前回(記録展示室No.45)記録を大きく更新する楽しい趣向詰を見せてくれた徳希さん。
本作もまた記録作ということを抜きにしても楽しめる趣向詰です。
初手は58角の一手。
受方の持駒は角だけなので、67角合(65玉は、74銀、54玉、76角まで)。
同角、同玉に49角まで? いやそれは58角の捨て合で逃げだされます。
45角と打つのは76玉、54角、67玉で千日手模様。
85角、76角合、同角、同玉と76に戻すのが正解です。
これで初形から47の角を持駒にできました。
さて、ここが読みどころ。
54角、67玉、45角、76玉では千日手。
58角、67角合も元に戻ってしまいます。
87角も67玉で手がなし。
盤面全体をよーく見ると、23の飛車が怪しげです。
そう、この飛車を取りに32角の王手飛車が遠打の好手。
32角に67玉なら予定通り23角成と飛車を取って簡単。
65角合も同角、同玉、74銀でどちらに逃げても角打ちまで。
そこで、43角合と飛車の利きに合駒をするのが最善の応手です。
同角成、同飛と進んだ段階で、感のいい人はその先が見えたかもしれません。
58角、67角合、同角、同玉と67に呼んで、34角の王手飛車!
45角合、同角、同飛と、角を駆使して飛車をジグザグに動かす趣向なのです。
続けて76に呼んで54角、65角合、同角、同飛。
次の58角、67角合、同角に同玉だと、56角から65角と飛車を取られてしまうので、同飛成。
更に98角、87角合、同角、同龍と、23の飛車を43、45、65、67、87と移動させるのに成功しました。
ターゲットの飛車が87に行ってしまったので、王手飛車はかけられませんが、代わりの質駒がいました。
12の金です。
21角と王手金取りに打てば、67玉と逃げられない(金を取られる)ので65角合の一手。
ここからは角打角合のくるくるです。
58角、67角合、同角、同玉、85角、76角合、同角、同玉、
32角、43角合、同角成、同飛、58角、67角合、同角、同玉、
34角、45角合、同角、同飛、85角、76角合、同角、同玉、
54角、65角合、同角、同飛、
58角、67角合、同角、同飛成、
98角、87角合、同角、同龍、
21角、65角合、同角成、同玉、
43角、54角合、同角成、同玉、
32角、43角合、同角成、同玉、
21角、32角合、同角成、同玉、
21角 まで53手
遠打によってノコギリ型で受方の駒を呼ぶのは、伊藤看寿の名作、
将棋図巧第1番が元祖作品です。
図巧1番は飛打飛合で受方の角を呼ぶ趣向で、これに対抗して、それなら角打角合で飛車を呼んで見せようと創作したのが
九代大橋宗桂の将棋舞玉第1番。
本作は、舞玉1番と同様角打角合で飛車を呼びますが、更に玉の移動もすべて角打角合にしたのが大きな特長で、これにより、
全着手角の長手数記録作品(53手)になりました。
- 作者:
- 全着手角の記録を53手に更新しました。
折り返し等をしていないので、まだまだ伸びそうな気もします。
作者のことば通り、更に記録を更新した作品(57手)が届きました。
実は本作の出題前に届いていたのですが、TETSUの手違いで更新前の作品を出題してしまいました。
作者にお詫びするとともに、ここで紹介させていただきます。
最後90度曲がることで更に4手更新。
記録としては、この57手の作品を登録します。
- 作者:
- 全着手角の記録を57手に更新しました。
せっかくなので還元玉ならぬ還元角にしてみました。
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