ドキ展75と良く似た形で、違うのは63歩の向きと65歩がないことだけ。
しかし、この違いで初手から全く異なる手順になります。
63歩が逆向きで62馬が取られてしまうので、ドキ展75の順が成立しないのはすぐお分かりでしょう。 その代わり、65歩がないことで、ドキ展75では「惜しかったね」だった74飛の筋が詰むようになるのです。 それは、65歩がないことで、43馬と引く筋が生じるからです。
実際に手順を進めていきましょう。
74飛、84角、同飛、95玉、
74飛に84角の移動合で逃げ道を空けるのは、この類型では定跡の妙防。
同金と取れば、85金から94飛で詰み、と思ったあなたは、残念ながら同龍で奉納です。
86角では96玉でどうにもならないので、77角と離し角。
ちなみに63歩がなければ、86角、96玉、52馬で詰みます。
77角に96玉と逃げるのは、87銀、97玉、98銀と捨てて詰み。
この順で87馬まで13手の解答がありましたが、これは不正解。
77角に86歩の捨て合の妙防があるのです。
77角、86歩合、85飛、96玉、86飛、97玉、
同角では96玉で打歩詰でダメ。
85飛から86飛と飛で取ります。
調子に乗って87飛としてしまうと、96玉でこれも打歩詰。
でも、もう一度86飛と戻せばまだ大丈夫。
ここが考えどころ、出題コメントの「邪魔駒消去」を思い出しましょう。 そう、76銀がなければ98歩、同玉、43馬の筋がありますね。 最初は上部を押さえる大事な駒だった76銀が、この局面では邪魔駒になっています。
そこで、
98歩、同玉、87銀、97玉、98銀、同玉、
と消去すれば、43馬が実現してみごと詰みました。
43馬、97玉、87馬 まで19手
74飛はメインの誘い手のため、この順で詰むのは実戦価値上微妙ですが、集客度89とかなり好形なので、
ドキ展75とペアで使えば少しは稼げるかもしれません。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 高田明浩さん:
- 馬を引く構想が絶品!
- 山下誠さん:
- 6一馬を右にも使ってスッキリと詰め上げる。
6五歩がないだけで手順がまるで代わるのが面白い。
- S.Kimuraさん:
- 柿木将棋IXと何度も詰将棋対戦をしたものの,邪魔駒が銀であることを見抜けず,自力で解くのは断念しました.
初形では大事な駒ですもんね。
- 蛇塚の坂本さん:
- 銀の邪魔駒で押し売りとは意外だった。
- 市橋宗士さん:
- ヒントがなかったら、泥沼でした、上部を押さえているような銀が邪魔だなんて・・・
駒数少なく、十手台だったので手を出してしまいましたが、まさに、「大道」は変化・紛れの宝庫、1枚の駒配置でガラリと変わる、
面(おもて)は、お淑やかな感じですが、内面(手順)はなかなか、手強い「お姉さん」でした・・・
- 小山邦明さん:
- 初手の飛打の場所は限定されているので考えやすい。
7手目をうっかり同角としなければ大丈夫。
No.75との双子大道棋として形は抜群に良い。
- 津久井康雄さん:
- 歩の配置でガラリと手順が変わる。 面白いですね。
- 長谷繁蔵さん:
- 初手74飛はしたくなかった。
- 占魚亭さん:
- 銀が邪魔駒だったとは。
- 池田俊哉さん:
- 61馬を再活用するために邪魔になった76銀の消去が面白い。
75番と見比べてなぜ互いの手順で詰まないのか、あらためて確認してしまった
- 嵐田保夫さん:
- 香歩問題の双子問題を思わせてくれるが、手順はいたってシンプル 。
- 鳥本敦史さん:
- 51歩の配置で余詰が消えないなあとあれこれ延々と弄っていたのですが63歩1枚で余詰消えるのに感心しました。
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