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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.116
柏木さん 「多牌」

記録に挑戦!
記録に挑戦!
棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
・・・の長手数記録 40手台

記録展示室No.116 柏木

本作、ちょっとわかりにくいですが、駒数を数えてみると飛から歩まですべて2枚。 七対子図式といわれる条件作で、これまで数作しかつくられていない珍しい条件です。 そして、作者が柏木さんですから、しっかり煙って、詰上りは馬2枚の角一色詰。 本作は七対子煙の長手数記録作品(43手)です。

七対子煙を初めて創作したのは本間晨一さん。 2008年に展示室に投稿された作品(39手)で、 最近おもちゃ箱掲示板に掲載されています。

残念ながらと金でも同じな成香や成銀があって、そこを改良したのが 2009年におもちゃ箱掲示板に掲載された作品(33手)。

これは成駒なしのきれいな初形ですが、 「記録作としては、12角13桂が取られるだけの駒なので、もっと手数を延ばせそう。逆にもっと短くもできそう。」 という私のコメントで短手数記録に挑戦、理論上の最短手数を達成したのが 記録展示室No.64の作品(左図、25手)です。

柏木さんの作品は長手数記録を目指したもの。 左図の本間作と同様、無防備図式で、小駒成駒なしの七対子煙らしい作品。 43手まで延ばしました。

作者 「去年より模索しておりましたが、どうしても個人的には不完全の状態を脱せず、打切完成となりました。 それもあり、反則の題名を付けております。何が気に入らぬかは解いて下されば見えて来るかと存じます。 探しつつ、他の部分でも楽しんで貰えれば幸です。」

作者が気に入らなかったのは12香が取られるだけの駒という点で、 評価上気にする人もいるかもしれませんが、記録としては問題なし。 また途中で桂合が発生して1枚増えることもあって「多牌」の題名になっています。 こちらは評価上もプラスですね。

さて、手順を見ていきましょう。

  25金、17玉、15桂、16玉、

35龍では17玉のとき桂が跳ねられないので、25金から15桂とします。 27玉の形になると44桂で早いので、27合は同飛以下、28玉でも27飛以下。

  26金、同玉、35龍、同玉、46馬、26玉、

26金、35龍と捨てて玉を引っ張りだし、46と据えます。 25玉は43角成があるので26玉。

  37銀、15玉、26銀、同玉、37馬、25玉、

実はさっき跳ねた15桂が邪魔駒で、すぐに37馬と行くと、後に15馬とできず詰みません。 そこで48の銀を使って15桂を消去します。 37馬に16玉は43角成以下。

  45飛、35桂合、同飛、同玉、27桂、34玉、

45飛に35歩合は43角成で二歩で34歩合ができないので早い。 35桂合に43角成なら34歩合で逃れ。 桂先桂歩?

  44金、23玉、33金、同玉、15馬、23玉、

金を33に捨てて待望の15馬を実現。

  35桂、12玉、24桂、11玉、23桂、22玉、32角成、13玉、

怒涛の3連桂跳ね。 以下この桂も2枚共捨てて収束します。

  12桂成、同玉、11桂成、同玉、33馬上、12玉、22馬 まで43手

七対子のうち6種が消えて馬一色の詰上り。

邪魔駒の桂消去、桂合を入手しての2枚の桂の捌き、角と桂が躍動する七対子煙でした。

ちなみに、確認のため七対子図式を再検索してみたら、柏木さんの都七対子煙29手が見つかりました (スマホ詰パラ5536、2015年4月)。 こちらもいずれ記録作として登録したいと思います。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

山下誠さん:
2枚の桂が交互に跳ねて馬2枚の詰上がり。リズムのよい手順。
松本浩一さん(作者):
投稿時コメント以外にも、 片方の歩やもう片方の香車が無くても成立するのは御勘弁下さい。
桂馬を出せたのは幸でした。

17香、16歩両方なくても成立するんですね。 変化を消す意味があるので、取られるだけの駒ではありませんが。

おかもとさん:
七色×2枚の煙詰ですか。 この条件なら、双玉にしたいような。

七対子ならぬ八対子ですね。

占魚亭さん:
流麗な捌きの七対子煙。 柏木さんの代表作のひとつになるのでは。
S.Kimuraさん:
玉以外の駒は.すべて詰方の駒なので,多牌といっても, 相手にこっそり牌を1枚追加させられた気がしますね.
Pathfinderさん:
無防備図式からの詰上がり馬二枚には驚きました。
小山邦明さん:
途中の手順も、邪魔駒消去のような手順も含まれていて難しかったです。
18手目も歩合だと43角成で合駒に困るというわけですね。
池田俊哉さん:
この条件は難しかった、「無防備七対子けむりの最長手数」でしょうか。
条件だけに留まらず、跳ねた15桂の消去や収束角桂図式になるところなど手順の見所も充分

無防備抜きでも長手数記録です。


記録展示室No.116 解答:8名 全員正解(下記)

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  おかもとさん  小山邦明さん
  占魚亭さん  Pathfinderさん  松本浩一さん  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。