香歩問題、銀問題に次いで問題数が多い類型、金問題の改作です。 金問題の特長は、最初はほぼ一直線で、途中から一挙に手が広くなること。 本作も途中までは定跡手順で進みます。
96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、
86飛、75玉、56飛、84玉、87香、85角合、同香、同玉、
類型辞典の金問題の解説では、この後の攻め方として、次の7通りをあげています。
それぞれ、本作ではどうなるでしょうか。
a 86馬、84玉、57角 ・・・ 66、75に歩合ができるので失敗
b 86馬、84玉、62角 ・・・ 62香のため62角が打てない
c 96馬、75玉、97角 ・・・ 92銀配置から74馬、同玉、83飛成の筋があるが、74馬を同銀で失敗
d 86飛、75玉、42角 (または53角) ・・・ 53角で62香を狙えるので有望
e 86飛、75玉、84角 ・・・ 64玉、56飛、75歩合で失敗
f 86飛、75玉、66角 ・・・ 同銀でも64玉でも詰みそうにない
g 86飛、75玉、87飛 ・・・ 右の方に駒がないので66玉で捕まらない
ということで、続きそうなのはdの86飛、75玉、53角ぐらい。 これに対して普通に64歩合とかすると、56飛、84玉、62角成と香を取れるので簡単。
ここは64飛合と62香を守る手があります。 以下56飛、84玉、62角成、同飛、87香、85角合、同香、同玉、86飛、75玉、53角と再度打っても、今度は64飛上で逃れ。 64飛合でなく64香上と香を逃がす手もあって、これでも56飛、84玉、62角成に73歩合できわどく逃れています。
しかし、この順もダメとなると、いったいどうすればいいんでしょうか。 作者が用意したのは、96馬、75玉、53角と攻める筋。 奇策縦横や秘手五百番にもないめずらしい筋です。
データベースで検索してみたら、62飛配置で1作だけありました(浦壁和彦さん、詰パラ1978年7月)。
今度は64飛合は86馬、84玉、62角成、同飛、85香までなので、64香上と受けます。
96馬、75玉、53角、64香上、86馬、84玉、62角成、73歩合、
62角成としたとき、dの順では馬の位置が97のため詰みませんでした。 この順では馬が86なので攻めが続くのですね。
同馬、同桂、85歩、同桂、83銀成、同玉、53飛成、72玉、
53飛と成り込めば詰み形。 このとき作意は72玉ですが、82玉でも同手数で、正解です。
73銀成、81玉、82歩、同銀、同成銀、同玉、64馬、72玉、
ここからはたくさんの詰め方あり。 作者は駒の余らない次の順を作意にしていますが、どの順でも正解です。
73馬、81玉、82銀、92玉、93香 まで45手
作者 「金問題の改作を始めて奇策縦横の金問題を研究しています。 今回のベースになった図は、奇策縦横210番です。
解説では、甲▲86飛、△75玉、▲53角は△64香上がるで不詰となっています。
しかし、上記の後、
▲56飛△84玉▲62角成で73へ歩合ができないため詰んでいます。
▲92銀が83に利いているため 73香合では逃れられない。
この手順を74香の配置で解消し、210番の作意は65銀配置で逃れるようにしました。
改作のポイント
・17手目▲86飛△75玉▲53角では△64飛(△64香上がるでもギリギリ)で逃れ
▲96馬△75玉▲53角なら詰むようにした
(△91銀の配置をすぐに発見できたので楽に改作できました)
問題点
・31手目への応手72玉、82玉が変同(いずれも駒余り)
・64馬の後は色々な詰方がある
改作に数年掛かるものもあれば1日で出来てしまうものもあるのですね。」
銀の団子は重いものの4筋におさまって、金問題としてはまずまずの形で96馬から53角の珍しい詰筋を実現した好改作でした。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 最後は飛車合まで 出てきて、手順にリズムがある。
31手目82玉に、 64馬、81玉、83龍、82飛合以下の順。 この順を作意にできるとおもしろいのですが、83龍のところで、82歩、84香、91馬などでも詰んでしまうのですね。
- 小山邦明さん:
- 「蘇る秘伝大道棋」の金問題で、かなり苦労した作品を思い出しました。74香と65銀の配置にして、新たな面白い手順をうまく創作されていると思いました。
金問題で74香65銀配置も初めてかな。
- 占魚亭さん:
- 53角からの捌きが素晴らしいですね。
- 隅の老人Bさん:
- たぶん、85角合まではいつもの通り。それから先がわからない。
こんな時は観戦ですね。
- 池田俊哉さん:
- 53角の筋となるが、逃がす移動合の64香が面白い。桂利きを消して53飛成が実現すれば幕
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