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詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート

ドキドキ展示室 No.77 金少桂さん

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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
金をどこに 20手台

ドキドキ展示室No.77 金少桂

香歩問題の変形で、大道棋類型辞典では「なし6」と呼んでいる類型。 ドキ展70に続く、金少桂さんの改作第二弾です。 元祖の山口成夫さんの問題では、73金、74金が誘い手でしたが、金少桂さんは93金も誘い手に加えました。 もちろん、いずれに対しても妙防が用意されています。

1)73金

73金に初級者の読みは92玉と逃げて83桂成で簡単。
中級者は83歩の中合を読んで、82金と捨てれば簡単。
上級者は82金を取れる83金中合を考えますが、72金の妙手を読んで、 91玉に83桂不成、92玉、91桂成、93玉、84金まで。
香歩問題もそうですが、いろいろなお客のレベルに合わせて誘い手が用意されているのがいいですね。
香歩問題を知っている大道棋マニアなら、 この形は84桂、83金の二段中合があるのを知っているでしょう。
熟練の大道棋屋さんともなると、最初から84桂合とするのではなく、 鋭い眼力で客のレベルを見極めて、83歩合と受けたりしたそうです。

2)74金

74金は71玉や91玉と逃げれば香を叩いて簡単。
82歩と普通に合駒しても同香成、同玉、83桂成以下です。
83歩と中合したら? 同香、92玉、82香成、93玉、95香で逃げられません。
74金には82角合がうまい受け(83角合もあり)。 同香成、同玉に83桂成なら81玉で逃れ、また89香には84桂の中合が妙防です。

3)93金

93金は73金と似た形。 82金捨てがあるので83金合が考えられますが、同香、72玉、82香成、73玉、83成香、64玉、65金まで。 84桂から83金と二段中合しても同じですね。
ならば83飛合はどうでしょうか。 同香なら72玉でするする逃げられそう。 しかし92金と捨てられると、71玉、83桂、72玉、71飛、同飛、同桂成、73玉(71玉は81飛、72玉、83香成まで)、 63飛、同香、同歩成まで。
そこで、73玉から84玉と逃げだせるよう、84桂合から83飛合とする二段中合が巧妙な受けです。

意外に奥が深いですね。 さて、正解は。

  93金、84桂合、同香、83飛合、92金、71玉、

93金でした。 桂飛の二段中合で困っているようですが、92金、71玉のとき63桂打と捨てるのが妙手。 わざわざ62の逃げ道を空けるようで、ちょっと指しにくい手です。

  63桂打、同香、83桂不成、62玉、63歩成、51玉、

83桂に作意は62玉ですが、72玉も難しい。
71飛、同飛(62玉は63歩成、51玉、61飛成以下)、63歩成、61玉、
71桂成、51玉、21飛以下23手

  21飛、41銀合、53香、42玉、22飛成、32歩合、

21飛が絶好の限定打。 対して41銀合または41金合が27手最長で、いずれも正解です。

  52香成、同銀、同と、同玉、32龍、51玉、

41金合だった場合は51玉では52金までなので、42合として27手。

  52銀、62玉、63銀上成 まで27手駒余り

作者「なし6類型の改作第二弾です。
初手74金に83歩合はドキ展No.70の順で詰みますが、83(82)角合で逃れます。
初手93金の筋ですが、桂飛の二段中合で長くなります。
手数的に10手目は62玉を作意としていますが、大道棋の実戦的には72玉とする方が詰まされづらいと思います。」

62玉、72玉、いずれも21飛の限定打がキー。 93と非常に高い集客度の初形から3通りの誘い手に対する妙防、詰めにくい本手順と、実戦でもかなり稼げそうな大道棋でした。

それではみなさんの感想を。解答到着順です。

高田明浩さん:
繊細
山下誠さん:
初手7三金では金中合で逃れるという仕掛け。後半は右から飛車を打つ意外な展開。

桂金二段中合ですが、この形は香歩問題でおなじみですね。

S.Kimuraさん:
銀問題と金問題をミックスしたようで楽しめました.
ただ,21飛からの順は,自力では無理でした.
蛇塚の坂本さん:
4一の合駒多少収束に変化があると思う。

43香まで23手解。 83桂に72玉と逃げる筋でしょうか。 作者も「実戦的には72玉」と言っているので、甘く見て正解扱いとします。

小山邦明さん:
初手の金をどこに動かすかがポイント。 桂合と飛合の連続合での延命手順は、73玉からの逃走を狙いにした受けで大変面白いがかなり難しかった。 初手74金は83角合で82香には91玉の逃げられまた同香不成には92玉、95香に93銀(角)合で逃げ切れる。

74金の筋もいろいろ受けがあって、あれこれ改作できそうです。

津久井康雄さん:
金の移動先によって合駒が違うのが面白いです。
長谷繁蔵さん:
74金で角合以下61飛を取れたが後が続かずギブアップ

残念、この問題では74金は誘い手でした。

占魚亭さん:
いつもながら、初手の紛れ(73金は84桂〜83金、74金は82角)に感心です。
池田俊哉さん:
桂-金の連合もうまいが、63桂打と退路を広げるような手から83桂生の継続手段もうまい手
嵐田保夫さん:
骨があってなかなかの好作と思う。2一飛打が印象に残る巧打。

10手目72玉以下42龍まで31手の変別解。 詰めていると判断できるので正解とします。

鳥本敦史さん:
収束の変化がややこしいですが、駒余りのない順を解答させて頂きます。

ドキドキ展示室No.77 解答:11名 全員正解(下記)

  嵐田保夫さん  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  キリギリスさん
  小山邦明さん  占魚亭さん  高田明浩さん  津久井康雄さん
  鳥本敦史さん  蛇塚の坂本さん  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。