大道棋には、100以上の類型があり、香歩問題や銀問題のように何百題もある類型もあれば、数題しかない類型もあります。 問題数が多い類型は、それだけ多くの詰め筋があって発展性が高いことを示していますが、問題数が少なくても大道棋的におもしろい類型もあります。その一つとして大道棋よもやま話 第29回 大道棋類型辞典 完全版で紹介したのが歩6類型です。
ほとんど動けない玉。
持駒は歩しかなくても、94にたたいて76飛を馬で取れば簡単そう。
具体的には
94歩、同玉、76馬、同馬、84飛、93玉、83飛成まで
という誘い手です。
強い人は、香の利きを止める85合を考えるかもしれませんが、それでも
94歩、同玉、76馬、85歩合、84飛、93玉、82飛成、94玉、84龍まで
で詰み、という二段構えの誘い手になっています。
これで詰みだ、と思って手を出すと、76馬に85飛合とされて、あっということになります。
94歩とたたかずに84銀と行く誘い手もあります。
84銀、94玉、76馬、同馬、93飛、同香、83銀不成まで
84銀、94玉、83銀不成、93玉、82銀不成(92銀成)、94玉、76馬、同馬、84飛まで
など、いずれも76馬に85歩合で逃れます。
本作のカギは95の桂。
この類型では普通は95歩なのを知っている方なら、なぜ桂なのだろうと考えれば、84銀から95銀と桂を取る順を思い浮かべるのは難しくないでしょう。
実はそれが正解です。
84銀、94玉、95銀、同玉、96歩、94玉、76馬、85歩合、
この順でも76馬には85歩合と香筋を止められますが、さっきまでと違うのは95飛と打てること。
72金が浮いているので不安になりますが、72金を取られても54馬と行くと一挙に狭くなります。
95飛、83玉、85飛、72玉、54馬、62玉、82飛成、51玉、
持駒に桂と歩があるので、ここまで来れば手なりで行けるでしょう。
43桂、41玉、31桂成、51玉、52歩、42玉、32成桂 まで23手
52歩のところは41成桂と捨てても25手で詰み(収束余詰)、これも正解です。
作者 「歩6問題。奥薗、田代、形幅、TETSUの錚々たるメンバーが改作しているため末席を汚そうと改作を試みました。
95桂を取る手順は意外性があると思います。
(61香はないと収束大きく乱れるので配置しましたがそれでも収束3手余詰あります。
気にならない程度にはなったと思いますのでこれで完成としておきます。)」
4筋に収まって、集客度は76とまずまず。 誘い手と違うところに正解を作ったのが実戦価値を高めています。 ただ、95桂配置からそれを取る順を連想した人もいたので、95歩配置でこの順を実現できれば、もっとよかったかもしれませんね(例えば95桂→95歩、61香→63銀とか)。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 玉が上下どちらに逃げても桂馬の威力で包囲できました。
85飛のとき74玉と逃げるのは、84飛、63玉、55桂、52玉、43桂成以下。
- 蛇塚の坂本さん:
- 大道棋らしい7六馬を同馬と取れないところが面白い。収束が意外なところで詰むのも面白い。
- キリギリスさん:
- 13手目54馬で急に詰みそう思えました。
- S.Kimuraさん:
- 94歩から入って,飛車合で立ち往生することに.
- 小山邦明さん:
- 95桂の形だったので、初手84銀は何となく指してみたくなった。
初見ならば、94歩、同玉、76馬(85飛合で逃れ)の手順で奉納間違い無しですね。
- 波多野賢太郎さん:
- 序盤の紛れが結構いろいろある型なんですね。
9五桂を取る筋もあるかなと思ったら作意でした。
9五飛からの手順はちょっと自信ないです。
42馬まで25手解。収束余詰ですので、この順も正解です。
- 金少桂さん:
- 95の桂がちょっと怪しすぎる配置か。取りに行くのは真っ先に試してみたい手。
12手目変同、私なら74へ逃げてみたいと思う(84飛、63玉に54馬と手拍子で指してしまいそう)。
- 隅の老人Bさん:
- 初手に94歩打から76馬、ここで気付いた85飛合。
アブナイ、アブナイ、左右を確認、横断歩道。
- 占魚亭さん:
- 改めて初手94歩の紛れ(4手目飛合で逃れ)はよく出来ていると思いました。
- 池田俊哉さん:
- 三手目いきなり76馬と行かず、95飛の余地を作ってから進める。
収束、三手詰が見えず41成桂から行きたくなる
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