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 本作とＮｏ．８７は、なし１３と呼ばれる類型。 TETSUが１９７４年に発表した問題が元祖で、当時大阪の大道棋屋により実戦で出題され、かなり稼いだと報告されています。
簡素な形の割に多くの詰筋があるのが特長で、TETSUをはじめ（加藤徹全作品：大道詰将棋（持駒 なし）参照）、
いろいろな作家によって改作され、この類型の問題は約４０作にも及びます。
８４龍と切って、飛を横から打っても縦から打っても簡単というのがメインの誘い手で、もう一つ、
先に９６歩と突いてから８４龍と切るのも有力な詰筋です。
この３つの詰筋のうち最も多いのが横から飛を打つ筋。
本作もそれが正解ですが、先にほかの２つの筋を確認しておきましょう。
- ８４龍、同玉、８６飛、９４玉、８５馬まで？
・・・ ８６飛に８５角の捨て合で逃れ。
- ９６歩、９４玉、８４龍、同歩、９５歩、８３玉、７３飛、９２玉、
７２飛成、８２合、７４馬まで？
・・・ ７２飛成のとき、８２銀上の移動合で逃れ。
それでは本命の横から打つ筋。
- ８４龍、同玉、６４飛、９５玉、９６馬まで？
・・・ ６４飛にも７４角の捨て合がとんできます。 それなら
同馬、９４玉、９６馬、８４合、８５角まで？
・・・ ９６馬には８４歩と退路明けの移動合。 まだまだ
７２角、８３桂合、同角成、同玉、７４馬、８２玉、６２飛成以下で詰みそう？
・・・ ８３桂合でなく８３香合とされ、同角成、同玉、７４馬、７２玉、６２飛成、８１玉、 ８３香、８２桂合で逃れ。
ちょっと戻って、９６馬のところで５２馬と銀を取ったら詰む？
・・・ ５２馬に８４合なら確かに詰みますが、７４香とか中合されて逃れ
このあたり大道棋屋さんも良く研究しておかないと大変ですね。
しかし、あれ？ 横から打つ筋もだめ？
「５２銀に注目」という出題コメントを思い出しましょう。 そう、６４飛ではなく、５２銀をねらって５４飛と打つのです。
- ８４龍、同玉、５４飛、７４角合、同馬、９４玉、９６馬、８４歩、
８３角、同玉、 ７４馬、７２（８２）玉、５２飛成以下？
５２銀が取れるなら７２角で合駒を稼がなくても簡単です。
しかし、大道棋屋さんもさるもの、これぐらいではへこたれません。 ５４飛に６４歩の中合！
８４龍、同玉、５４飛、６４歩合、同飛、７４角合、同馬、９４玉、
９６馬、８４歩、７２角、８３香合、同角成、同玉、７４馬、７２玉、
６２飛成、８１玉、
６４飛と打った場合はこの順で逃れだったわけですが、今回は持駒に歩が増えています。 そこで、
８２歩、同銀、同龍、同玉、８３香、９２玉、８１銀、９１玉、
７３馬 まで２７手
８２で清算でき、香と銀を使って収束します。
作者 「なし１３類型で５２銀に狙いを付ける５４飛限定打の構想ですが実現出来ました。
予定通り６４歩中合が入りました。
その後はただの片付け手順です。」
私も１９９６年に本類型のいろいろな筋の問題を考えていたとき、５２銀型で本作の順を誘い手として創作したことがあります
（大道詰将棋（持駒なし）、Ｎｏ．１４８）が、
この順を作意にしてこんなにすっきり実現できるとは思いませんでした。
さすがは大道棋教室の先生ですね。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 山下誠さん：
- 銀を質に見て５四飛がポイント。ここで１歩稼げば以下は容易な手順。
- 蛇塚の坂本さん：
- いったん６四に中合いする手が意外で桂と歩では、詰みにくいものだと思いました。
６二飛成までの２１手解。 ５４飛限定打と６４歩中合を発見できたのに、油断したか、７２角に８３桂合としてしまったかな。 惜しい。
- 本間瑞生さん：
- ７２玉と攻め駒に近いほうに逃げたほうが長いのは意外な感覚だった。
７４馬に８２玉は８３香があって早いのですね。
- S.Kimuraさん：
- ヒントの意味に気付かず，3手目54飛としてはまってしまいました．
- 津久井康雄さん：
- 飛車を64から打ってしまい、足りないなあと悩んでしまった。
ヒントを見ておけば…
- 小山邦明さん：
- 52飛成はさせたくない中合だがその歩を使ってきれいな詰み。
- 占魚亭さん：
- ３手目64飛として奉納。対峙型、まだまだいろんな手が眠っていそう。
- Pathfinderさん：
- 52銀を質駒に攻める。
捨合、角合が上手な受け方。
- 池田俊哉さん：
- 52銀に狙いをつけた54飛が肝心な一手だが、67香の利きは強い。
中合で得た一歩が収束に効いてくる
- 嵐田保夫さん：
- 一目９六歩?８四龍?９五歩の筋だが、上手く逃れている。
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