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詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート

ドキドキ展示室 No.95 鳥本敦史さん

ドキドキストリート
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
入玉を恐れない 40手台

ドキドキ展示室No.95 鳥本敦史

本作はドキ展29から始まった新しい類型の問題。 大道棋類型辞典では飛4類型ですが、創始した利波偉さんにちなむ利波型飛問題の方が良く使われています。 ドキドキ展示室をはじめ、詰パラの大道棋よもやま話での紹介 (大道棋よもやま話 第18回 利波さんの新型大道棋) をきっかけに詰パラでの発表も多くなり、近年で改作の多い類型です。 74飛の一発(84合は同金まで)、73金以下、93金以下など初級者向けの誘い手が豊富で、形の割に内在する詰筋も多く、おもしろい改作が続々登場しています。

本作も74飛と普通にスタートして、84角の移動合が定番の妙防。 同金、95玉、85金、96玉と普通に進んで、94飛まで?は同飛で「あっ」。 87角、88玉、78金、99玉、33馬? 「いやお客さん、馬はそこには行けないよ」。

  74飛、84角、同金、95玉、85金、96玉、

78角もダメそうだし、はて困った。 というところで、詰パラの読者の方で2018年11月の大道棋教室で出題された鳥本作(左図)を思い出した人もいるかもしれません。

そう、87金と捨ててあえて入玉させてしまう妙手があるのです。 43馬と攻めて、96玉なら78角、97玉なら77飛、88玉なら79角と大駒3枚で捕まるという読み。 当然、大道棋屋さんは許してくれず、76歩と捨て合を放って、そのあとまだまだ大変です。

本作もこの87金捨てが正解で、43馬と攻めます。

このとき、参考図と同様76歩あるいは76桂の捨て合があって大変(棋譜ファイル参照)ですが、実は88玉と逃げる方がもっと大変で、こちらが作意になります。 参考図では85で歩が入手できたので、88玉には79角、89玉、34馬、98玉、99歩として詰み。 本作では桂なのでこの順は成立しません。

  87金、同玉、43馬、88玉、

79角ではダメなので、本作では44馬と攻めます。 逃げ方は97玉が最長で、89桂、96玉、78角と合駒請求。 87歩合では後に99歩たたきがあって早く、87桂合が正解です。

  44馬、97玉、89桂、96玉、78角、87桂合、同角、同玉、

さて、ここからの攻めに注目。 77飛、88玉から91飛を狙って71飛成の最遠移動!

  77飛、88玉、71飛成、89玉、45馬、98玉、91龍、97桂合
  99飛、同玉、97龍、98飛合

97歩合は同様に攻めて77馬まで41手で98金合の方が長く43手になります。
97桂合の場合、98金合は同じく43手ですが、飛合は45手になるので、この順が正解です。

  55馬、89玉、98龍、同玉、78飛、97玉、89桂、96玉、
  88桂、87玉、77馬、98玉、96(76)桂、89玉、88馬まで 45手

作者 「おそらく難解作。
ダイナミックな飛の移動がお気に入り。
68歩は余詰防止の配置。」

手がかりを捨てる87金、飛のダイビングなど妙手をちりばめて45手。 変化紛れもかなり深く、43手以下で詰めた方も3名様も。 この形からこの手順、利波型飛問題の傑作誕生。

それではみなさんの感想を。 解答到着順です。

山下誠さん:
開き王手から9一の飛車を奪うのは予想外の展開で、大駒の威力で何とか捕まえる。

48馬まで43手解。 97歩合〜98金合の読みで、桂合も同じと即断?

波多野賢太郎さん:
これは手順が実戦的で、玉方の応手に迷うところも多かったのでちょっと自信がありません。しかし、手数は長いですが、手は出しやすい駒数や初形だと思います。

16手目87香合として、91龍に87玉と逃げて28龍まで43手解。 87桂合が正解でした。

津久井康雄さん:
ぐるっと回って91飛を抜く展開は意外ですね。
占魚亭さん:
利波型の新たな傑作の誕生。飛の大転回が見事。
金少桂さん:
まず初形を一見して配置からそれっぽく見える初手93飛から85桂跳ねの筋で1回奉納。
入玉してからは変化紛れで同じ局面や似た局面が多数出現してまるで迷宮のようだった。
10手目76桂捨合の変化を詰ませるのに大苦戦。こちらは2回の76桂捨合が入るなど妙防が盛り沢山で、88馬捨ても見えづらい。

参考図の詰パラの問題とあわせて見ると微妙な違いがおもしろいですね。

小山邦明さん:
入玉してから中合をしてもなかなか逃れられない形。
91飛を取ってその飛を捨て更に合駒と活用される手順は斬新。
S.Kimuraさん:
入玉した後に,91の飛車を取りに行くとは思いませんでした.
池田俊哉さん:
87金から43馬の手順に不詰感が漂う。74→71の飛位置変換も面白く、入玉位置でなかなか粘る
嵐田保夫さん:
どうしても三十九手詰になってしまうが、推敲する時間が無いのでこのまま出します。

10手目76桂合として、88馬まで39手解。 88玉と逃げる手が成立するんです。


ドキドキ展示室No.95 解答:9名 正解6名(下記)

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  金少桂さん  小山邦明さん
  占魚亭さん  津久井康雄さん

当選者は、展示室で発表しています。