51が桂と銀で違うだけのドキ展No.79の双子問題です。
51桂だと63に利いているので、ドキ展79の順が詰まないことはすぐにわかりますね。
それでは、詰方にとって51桂の方が有利なことは何でしょう。
それは、62・52・42への利きがなくなっていること。
73馬上、94玉、64飛の順は74金合で、
85に脱出されると51銀でも51桂でも関係なさそうなので、この順はダメ。
86飛、94玉、85馬、83玉、95馬、72玉と追う順はどうでしょうか。
62や52に利きがないので、なんとかなりそうですが、73馬右なら81玉、また73馬左なら61玉と逃げられてどうもうまくいきません。
95馬のかわりに74馬上、72玉、73馬右とか迫っても、61玉で失敗。
この類型には、もう一つちょっと高級な誘い手があります。
大道棋よもやま話 第9回 大道棋改作の実例で、
大道棋9改作の例題として登場した筋なので、読んでいる方にはわかったかもしれません。
その筋とは、73馬上、94玉のとき95馬と切る手。
同玉の一手で、96飛、84玉、86飛と攻めが続きます。
94玉なら95歩がぴったりで、同玉に85馬まで。
あれ、この順は51桂でも銀でも関係ないですね。
ならばドキ展79は余詰?
もちろんそんなことはありません。
この順は誘い手なので、86飛に85角という捨て合の妙防が用意されています。
同飛、94玉で打歩詰の形。
72角でも83歩と移動合されて打歩詰が解消できません。
しかし、これでダメかとあきらめては大道棋屋さんの思うツボ。
73馬上、94玉、95馬、同玉、96飛、84玉、86飛、85角合、
同飛、94玉、84飛、同玉、62角、94玉、95歩、83玉、
73角成(馬) まで17手
84飛と捨てる好手がありました。
そして、同玉に62角と打てるのが51桂ならでは。
したがって、51銀のドキ展79ではこの順は詰みません。
銀と桂の違いで二つの詰め筋がきれいに成立している双子問題でした。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 蛇塚の坂本さん:
- この作品を見るからに銀よりも桂のほうが守備力頑強です。
- 山下誠さん:
- 銀と桂の配置の違いで今度は6二角が打てる。 面白い姉妹局。
- S.Kimuraさん:
- 再び,柿木将棋と詰将棋対戦をしました.
初手86飛はダメだったので,先の問題で見えていた73馬上から95馬を試すも,角合の次の84飛が見えず,降参となりました.
- 津久井康雄さん:
- 86飛や64飛で詰まないのが不思議。 うまくできてますね。
- Pathfinderさん:
- 馬を切る手がなかなか見えない。 銀と桂の違いで角合から詰むとは意外でした。
- 占魚亭さん:
- 73ではじまり73で終わる。 綺麗に出来ていますね。
- 小山邦明さん:
- この形は、73馬上から64飛の筋はうまくいかない事が多い。
95馬はやりにくいが、玉は意外と逃げる場所は限られている。
- 池田俊哉さん:
- 打歩誘致の角合が良い。 前作の最終手を消している51桂が角打限定にも役立っている
- 金少桂さん:
- 角捨合を取った後の飛車捨てが見えづらく何度かスタートからやり直すハメになった。
最後73捨合がありそうで一瞬ドキッ。
歩合ができないので、同角成で簡単ですね。
- 嵐田保夫さん:
- 8五角〜8四飛の辺りは大道棋らしい応酬の好作で、No. 79の後でより解後感の良さが増した。
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