記録展示室No.124と同様、
飛角図式のランダム生成を活用して創作した作品です。
生成された図は53飛が59龍で、28角以下の難解な余詰がありました。
そこでTETSUが53飛に修正すると共に純飛角図式に。
この余詰がランダム生成時に検出されていたら生成されていなかったわけで、難解だったのが幸運でした。
本作は、単に飛角図式というだけでなく、成駒なし(純飛角図式)、持駒なし(正飛角図式)、大駒図式、無防備図式、
そして最後は煙詰(大駒煙、飛角煙)になるという多重趣向の詰将棋で、43手という長手数のため、
結果的に多くの長手数記録を更新しました。
- 1−10 使用駒玉と飛角4枚 33手→43手 ※
- 1−105 盤面玉と飛角全駒、詰上り3枚(大駒煙、飛角煙) 33手→43手
- 1−221 使用駒大駒のみ(大駒図式) 41手→43手 ※
- 1−227 盤面玉と飛角4枚、持駒なし(正飛角図式) 新規 43手 ※
- 1−228 盤面玉と飛角4枚、成駒なし、持駒なし(正純飛角図式) 新規 43手
ただし、※の3つの記録には、摩利支天さんの「冬の散歩道」をTETSUが4手逆算した45手の参考記録作品があります。
そのため、純粋な記録としては、大駒煙、および、正純飛角図式の長手数記録(43手)となります。
シンプルな形に似合わず難解な作品で、変化も多岐にわたりますので、解説ではとても全部は触れられません。
上記の棋譜、または棋譜ファイルに分岐棋譜で詳細な変化を示していますので、じっくりご研究ください。
まずは57飛成と龍を作ります。
36玉は46龍で簡単、26玉の一手に17角と追撃。
15玉以外の逃げは龍が働いてきて早い。
57飛成、26玉、17角、15玉、33角成、24歩合、
33角成に逃げる手も龍で攻めて早く、合駒はいずれ取られるので弱い歩合。
ここ桂合は、45飛、14玉、24馬、同玉、27龍、25桂合(33玉は25桂以下)、
同龍、33玉、44角、43玉、23龍、54玉、55飛以下。
45飛、14玉、24馬、同玉、
45飛に25合は取って27龍で簡単。
16玉も46飛、15玉、26角、25玉、55龍以下。
正解は14玉です。
24馬と切るしかありませんが、同玉に桂合のときのように27龍と攻めるのは33玉で桂がないので続きません。
34歩とたたいても32玉でダメ。
そこで35角と、角を活用します。
35角、15玉、53角成(途中図)、35歩合、同飛、25桂合、
ここのところが本作のハイライト。
35角にいろいろな逃げ方がありますが、大駒3枚の追い回しの順を避けて15玉が正解。
そして53角成の空き王手で途中図。
逃げるのは龍が働いて早いので合駒ですが、直接25に合駒すると、
- 25歩合、17龍、16金合(26龍を防ぐ)、26馬以下35手
- 25桂合、17龍、16角合、26龍、14玉、16龍、15金合、同龍、同玉、26金以下35手
17龍に桂香歩の合は26龍から25龍で簡単。
角金銀のいずれでも35手以内で詰みます。
この順を防ぐため、53馬の26への利きを消すべく35歩と中合してから25桂合とします。
ここ逆順で35桂合から25歩合だと、
42馬、24銀合、17龍、16角合、27桂と打つ手が生じるので早い。
また35歩合から25歩合だと、
17龍、24玉(16金合は同龍以下)、25飛、同玉、26龍以下、3歩あるので早い。
変化にも合駒が登場するので大変ですが、35歩合から25桂合が最長になります。
このとき25歩合と同様に17龍と攻めるのは、16金合で、
同龍、同玉、17歩、27玉、54馬、17玉、27金、18玉、
38飛、19玉、55馬、37歩合と25桂が利いているので逃れ。
そこで、同飛と取ってから27龍と攻めます。
25同飛、同玉、27龍、34玉、36龍、23玉、
持駒桂と歩2枚で何とかなりそうな形。
24歩、13玉、25桂、14玉、15歩、同玉、
歩を叩いて、同玉なら42馬以下、14玉なら26桂以下です。
13玉には25桂から15歩と釣り上げて、26馬を実現。
この形なら33龍があるので、あとは手順の攻め。
26馬、14玉、13桂成、24玉、14成桂、同玉、
14成桂捨てがとどめの好手。
25龍、13玉、35馬、12玉、34馬、11玉、33馬、12玉、
22馬(22龍、23龍) まで43手
3枚の合駒はすべて消えて、見事に煙詰になりました。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 津久井康雄さん:
- とにかく手が広く、紛れと変化潰しに大苦戦。
「合駒3枚消える」のヒントが無ければもっと苦戦したと思います。
中合あり、変化手順にも好手ありで、収束もキレイにまとまり、大発見ですね。
- 山下誠さん:
- 2四馬と切って3五角で意外に玉が狭くなっている。
2五歩合の変化もあり、飛角図式としては十分な完成度。
- おかもとさん:
- よくこれで詰むなぁと感心。
18手目の局面も美しい。
上下対称の三角形。 星座みたいですね。
- 池田俊哉さん:
- 「純正飛角図式」の最長手数か。
しかも無防備図で一解となったのは奇跡的。
特に35角から53角成で歩-桂連合となるところが難しい
- 小山邦明さん:
- この形で合駒が3回出てきて、これだけ綺麗な収束とは驚き。
9手目に馬を切る手や14手目の中合という難しい手に苦労した。
- 占魚亭さん:
- 序奏の33角成〜25桂合がハイライト。
綺麗に纏まっている。
- S.Kimuraさん:
- 柿木将棋に解いてもらった手順を並べてみましたが,6手目と14手目,16手目の合駒が読み切れていません.
この手の詳しい解説があることを期待しています.
なるべく詳しく変化を分岐棋譜でいれましたが、変化中にも続々合駒がでてくるので、
このほかに気になる変化がありましたら、棋譜ファイルを柿木将棋で開いてそこから解かせてご確認ください。
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