銀4類型も発展し続けている類型で、2000年以降だけでも約60題発表されていて、全部で150題を超える問題があります。 二枚の飛車または龍に挟まれて動けない玉、持駒には強力な銀があり、いかにも詰みそうな形と、大道棋らしい類型です。
作家にとっては、原型がコンパクトで改作しやすいこと、上下から銀が打てて詰め筋が豊富なことが人気の秘密でしょう。
本作は4×4に収まり、集客度は95と抜群です。 筆者のドキドキNo.35に似た配置で、本作では74飛が64龍に、63馬が63角になっています。
類型辞典で解説されている誘い手は5つ。 とりあえず順に考えてみましょう。
A 94銀、同銀、73飛行成、83銀引
本作では73龍ですが、83合、82飛成までの誘い手に83銀引の移動合で逃れ。
B 82銀、92玉、81銀生、93玉
C 82銀、92玉、81銀成、72銀
本作では81銀生(成)を同玉でも詰まず、この二つの筋はだめそう。
D 82銀、92玉、71銀生、72銀
これも72銀でも詰みませんが、72馬で全然だめ。
E 82銀、92玉、94飛、同銀、73銀成、72歩
本作では94龍、同銀、73銀成、72馬となって切れ筋。
あれ、どれもだめそうですね。 「83角型の問題もあり、この場合は初手84銀もある。」とも書いてありますが、実は83銀型でも四段目の駒が龍の場合には、この筋が成立する可能性があります。 ドキドキNo.100がその一例で、84銀、同銀、82飛成、同玉、84龍という詰将棋らしい詰め筋。 しかし、本作では83歩合ぐらいで詰みません。
でも、これは正解に近づいていたのです。 正解はなんと84銀、同銀を同龍と切ってしまう手。 63角があるので、指してみるとなんとかなりそうな手ですが、同玉に74飛成、93玉、84銀、92玉でだめと読みを打ち切ってしまいそうです。
150題を超える銀4類型でもこの手は初めて。 74飛成では確かに続きませんが、74角成以下で、入玉されても詰むのです。
84銀、同銀、同龍、同玉、74角成、94玉、
この形で詰めろといわれたら、難しくありませんが、この類型でこの詰め筋を思い浮かべることができるかどうか。
85銀、95玉、96銀、86玉、85馬、97玉、77飛成、98玉、
入玉されても、ここで76馬とすれば99玉は79龍以下、89玉は67馬以下、いずれも7手で詰み。 どちらの順も余詰があるので、ちょっと混乱したかもしれませんが、すべて正解。
大道棋としてはここまで来ればもう終わっているところなので、問題ありません。
76馬、99玉、79龍、89金合、77馬、98玉、87馬、99玉、 88馬 まで23手
作者 「銀4問題。 この美形が取り柄。玉を追い出す手順は意外性があり稼げるかも。 いずれこの形はeureka氏(?)に全検されるやもしれないですね。」
4×4の美形で、84銀から龍切りの新手が正解とは、たっぷり稼げそうですね。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 不安な追いかけ方ですが、捕まって一安心。
- 蛇塚の坂本さん:
- 収束15手目の7六馬からの変化多数有りどれを選ぶか一番かっこいい飛合の筋を選びました。
89飛合、77馬、98玉、89龍、同玉、99飛までの筋。 同手数なので正解です。
- キリギリスさん:
- 直観的には初手82銀。84銀から清算して上部に追うのはやりにくい。
- S.Kimuraさん:
- 64が龍だったので,初手84銀もあるかな,と思ったのは正解でしたが,最後は玉が99まで逃げるとは思いませんでした.
- 小山邦明さん:
- 61馬が働かないように、5手目に74飛成を手拍子で指さないのがポイント。
21手目は87銀でも97玉、86馬までの同手数の詰み。
- 波多野賢太郎さん:
- 手を出しやすそうな初形がいいですね。8二銀の紛れがもう少し際どいとなお良かったですが、上に追うのはちょっと意外でした。
誘い手的には74龍型でこの詰め筋が実現できると良いのですが、さすがに余詰を消すのが大変そう。
- 金少桂さん:
- 初手一発だけど一番最後まで見つからなかった初手。
上部に逃がしても大丈夫なのは初手94銀の紛れで確認したはずなのになぁ。
- 隅の老人Bさん:
- チラリ、難しそう、これは、観戦。誰か手を出さないかなぁ。
- 攻めダルマンさん:
- 最後はいろいろあるようですね。暗算では5手目74角成がちょっとやりにくかったです。
- 占魚亭さん:
- 82銀の筋を追って何度か奉納。そうか、84銀か。
- 池田俊哉さん:
- 銀問題の形ではあるが早々に下段に落っことす
最長手順判定はややこしいがこんな感じか
作意解でした。 変同や収束余詰があるので、最終手は86馬3名、88馬3名、87龍2名、99龍3名と分かれました。 |