ギリシャ到着。路線バスに乗ってスニオン岬でポセイドン神殿見学

4月4日(火)
:最高気温22度前後、最低気温10度強。アテネは快晴、スニオン岬は薄曇り
Yahoo! Weather :アテネ。lonely planet:ギリシャの地図。アテネの物価:住友商事の「世界の物価レポート」。大卒初任給/年収は144万円


カイロからアテネへの移動は深夜の移動。
カイロのホテル23:30発。カイロ2:15発、イスタンブール5:30着(乗り継ぎ)。イスタンブール8:20発、アテネ9:40着というハードなスケジュール。
佐治は体調をすっかり崩して、イスタンブールの誰もいない空港の待合室でひたすら寝ていた。僕もちょこちょこ寝たが、アテネに着く頃は呆然状態だった。

しかし、そこはアテネ(地元の人はアセンスと呼ぶ)。
美しい海に面した空港に着いてまずオリンピック航空のカウンターで翌日のミコノス往復のフライトを予約(8:30アテネ発、18:30現地発、38,000DRS/ドラクマ=11,400円。1ドラクマ0.3円)。
空港にはアテネ大学の学生さんが迎えに来ていて、やたら奇麗な日本語で出迎えてくれた。空港から市内の中心地、シンタグマ広場までは車で30分弱だったが、周囲の家も車も人も道も何もかもクリーン。佐治が「やっぱヨーロッパだよー!」と喜んでいた。事実エジプトから来ると比べてはいけないとわかっていてもほっとする風景だった。
途中朝の地中海の光の中にアクロポリス/ΑΚΡΟΠΟΛΗの丘が見えて、パルテノン神殿が見えた時は感動した。結構高い場所に建っていて、よく見えた(下の画像が車の中から撮った画像)。

アテネの街並みはまさにヨーロッパ(当たり前か..)、しかし街並みの美しさを楽しむような街並みではなかった。建物の外壁は白やグレーが多く、イタリアのようなカラフルな色の外装の建物は無かった。ギリシャはルネサンス全盛期や大航海時代のようなヨーロッパ文明の全盛期にオスマントルコに占領されていたので、バロックやゴシック建築のような古い建物は無かった。
日差しはかなりまぶしくて、街を歩いている人の2/3はサングラスをしていた。

ホテル(エスペリアパレスホテル/Esperia Palase Hotel)は街中心地のシンタグマ広場から歩いて5分かからない場所にあって、ロケーションは抜群。古いホテルで、バスタブはかなり浅いし窓から見える景色は壁だし、エレベーターは旧式で遅かったけど、ロケーションがいいし、朝食もおいしかったので許せた。

我々はホテルにチェックインして休憩。2時間位仮眠をしてから、この日の唯一の予定だったスニオン岬への行き方を調べた。
スニオン岬はアテネがあるアッティカ半島の南端にある岬で、岬の上のポセイドン神殿と、神殿の後ろに沈む夕日の美しさで有名な観光スポットだ。ここに行くためには「サンセットツアー」に参加して行くか、路線バス/パブリックバスに乗って行くしかない。
そこでパブリックバスのバス停を僕が探しに行った。
バス停はシンダグマ広場の先にあるとガイドブックに書いてあったが、きょろきょろしていると、
「どうしましたか?何を探していますか?」
と上品なおじさんが声をかけてきた。このおじさん、レオンに出てくる「レオンのお金を預かっているおじさん」をもっと上品にした感じで、とても悪人には見えなかったので警戒モードを解除して話していると、
「日本のプライムミニスター(小渕さん)が病気らしいけど、私は心配している。私も心臓が悪いので早く直る事を祈っている」とか
「スニオン岬行きのバスはあそこから出ているよ(日本のバス停の標識とまったく同じで、ポールの先にオレンジ色の丸い標識が付いていた)、チケットはあそこのキオスクで買うんだよ、でもまだバスは出ないからちょっとコーヒーでも飲まないか? 」
とか言うので、
「親切は感謝しているけど、フレンドがホテルで待っているから私は行かなければならない。サンキューベリーマッチ」
と言うと
「何?フレンドがホテルで待ってるの?じゃあ10分だけでもいいからコーヒーを一緒に飲もう、ご馳走するよ」
などと言うので、もしかすると単なる人の良いおじさんかもしれないと半信半疑だったがついて行くと、そのおじさんが入って行ったのは地下一階の昼間から暗い”いかにも怪しい店”。
やばい!と思ってバイバイ!と言いながら逃げると、
「どうした?ユーはここの店は嫌いか?」
と言いながら追いかけて来るで、
「あんな店は嫌いだ!」
と言うと
「あそこにカフェがあるから、あそこで飲もう」
と言ってすぐ近くの店を指差したが、看板はCafe Pub。そのおやじが店のドアを開ようとして背を向けた瞬間走って逃げた。ちらっと見えたその店の中も暗かった。
見損なうなよ!俺を誰だと思ってるんだ、俺はエジプト帰りなんだぞ!

