この類型は2013年に利波偉さんが創作した新しい類型で、利波型飛問題と呼ばれています。縦横の飛打ちや金を動かす空き王手もいろいろ、誘い手が豊富で発展性があるため、多くの改作が作られています。
最も有力なのは横からの飛打ちですが、角引きから入玉される展開になる可能性が高いため、どこから飛を打つかが重要。 例えば54飛と打てば将来58飛や59飛と引くことができるなどです。
本作の場合は64飛(以遠)が正解。 その意味は、84角に同金、95玉、85金、96玉(同玉は74角以下)、86金、97玉、88角、98玉、99歩、89玉、78銀、同玉に68飛と引くため。
以下は89玉、34馬、67合、69飛、78玉、79飛まで21手で詰み。
そこで、64飛に対してはこの順を防ぐため、いったん74に中合してから84角と引くのが妙防です。
64飛、74桂合、同飛、84角、同金、95玉、
74の中合は普通に歩合ではなく桂合。 この違いはかなり進まないと見えてきません。
95玉にさっきの85金の順は同玉で74飛が取られるのでダメ。 馬で追います。
94馬、96玉、85馬、97玉、75馬、98玉、76馬、89玉、
94馬に同龍は同金以下簡単。 馬追いの途中で75の桂を取って飛筋を通します。
ここからは、78銀と捨てて23角から14角成ともう1枚馬を作ります。
78銀、同玉、23角、69玉、14角成、78玉、79歩、同玉、
88銀、同玉、77馬、97玉、89桂、98玉、
最初74桂中合が歩合だったら、ここで99歩と打って簡単。 というわけで桂合が正解でした。
歩がなくても、32馬、89玉、78馬以下で詰みそう。 しかし、ここでまたまた中合の妙防があります。
32馬、76桂合、同馬引、89玉、67馬引、98玉、
76桂合が歩合だったら、ここで99歩以下です。
桂合だと、76馬右では千日手で一見切れ筋。 しかし、ここで88馬捨てが炸裂、収束に向かいます。
88馬、同玉、78飛、97玉、89桂、96玉、88桂、87玉、
77馬、98玉、96(76)桂、89玉、88馬 まで47手
4×7に収まり集客度80の好形から、64飛に74桂中合から始まり、入玉させてからの攻防もすばらしい。 利波型飛問題の名作誕生。
作者「初手64飛の限定「横から飛」に対して2手目74桂合が新手。
途中から小山邦明氏作(2013年12月・詰パラ/よもやま21)と手順が合流しますが、小山氏よりこれは新作ですねとのお言葉を頂きましたので投稿します。」
それではみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 金少桂さん:
- 鳥本氏お得意の飛の後ろ利きと2枚角による迷宮のような手順。
ドキ展No.95を解いた経験が活きたので割とすんなり解けました。
結局No.95と同じ収束になるのがなんとも不思議ですね。
- 山下誠さん:
- 馬で取れる駒は全て取ってから追跡が始まる。合駒で稼いだ桂を使って何とか詰めたと思う。
88馬まで45手解。 どこかで2手抜けた?
詰めていると思われるので正解としました。
- S.Kimuraさん:
- 2手目の歩合と桂合の違いを把握するのに時間がかかりました.
歩合の方も,打歩詰の変化があったりして,楽しめました.
- 占魚亭さん:
- きらりと光る限定打23角。
88馬まで49手解。 25手目77馬のところで、66馬、77桂合、同馬とされたと思います。
迂回手順なので、当然これも正解です。
- 小山邦明さん:
- 75桂があると87への利きがあるので詰ましにくそうというのが第1印象で、この桂を取りにいく事から考えました。 2枚の並んだ銀が捌ける手順はすばらしく、利波型飛問題の最長手数作品だと思います。
25手目は66馬(77合、同馬)としても詰むように思います。
- 小林巧さん:
- じーっと見つめる91龍の視線が不気味どすなぁ。
小林さんも88馬まで49手解でした。
- 池田俊哉さん:
- 初手92飛は続かないので横から打つ一手。
74飛と近いのは下段に引けず詰まないので離し打ちだが、74桂中合から84角の受けは面白い。
その後は大駒3枚で追い回す筋になるが、最長手数の自信はない、間違っててもおまけしてくれるかな(笑)
作意解で正解です。
- 嵐田保夫さん:
- ようやく40手台になった(苦笑)。
筋ははっきりしているが、最長手順がなかなか見つからずどうしても30手台を抜け出せず苦戦。
拠点の銀が邪魔になって取らせて大駒で仕上げる意外性はいい。
初手74飛以下同様に追って、78飛、97玉、89桂、87玉、77馬、96玉、98飛まで43手解。
89桂に96玉で逃れ。 いい線でしたが、残念ながら不正解です。
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