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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.20 馬屋原剛さん

記録に挑戦!
記録に挑戦!
出題時のコメント:
記録レース最後に登場した大作。 全手順縦横移動。 139手。

全手順縦移動横移動と合わせて 全手順縦横移動も岩田俊二さんが制覇するかと思われましたが、最後に登場したのが馬屋原剛さんのこの作品。 最初39手からスタートした記録レースは、 最終的に139手となんと100手も更新することになりました。 更新の状況については、 全手順縦移動、横移動詰将棋メモ) にまとめられています。

全手順縦横移動の制約も元でも馬ノコは可能。 しかし、単純な馬ノコではそれほど手数を延ばすことができません。

本作は、「桃花源」と同様の一手馬ノコ。 しかも、その切り替えのキーを反対側の馬の移動にしているため、一マス進むごとに玉の左右往復が必要になり、 139手という長手数になりました。 構造はちょうど「明日香」を横にしたイメージです。

馬ノコの目的は、84のと金を無力化すること。 66馬まで移動すれば、93歩成、同玉、97飛の詰上りが見えてきます。

それでは手順を見ていきましょう。

すぐに31と、22玉、88馬と行きたいところですが、55と、21と、同玉、11歩成、同玉で、18馬が19香のジャマをしているため詰みません。 そこで、まず玉を左に呼んで、28馬と右の馬を寄せておきます。

【手順A】
  31金、42玉、41金左、52玉、51金左、62玉、61金左、72玉、
  71成銀、82玉、
28馬、46と、
  81成銀、72玉、71金、62玉、61金右、52玉、51金右、42玉、
  41金右、32玉、31と、22玉、
88馬、55と

28馬の形なら、21と、同玉とされても11歩成、同玉、15飛以下。
21と、32玉で、ここでもすぐに87馬と行きたいところですが、54香の移動合で逃れます。
今度は28馬が29香のジャマをしているので、また玉を左に呼んで、18馬と元に戻します。

【手順B】
  21と、32玉、31金、42玉、41金左、52玉、51金左、62玉、
  61金左、72玉、
18馬、45と、
  71金、62玉、61金右、52玉、51金右、42玉、41金右、32玉、
  87馬、54と、

18馬の形なら、87馬に54香とされても、同馬、同と、33香、同成桂、31と、22玉、35成桂以下。
あとは、この繰り返しで77、67、66と馬ノコで移動します。

  【手順A(77馬)】  【手順B(76馬)】  【手順A(66馬)】

66馬まで来れば、予定通りの収束です。

  21と、32玉、31金、42玉、41金左、52玉、51金左、62玉、
  61金左、72玉、71成銀、82玉、
  81成桂、92玉、93歩成、同玉、
97飛 まで139手


変化はやっかいなところがありますが、機構自体はとてもシンプルです。
一手馬ノコに伴う左右5往復半で、見事に139手の全手順縦横移動の長手数記録を打ち立てました。

作者:
右周辺の配置は非常に苦労しました。 143手ができたと思い掲示板に書き込んだ後、 余詰に気づき慌てて創りなおそうとしましたがことごとく潰れていてなんどかあきらめかけました。 自分の作図力からすれば奇跡的な作品だと思っています。

ここで第2位97手の岩田俊二さんの作品、第3位73手の本間晨一さんの作品を紹介します。

作者(岩田さん):
12歩が取られないようなキキがあれば1手詰。 それを90手以上もかけて実現させるという易しく楽しい詰将棋。

岩田さんの作品も馬ノコです。 97馬消去や49飛の移動という個別のキーで玉を左右に往復させることで100手近い手数になりました。

作者(本間さん):
これも岩田さんの長手数には到底及びませんが、単玉としては苦心の配置で、全手順縦横長手数の自作品(71手)の頭にさらに2手加えました。

本間さんの作品は、全手順横移動の作品(67手)を改良することで73手を達成しています。

3作とも長手数化の手法が異なり、それぞれ工夫されていますので、是非ご鑑賞ください。

それでは、馬屋原さんの記録作についてのみなさんの感想を。 解答到着順です。

護堂浩之さん:
実は変化を読んでない。配置の意味と、香移動といった着手の可能性を考えて、これが作意と判断した。9八歩の毒饅頭をパクつけない意味とかは面白かったが、逆に、折角の複式プロットなのに、この纏め方で終わらせるのは、ちょっと残念かも。着手条件にこだわらなければ往復ノコにできたはずで、その案も是非見せて欲しい

98歩を取ってしまうと、最終手97飛に歩合が利いて逃れ。
往復ノコについては、山崎さんの評をごらんください。

長谷繁蔵さん:
98歩は毒マン頭かも 54香に対する対策
最後の97飛合なし詰にしたい(66馬で) ・・・ 139手になったあ!
後に54香の変化読み。同馬同と33香21玉11歩成同玉15飛13歩合12銀同玉23と同玉35成桂以下とします(もっと簡単かも)
真Tさん:
これはいいですね。詰上がりが素敵。
中澤照夫さん:
目標は89の馬を馬鋸で66に持ってくる。ただし98の歩は取ってはいけない。変化手順に備えて18の馬は香の利きを通すため28と交互に切り替える必要がある。
小峰耕希さん:
しばらく眺めて84とのピンに見当を付け、協力詰流超略式解法で都合の良い手を連発したら、左辺の馬鋸と右辺の馬往復の組み合わせで139手になる! 変化・紛れを全く読んでいないので、何故こんな機構が成立するのか全然わからないのですが、とにかく謎解きを楽しませて頂きました。
隅の老人Bさん:
最終手へのお膳立ての上手いこと、感心です。
構想から手順を巧みに延ばす。記録?後で考えましたね。
コマンさん:
97飛に94とをさせない為に89馬を66までもって右左往運動。
躑躅さん:
左の馬を21-98のラインに持っていくときは右の馬を18馬として29香の筋を通し(54香合を詰ますため)、11-99のラインに持っていくときは28馬として19香の筋を通す(21とを取られないため)、でいいのでしょうか。
初め、つい98歩を取ってしまって悩みました。
たくぼんさん:
条件作というより作品そのものが素晴らしい。作者の実力を示した一局です。
鈴木康夫さん:
馬は1八にいても2八に居ても邪魔なんですね。
山崎健さん:
柿木さん解けず。頑張って自力で考えてみたところ、、、
これはすばらしい!!!明日香型の一手馬ノコですね。感動しました。
そして、「往復させてみたい」という衝動を抑えることができずに、そのままアイデアを借用して作ってみました。
初形左右対称にできたので、投稿します。でもこれは新作とはいえないですね・・・

全手順縦横移動ではなくなりましたが、初形対称での300手超え!
馬屋原剛さん、山崎健さんの合作として、下記に発表させていただきます。
近日中に初形対称曲詰の長手数記録作品として登録する予定です。
感想、短評をおもちゃ箱掲示板に書いていただければ、ここに追加して掲載しますので、よろしくお願いします。

馬屋原剛さん、山崎健さん合作 (初形対称曲詰長手数記録作品)


記録展示室No.20 解答:12名 全員正解(下記)

  馬屋原剛さん  護堂浩之さん  コマンさん  小峰耕希さん
  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  たくぼんさん  躑躅さん
  中澤照夫さん  長谷繁蔵さん  真・Tさん  山崎健さん

当選者は、展示室で発表しています。