次ヘ
次ヘ
詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート

ドキドキ展示室 No.128 鳥本敦史さん

ドキドキストリート
ドキドキストリート
棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
ドキドキストリートは昔懐かし大道詰将棋のコーナー。40手台

ドキドキ展示室No.128 鳥本敦史

今は昔。 昭和の時代にお祭りの時や道路の脇で、大きな将棋盤を使って詰将棋を出題する大道詰将棋という商売がありました。 詰めそこなったら研究料をとる、見事詰められたら研究料は無料で賞品をあげるという仕組み。 将棋以外にも大道五目(連珠)の店もよく出ていたようです。

当然、すぐ詰みそうに見えないとお客さんは手を出してくれないので、大道詰将棋(大道棋)は、一見簡単に詰みそうな誘い手が多い問題がよく使われました。 もちろん実際には巧妙な受け方があって、容易には詰まないわけです。

大道棋は同じように見えてちょっとだけ配置が違う問題が多くあり、これもお客さんに知ってる問題と勘違いさせて手を出させる効果がありました。 この一連の問題群を類型といいます。 有名な類型として、香歩問題、銀問題、金問題などがあります(持駒からそう呼ばれています)。 どんな類型があるか気になる方は、大道棋類型辞典をごらんください。

本作の類型は近年になって利波偉さんによって創作されたもので、利波型飛問題と呼ばれています。 利波さんをはじめ多くの方がこの類型の問題を作っていて、かなりの数の問題があります。 はじめて登場したのが、ドキドキ展示室No.29。 はじめてこの類型を見る方は、これの解説で誘い手を説明していますので、ご参照ください。

さて、本作は利波型飛問題では珍しい双玉の問題。 77王が頑張っているので簡単に詰みそうですが、実はかなりの難解作です。 誘い手の多い類型ですが、それは各自研究いただくとして、正解を見ていきましょう。

初手は普通に74飛(限定打)から入ります。 これには84角と移動合するのが定番の受け。 同金、95玉に85金や94馬が普通の攻め方ですが、ここで75飛として84金を取らせてしまうのが驚きの新手。 ここからこの類型では初めての世界にはいります。

  74飛、84角、同金、95玉、75飛、84玉、85飛、73玉、

85飛に正解は73玉ですが、74玉もかなり大変。 52角、63銀合、83馬、64玉で、65馬、53玉、43馬、62玉、63角成以下( 65馬では65飛、54玉、63飛成でも詰み)。

73玉に単に83飛成では64玉で上が広すぎます。 55角、64合、83飛成までなら簡単だけど、逃げられるとダメ。 ここが本作のハイライトで、37角の限定打が正解です。 46角では57に利かせる55香中合で逃れ、28角や19角では55桂中合で詰みません。 37角に対しては55歩・香・桂合は83飛成、64玉、56桂以下。 55銀・金合は同角以下。 これで詰んだかと思うと、46歩中合がありました。

  37角46歩合、同角、55香合、同角、63玉、83飛成、54玉、

72馬、55玉、53龍と攻めが続きますが、72馬にはいったん65玉として63龍、55玉とする方が2手伸びます。

  72馬、65玉、63龍、55玉、54龍、46玉、45龍、37玉、

入玉されても、ここから押し戻します。

  39香、38歩合、36龍、48玉、38龍、57玉、58歩、56玉、
  68桂、65玉、66歩、74玉、75歩、84玉、

75歩に84玉のところ64玉は34龍以下いろいろな詰みがありますが、最短で作意と同じ49手(最終手は、83馬、83龍、95龍、63馬など)なのでこれも正解です。

  76桂、95玉、73馬、96玉、74馬、97玉、98歩、同玉、
  57歩、99玉、88龍 まで49手

作者「双玉の利波型飛問題です。 何もないところからの37角限定打が狙いです。 収束変化同手数ですが、そこは気にしないことにします。」

4×7に収まり集客度は77とまずまずの初形。 84金を取らせる新展開から中空の限定打が登場し、それに対し二段中合の妙防。 大道棋の魅力がたっぷりつまった力作でした。 変同は解答者はちょっと迷うけど、大道棋としては問題ありません。

それでははみなさんの感想を。 解答到着順です。

山下誠さん:
序の香合が龍引きを防ぐ妙防。その後の龍による追跡も凄まじく、殆ど盤面を一周しての見事な詰め上がり。

18手目55玉の47手解でしたが、実戦なら詰められると思われるので正解扱い。

金少桂さん:
37角の限定打と、それに対する46歩・55香の二段中合が驚愕の受け。
おかもとさん:
37角に対して二段合とか、大道で出題されたら絶対無理。
占魚亭さん:
難局。入玉した玉を追い返すために打った桂歩の活用が見事。
小山邦明さん:
二段の合駒が出てきてドキッとしましたが何とか詰ませたと思います。
新しい詰手順の発掘はすばらしいです。
池田俊哉さん:
利波型飛問題の双玉タイプは珍しいが、75桂を質として入手した後の37角限定打からの歩-香連続中合は素晴らしい。 21手目以降はいろいろな攻めがありそうだが、記載した手順あたりが最短になりそうか
S.Kimuraさん:
合駒が多くて難儀しました.
中合が2回連続して出てくるところは凄いですね.
inokosatoshiさん:
37角に対する2連続中合に驚き。

ドキドキ展示室No.128 解答:8名 全員正解(下記)

  池田俊哉さん  inokosatoshiさん  S.Kimuraさん  おかもとさん
  金少桂さん  小山邦明さん  占魚亭さん  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。