詰将棋おもちゃ箱詰将棋美術館
アート展示室 No.112 大西智之さん

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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
雪隠詰 30手台

アート展示室No.112 大西智之

アート展No.109は角一色図式+桂一色持駒の1号局でしたが、 ペアとなる本作は飛一色図式+桂一色持駒の1号局です。 入門向けのNo.109とは異なり、こちらは中央付近の玉が雪隠詰ということからも分かるように、上級者向けの作品になっています。

初手は37桂では55玉で困るので、左から57桂。 14飛を取られてはいけませんから、続けて27桂から15飛はほぼ必然です。

  57桂、35玉、27桂、25玉、15飛、34玉、

15飛に24玉は36桂で、いろいろ逃げ方はあるものの20手台で詰み。 34玉が正解です。
続く35飛に逃げ方は4通り。 23玉は73飛成で、24玉は26飛でいずれも簡単。 43玉は55桂で、どう逃げても桂打か飛成で捕まります。 ということで44玉が正解。
ここで56桂がいかにも形に見えますが、43玉、(73飛成、53歩合)、55桂、42玉で逃れ。 そこでもう一度45飛と押して、左右どちらかの選択を迫ります。
今度も逃げ方は4通り。 33玉は73飛成以下、34玉は36飛以下、53玉は65桂以下早く、54玉と逃げます。

  35飛、44玉、45飛、54玉、

ここで作意は46桂ですが、66桂でも以下の手順は同様(変化は少し変わります)で、非限定です。
46桂に53玉は65桂以下、64玉は65飛以下早く、63玉が正解。
43飛成と成り込むのは53歩合、55桂、64玉で逃れ。 じっと55桂と打ちます。

  46(66)桂、63玉、55桂、62玉、

ここでも42飛成と成り込みたくなりますが、52角合が絶妙な合駒で、以下手は続くものの逃れ。
54桂と跳ねて、61玉に、ここも41飛成では歩合で失敗。 66飛と回って、ここまで来ればあとは流れで行けるでしょう。 71歩の限定合から龍切りで飛車が1枚消えるのはいいですね。

  54桂、61玉、66飛、72玉、63飛成、81玉、41飛成、71歩合、
  同龍、同玉、62桂成、82玉、72成桂、92玉、93歩、91玉、
  61龍 まで31手

作者「11手目の桂打が6六桂でも可と非限定なのはやや残念ながら、22手目の合駒は限定できており、 この手の条件作としては一定の水準を満たしているのではと考えます。 序で限定の桂連打の後、上下の飛車による挟撃を崩しつつも上側の飛車の細かい動きにより新たに左右からの挟撃形を構築する辺りの流れ、 そして15手目▲4二飛成の紛れ(凌ぐためには角限定合が必要)が入ったことを、個人的には気に入っています。 手数も長く上級者向け。」

飛一色図式+桂一色持駒の1号局。 変化が多い上に誘惑的な紛れも多く、解くのは大変な作品で、この手順が成立しているのがすばらしい。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

山下誠さん:
初形は美しいが、桂4枚を使う追跡順は悩ましい。
小山邦明さん:
最初は桂打ちしかありませんが、5手目に飛を動かして玉を下段に落としすのはやりにくかったです。 玉の逃げ方もいろいろあって変化が多いのですが最後までよくまとまっている手順だと思いました。
占魚亭さん:
11手目に打った桂を活用する流れがいいですね。
おかもとさん:
11手目46桂と66桂の非限定がなければ、なおよかったのに。
ootanowatasiさん:
こんな形があったとは驚き。 歩の限定合から龍捨てもあり、見事な作品。
S.Kimuraさん:
序盤の変化の多さに,全ての手順が理解できていません. 解答を楽しみにしています.

主要な変化は棋譜ファイルに示しましたので、ご研究ください。

池田俊哉さん:
この初形、この持駒で詰将棋になっているのが素晴らしい
ただこれが作意順とすれば11手目非限定も注釈しておいた方が良かったかも

そうですね。 出題コメントで書くべきでした。 すみません。


アート展示室No.112 解答:7名 全員正解

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  ootanowatasiさん  おかもとさん
  小山邦明さん  占魚亭さん  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。