが7四香を置くと7手目7一桂成で早く詰みます。
これは原理図と全く同じ駒を使用した改作図と見ていただければ幸いです。」
この類型の誘い手は73金や93金、そして通常は受方74香が配置されていて74金も有力なんですが、本作は74香がないので初手は二択。
73金と93金、どちらが正解でしょうか。
大道棋の中では香歩問題がもっとも知られていて、73金とした形が、香歩問題で72歩、81玉、85香とした形に類似することから、73金から考える方が多いと思います。
83歩の中合は82金と捨てて簡単なので、83金合ですが、72金、91玉、83桂不成、92玉、91桂成、93玉、84金までなので、その前に84への中合が必要。
84歩合では91玉の時92歩があるので桂合。
ということで、73金には84桂合、同香、83金合の二段中合で逃れとなります。
正解は逆方向の93金。
これでも83中合には82金があるため83金合で、以下さっきと違って63金と押さえる手が生じるのできれいに詰みます。
93金、83金合、92金、71玉、83桂不成、72玉、63金、61玉、
71桂成、同玉、82金(82香成)、61玉、72金寄(72成香) まで13手
集客度抜群で、客寄せにぴったりの問題でした。
それでははみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 蛇塚の坂本さん:
- 合い駒を飛か金で悩んだが飛が早詰みと分かり安心した。
- 市原誠さん:
- 守備駒が邪魔になると泣ける!
- Estalightさん:
- 少ない配置でまとめられていて良いと思いました
- 山下誠さん:
- 8二に利く合駒を考える二択問題。
- 金少桂さん:
- 簡素な初形、93金型の基本手順で、なし6類型の導入にぴったり。
63金・71飛のどちらも打てる形なので安心して7筋に追い出せますね。
- 安田博信さん:
- 大道詰将棋について少しも知らなかった僕は、最初に問題を見たとき、7三金で詰むではないか、と戸惑いました。
しかし、調べてみると、意外な受けがあるのが特徴だとわかりました。
解答がわかると(正解か分かりませんが)、問題を2回楽しんだような気持ちになりました。
楽しかったです。
安田さん、初解答ありがとうございます。
大道詰将棋はいろいろ誘い手があるので、1題で何回も楽しめるのがいいところですね。
- 占魚亭さん:
- ウォーミングアップにぴったり。
(本作では紛れだけど)84桂〜83金の筋の復習になりました。
- はまちさん:
- 二手目の中合いが面白いですね。
- 小山邦明さん:
- 初手の金の移動をするかが勝負を分ける。
- 森田正さん:
- 93金と73金の二択。
73金が84桂が妙合ですね。
- 中村丈志さん:
- 初手7三金とばかり思っていたので、9三は意外だった。
- 池田俊哉さん:
- ひとめ73金と行きたくなるが、84桂-83金の二段合で不詰
73桂の打ち場所を残す93金初手が決め手
- ootanowatasi67さん:
- 金寄と、香成のコキズが惜しい。
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