盤面4×7に収まった、形のよい香歩問題。
初形で、玉方の64香と、それをにらんでいる詰方の67香が目につきます。
慣れた方なら、83桂の角角合の筋と一目でわかりそう(63桂、72歩は詰みそうにないですし)。
とりあえず進めてみましょう。
83桂、81玉、82歩、92玉、94香、93角合、91桂成、同玉、93香不成、92角合、
なぜ連続角合か、わからない方は大道棋詰筋辞典(1)へ。
さて、質駒が65香や54香なら、二枚角の運用で簡単に取ることができるけれども、64香を取るのはどうしたらいいんでしょうか。
67香があるので、玉を61に呼んで64香と取る手が浮かびます。
92香成、同玉、74角、91玉、81歩成、同玉、72角、71玉、61角成、同玉、64香
この順は香は取れたものの、51玉から42玉と逃げられて詰みそうにありません。
それでは、63に馬を作って、82金捨てで64馬と取るのは?
92香成、同玉、74角、91玉、81歩成、同玉、63角成、91玉、82金、同玉、64馬
これも香は取れますが、逃げても合駒でも全然詰みそうにありません。
実はもう一つ64香を取る筋があるのです。
81歩成、同玉、92香成、同玉、83角、93玉、82角、84玉、74金、85玉、
75金、同玉、64角成、84玉、
81歩成は82角打を作るためで、追い出し型のポイント。 84まで追い出してから、金の運用で75に呼んで64角成と香を取るのが巧妙なところ。 この詰筋も大道棋詰筋辞典(8)で解説されています。
パラッとした局面になりましたが、持駒香だけで詰むんでしょうか。
74角成、93玉、75馬、82玉、84香、71玉、
74角成に95玉は73馬右で詰み。 94玉でも95香、同玉、73馬右です。
84香に71玉で、あら逃げられちゃったかと不安がよぎるかも。 まだあきらめるのは早い、53馬があります。
53馬、62香合、同香成、同歩、73香、72桂合、同香成、同玉、
83馬、71玉、63桂、81玉、82馬 まで43手
香合、桂合と必死の抵抗も及ばず、ついに43手で御用。
62香合のところ62桂合は43手駒余り。 大道詰将棋は駒余りはOKなので、この順も正解ですが、駒が余らない62香合の方が気持ちいいですね。
集客度80のまとまった初形から、追い出し型での64香奪取の珍しい詰筋、そのあと20手も続く粘っこい手順と、700題以上ある香歩問題の中でも上位にくる作品ではないでしょうか。
それでは解答者のみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 真Tさん:
- 30手目71玉で不詰かと思ったら、53馬で続くんですね。後半も合駒が出てくるのがうれしいです。
- 野中謙一さん:
- 2枚角で右辺に追っては駒不足なので上部へ追い上げることになる。
64香を入手した後は、切れそうにも思えるが上手く手が続き収束になる。
合駒も限定で良くまとめられていると思います。
このような初形がまだ残っていたとは驚き。
- コマンさん:
- 64と67の香配置が巧い。
- 長谷繁蔵さん:
- 簡素な初形で上手く捌ける
- ほの字さん:
- 角角合の後いきなりの81歩成が見つからず難渋。
- 鈴木康夫さん:
- この形で角二上追いとは気づき難い。
最初は32手目桂合して43手駒余りにしてしまいました。
前述の通り桂合も正解ですが、ほとんどの方は香合の解答でした。
-
涼秋さん:
- 大駒が無いので歩打ちから入るのは駄目だと思い桂跳ねから考えました。角は離して打ちたくなりますが、近づけて打たないと詰まないとは面白いですね。
- S.Kimuraさん:
- と金と歩の壁があるので7四角成まではすらすらと行けましたが,ここで9三玉と逃げられて,本当に詰むのかとても不安になりました.
- メキドラさん:
- 最初角二枚入手して5六角以下と思いきや詰まない。じゃあ上追いかと指してみると6四角成を発見。かなり大変でした。
- 中澤照夫さん:
- 82の歩を消して82角と打つところがポイント。収束も合駒が入って読み応えあり。
- 隅の老人Bさん:
- 前半は公式通りだが、後半は合駒も入り、上手に纏まりました。
実戦なら、この長手順は、ボケた頭で暗算はとてもムリ。
よって観戦、負けは無しです。
- スラゴさん:
- 上部に追っては詰まないという先入観があり、苦労しました。桂の限定合には感心しました。
作意は香合でした。
- 枝中さん:
- 6段目の配置で「もしかして」と思ったら大当たりでした。しかし正解手順までたどり着くまでが非常に長かったです。好作です。
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