やれやれと思いながら少し興奮状態でホテルに帰ると、ロビーで佐治とおばさんが話していて、聞くとHISが現地で手配した旅行代理店(マリソル/MARISOL)のベテランガイドさんで、オプションツアーに行くお客さんを待っていたらしい。今起きた事を話すと
「良かったわねー、ひっかからなくて。あの手の客引きは夜だけじゃなくて昼間っからいるのよ。カップルとか男性のグループでも引っかかって、運が良くても何百ドルもとられるのよ。最近アテネはアルバニア難民が入って来て犯罪が増えてるのよ」という事で、アテネもそれなりに気をつけていないといけないようだ。冗談抜きでエジプトで鍛えられたのが幸いしたのかもしれないと思った。

僕は早速このおばさんに翌日の1日クルーズをキャンセルしてミコノスに行く事を伝えたが、佐治はこのおばさんから(「世界遺産」の取材にも協力した事があるベテランらしい)翌日行くミコノスのビューポイントをしっかり教えてもらっていた。

スニオン岬/SOUNIONまではアテネから2時間(南に70km)。海沿いルート/COAST ROUTEと半島の中央部を走るルート/IN LAND ROUTEと2ルートあって。我々が選んだのはもちろん海沿いルート(バス代は車内で車掌さんに払う。1,310ドラクマ=400円)。
パブリックバスと言っても遠距離バスなので、アテネ市内には停車せず、郊外に出てからポツポツ停まる程度。最初は混んでいて座れず、2時間立ちっぱなしかよと思ったが、1時間位で座れた。車内は地元の人がほとんどで観光客は10人弱位しかいなかった。
車外の風景はアネネ市街を出るとずっと海岸沿いに走った。きれいなサンドベージュ色の砂浜、所々エメラルドグルーンに輝く海、オリーブの木、白い壁にオレンジ色の瓦屋根の家がいかにも地中海沿岸の風景だった。
バスがどんどん進むと、背の低い黄色い花をつけた木や白い岩肌の海岸(アポロ・コースト)が見えてきて、家も少なくなり、南仏のコートダジュールのニースからモナコまで行く時に走った時見た風景を思い出した。

やがて、前方の小高い海に突き出したスニオン岬にポセイドン神殿が建っているのを発見。そもそもSOUNION岬は円柱岬という意味だそうだ。
最初はマッチ棒みたいものが数本立っているように見えたが近づくとまさにギリシャの神殿。バスを降りて帰りの時間(19:00、20:00と1時間おきに出ていて、この日は19:45が日没で20:00が最終)をチェックしてから、神殿へ(入場料:800ドラクマ=240円)。

ポセイドン神殿/ΤΕΜΕΝΟΣ ΠΟΣΕΙΔΩΝΟΣはアテネ(アテナイ)の全盛期の紀元前440年に完成したギリシャ神話の海の神様ポセイドンを祭った神殿だ。
僕は丘を登って神殿を見上げた瞬間、突然TBSの「世界遺産」のテーマが頭の中でガンガン鳴り始め止まらなくなってしまい、しまいには緒方直人のナレーションまで聞こえてきそうだった。


