いまでは見ることができなくなってしまいましたが、路上や縁日で詰将棋を出してお客さんと勝負する大道詰将棋(大道棋)屋さんは昭和の風物詩。
もしかしたらまた詰将棋全国大会などで見られるかもしれません。
本作は利波偉さんが創始した、いわゆる利波型飛問題。 誘い手の多いのが特徴で、次々と新しい詰筋が開拓されています。
馬と金以外に詰方の援軍がいないので、どう攻めたらいいか悩むところですが、普通は95角(馬)の配置が本作では95銀と62角になっていることに注目。
この62角を取る順になれば、なんとかなりそうです。
といっても、84金、同玉、62馬といきなり取るのはちょっと無理そう。
もっといい形で62馬と取れないかと考えれば、92飛、同龍、同金、84玉、62馬の筋を思いつくのは、そう難しいことではないでしょう。
92飛、同龍、同金、84玉、62馬、74玉、
62馬に73合がやっかいな変化。
73香合なら64飛と打って、74合は93角以下なので83玉と逃げたとき61馬と合駒を請求するのがいい手。 何合でも取って61角で捕まります。
では73金合とか73銀合と強い駒で抵抗すると? 今度は64飛から73馬と切って82角があるので大丈夫。
62馬に74玉で大海に逃げだされてしまいそうですが・・・ ここで83角捨てが好手です。
同玉なら93飛、74玉、63飛成まで。
64玉と更に逃げ出しをはかっても、大駒3枚の威力でなんとかなります。
83角、64玉、63飛、55玉、
63飛のところは65飛や66飛と上から抑えたくなりますが、54玉、63飛成、45玉、43龍、55玉とするする逃げて、際どいけど逃れ。
この辺の筋でも1局できそうですね。
63飛に54玉なら、53飛成、45玉、56角成、36玉、33龍と香を取って簡単。
55玉には65飛成、46玉、56龍と、なんと龍追いの趣向が始まります。
65飛成、46玉、56龍、37玉、47龍、28玉、17馬、19玉、
49龍、39銀(金、飛)合、同龍、同香成、28銀(18金、18飛) まで23手
33香の存在を忘れずに。 38龍まで追うと、同香成で「あっ」ということに。 あわてず17馬とすれば解決します。
作者 「TETSUさんのドキ展32の作品の95馬を銀に62銀を玉方の角に変更した形での改作品です。
大道棋よもやま話で出題していただいた作品の短評で収束の乱れのあった作品の方は、評判が悪かったため、作意手順にできるだけ乱れがない事を目標にしました。
また、1月に取り組んだ「くるくる展示室」のような楽しい作品ができればと思って考えた作品です。」
実戦価値的には収束の乱れはそう気になりませんが、解答者にとっては乱れはない方が気持ちいいですね。
本作、33香が目障りですが、あとの配置はすっきり。 詰筋も新しく、おもしろい問題でした。
それでは解答者のみなさんの感想を。解答到着順です。
- 金少桂さん: (4八龍(馬)まで31手)
- 玉方3三香配置で右辺に追う 展開は読めた(とか言いながら実は5手目6四飛に丸一日以上はまった)が、まさか右下とは! 特に9手目の6三飛が見えず、6五飛や6六飛の迷路に迷い込んだり、2手戻して7手目4七角(3三香配置がそれっぽいんだもの!)を疑ったりしてたっぷり楽しみ(苦しみ)ました。
5手目64飛は、74銀合、62馬、83玉で逃れ。
10手目54玉に65角成以下の変別解でしたが、作意順も読んでいるので正解としました。
- 占魚亭さん:
- 角の利きが物を言う。
- 隅の老人Bさん:
- 流れ流れて、落ち行く先は?
ここは地の果て、何とやら。
- 山下誠さん:
- 斜め一直線の玉の脱出劇。結末は意外な場所。
- 小山邦明さん(作者):
- 多くの方に解答していただければうれしいです。
- 池田俊哉さん:
- 91龍の形から92飛の筋かとは思うが、62馬から84角と大海に追いだすのはやりにくい。
33香は余詰消しかと思うが、合が非限定であるのなら、自分だったら23香にするかな、とも思う
33香でも離れていてお客に警戒されそうなので、大道棋としては23香は怪しすぎる?
- S.Kimuraさん:
- 龍と飛車を交換して,玉を上部に逃がさないように試みたのですが,今度は32辺りから逃げられてしまいました.
33の香車は何のためにあるのか・・。
上部に逃がすのが正解だったとは・・・
- ronさん:
- 香車の位置から盤面右側で詰むだろうとは思いましたが,1九とは思いませんでした。
4月初旬ごろに解いたのですが,手順を忘れてもう一回。
あれれ,こんなに早く詰んだかな? などと独りで思案。もし路上だったら奉納していたに違いありません(笑)。
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