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詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート
ドキドキ展示室 No.56 野中謙一さん
ドキドキストリート
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:

40手台。ドキドキストリートは昔懐かし大道詰将棋のコーナー


ドキドキ展示室No.56 野中謙一 大道詰将棋(大道棋)とは、現在では見られなくなってしまいましたが、昭和のころ、縁日や路上で出題されていた詰将棋です。 解けたら賞品(タバコや棋書など)がもらえますが、失敗したら研究料を取られます。 手を出してもらう必要があるけれども簡単に詰んでは商売あがったりなので、大道棋は一見すぐ詰みそうな手(これを誘い手といいます)がいくつもあり、 実際には受けの妙手があって簡単には詰まないようにできています。

ドキドキストリートは、その大道棋のコーナーで、出題や歴史、研究など大道棋を楽しむコンテンツが満載です。

大道棋は、誘い手の多い原型から、ちょっと配置を変えたたくさんの問題が作られているのが特徴です。 同じ原型から作られた一連の大道棋を類型といいます。 類型は持駒により大別されていて、香歩問題、銀問題、金問題などと呼びます。

本作は香歩問題。 72歩、81玉、86香と打って簡単な詰み、と見せるのがメインの誘い手です。 これには、84桂合、同香、83金合の二段中合が受けの妙手で、ぎりぎり詰まないようにできています (といっても、これで詰む問題もあるので油断はできません)。

慣れた人なら、83桂不成、81玉、82歩、92玉、94香の筋だなとすぐに分かるかもしれません。 これに対しては93角合、さらに91桂成、同玉、93香不成と追求すると92角合と、連続して角合するのが定跡になっています。 他の合駒ではなぜダメなのか、考えてみてください。

  83桂不成、81玉、82歩、92玉、94香、93角合、91桂成、同玉、
  93香不成、92角合

角を2枚入手できるので、そのあとの攻めのバリエーションが非常に多く、読み切るのはかなり大変。 本作ではすぐに同香と取って65角と離して打ちます。 これは7筋の飛の利きを邪魔しないため。 91玉なら、81歩成、同玉、72角として詰めてしまおうという狙いです。 これに対しては74歩の中合が常套手段。

  同香成、同玉、65角74歩合、同角、91玉、81歩成、同玉、

今度は飛の利きが止まっているので、72角は同銀と取られて失敗。 飛の利きを通して63角成と行くのが正解です。 63角成に91玉や92玉と逃げる手もありますが、
1) 91玉は、82角、92玉、83金、同玉、73飛成、同龍、同馬、94玉、95飛まで
2) 92玉は、83角、91玉(93玉は94歩、84玉、75銀以下)、82金、同玉、
  72角成、同銀(93玉は94歩、84玉、74馬以下)、同馬以下37手
で詰み、本作は40手台なので、これは変化で、72歩合が正解です。

  63角成、72歩合

同角成、同銀、同金、92玉と攻めるのが普通の手。 しかし角銀を手持ちにしても73飛成ができないので、これは詰みません。 ちょっと指しにくい手ですが、同金と取るのが正解です。 当然92玉と逃げて、74馬にまた合駒。

  同金、92玉、74馬、83金合

ここ、83歩合なら、93歩、同玉、82角、94玉、83馬、95玉(同玉は、73飛成、94玉、93角成以下)、84馬、同玉、75銀、85玉、86歩以下。 83桂合なら、同様に追って、84馬のところで73角成以下。 82角を防いで83金合が正解です。 これに対して82金と捨てて64角と打ち変えるのが巧妙な手段で、あとで83馬と切ったとき73角成を作っています。

  82金、同玉、64角、81玉、82歩、91玉、92歩、同玉、
  83馬、同玉、73角成、94玉、95金、93玉、84金、92玉、
  83金、91玉、81歩成、同玉、82金(馬) まで45手

66銀1枚でいろいろな変化を処理しているのがうまいところ。 簡潔な配置の好作でした。

作者 「奇策縦横313番と類似しています。奇策縦横の▲83金〜▲72角は、△72同玉で詰みません。
 大した狙いがないのですが、23手目▲74馬に対する△83金合と▲82金〜▲64角とする手順でしょうか。」


奇策縦横313番は、本作の77飛78龍を詰方77香にして受方63歩を置いた問題。 本作と同様に攻めて63角成で歩が取れるのでだいぶ簡単です。 この型は7筋香のことが多く、それを77飛78龍にしたのが作者の工夫。 この配置はドキドキ展示室No.54でも登場していました。 ちなみにドキ展54の攻め筋は、本作では53歩の配置がないので詰みません。

それではみなさんの感想を。解答到着順です。
山下誠さん:
24手目は歩合か金合かで随分悩みました。2度の歩合が入って、上品な大道棋の作品に仕上がっています。

83歩合の順も41手でかなり大変。 お客さんが読んでいそうなときは意表をついて桂合で応じるかも。

長谷繁蔵さん:
角角合で考えましたがギブアップ

この型は角角合のあとがいろいろあって難しいですね。

波多野賢太郎さん:
玉方の粘りにホトホト手を焼き、相当やられました。駒数が少なくて好作と思います。
池田俊哉さん:
角角合から65角-74歩合のあたりは香歩問題の定跡通りだが、63角成-72金、74馬-64角のあたりが指しにくく難解作になっている。7筋の飛龍がそのまま残るのはご愛嬌か
小山邦明さん:
この形の香歩問題は、手順がきれいですね。
S.Kimuraさん:
No.54と比較すると,玉方53歩がなく,攻め方89桂が66銀になった理由がわかって面白かったです.
もう1局ぐらいバリエーションがありそう?
占魚亭さん:
24手目の合駒が金が最善とは意外でした。
隅の老人Bさん:
合駒される毎に心臓がドキドキ。
詰手数? これは棋将屋さんのその日の応手で変わります。

大道棋はお客さんとの勝負なので、その時々で応手を変えるのは大道棋屋さんのテクニック。

鳥本敦史さん:
既視感がある序中盤ですが最後きれいに着地。初形スッキリよく纏まっている。

ドキドキ展示室No.56 解答:7名 全員正解

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  小山邦明さん  隅の老人Bさん  占魚亭さん
  波多野賢太郎さん  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。