神殿から海までは60mもあって急斜面になっていたが柵は無く、周囲には神殿から丘を3分位下った所に1階建てのカフェ(TOURIST PAVILION)が1軒あるだけ。
岬全体に高い木は一本も無く、日本のつつじより低い高さの木(ハリエニシダ)が黄色い花を一杯つけていた。所々には真っ赤なけしの花に似た花も咲いていて、清々しい所だった。ガイドブック(「望遠郷」によるとシクラメンやチューリップはギリシャでは自然に自生しているそうだ。

佐治はころがっている白い大きな大理石に座ってぼーっとしてしていたが、「やっぱこうゆう所は女と来ないとだめっすよ」とぽつりと言っていた^_^

これで晴れていれば夕日も奇麗だったと思うが、残念ながら天気は薄曇りで、太陽はたまに顔を見せる程度。我々はカフェのオープンエアの椅子に座って、遠くに見える神殿と水平線、岬の自然をしばらくぼーっと眺めていた。
ときどき佐治が「あれ飛べない鳥じゃないすかね?」と言った鳥(ヤマウズラ)が地面を前傾姿勢でちょこまか走っていた。

僕はここのカフェで紅茶を飲んだが、リプトンの単なるイエローラベルのティーバッグのくせに、やたらおいしかった。ロンドンで飲んだ以来のうまい紅茶だった。水が硬水なので日本の軟水とは水が違うことはわかっているが、他に何が違うのかさっぱりわからない。日本では味わえないうまさだった。「うまい、うまい。ミルクを入れたら、さらにうまい!」と言いながら紅茶を飲んでいる僕を、佐治は不思議そうな目で見ていた(画像左がカフェから見た風景、遠くにポセイドン神殿が見えます)。

さて、これでポセイドン神殿見学も終わり。
バス停でドイツ人のツーリストと一緒に30分位待って7時のバスで帰った。
まだ太陽は沈んでいなかったので、アポロコーストの夕日をバスの中から見ようと思えば見れたのだが、2人とも走りはじめてすぐ爆睡。
気がつくと夜のアテネ市内。車掌さんには中心部で降りたいと乗った時アピールしていたので、「そこの観光客さん!ここで降りるんだよ!」と(多分言って)教えてくれた。

バスを降りると雨がポツポツ降っていて、もう9時を過ぎていたので、あらかじめスニオン岬のカフェで休憩中に選んでおいたシンタグマ広場に面したセルフサービスのレストラン(NEON)に入って、並んでいる料理を見てみたが、佐治が気に入らなかったのでボツ。佐治は「魚食いてー、野菜食いてー」と繰り返し言っていたが、ここには両方共なかった。僕は「ギリシャに来たらムサカでしょー」と言っていたが、ムサカも無かった。

そこでガイドブックをチェックして近くの「有名店だが気軽に入れるのがうれしい、ボリュームがあり料金も手ごろ」と書いてあった店(「DELFI/デルフィ」)に行くことにした。
そこではビール、イカの唐揚げ(カラマラキア、画像の右)、魚のグリル、シェフサラダ、トマトソースのパスタを食べたが、味は感動する程のものではなかった。サラダ(画像の左)に入っていたヤギの乳から作るフェタチーズはしょっぱかったし、魚のグリルも「いじり過ぎ」。もっとシンプルで良かった。
特に佐治が食べたトマトソースのパスタの感想は「スパ王の麺に缶詰の具をかけたような感じ、超まずかった」。
しかし、安心して食べれるのは何より嬉しい。エジプトでは水道水で洗った野菜を使ったサラダなんかとんでもないし、魚も食べる気がしない。でも、ここはギリシャ。安心して食べれた(10,000ドラクマ=3,000円/2人)。

レストランを出てからは、良く行く洋食屋さんのバイトの「みゆちゃん」からお土産として頼まれていたマックの灰皿(アルミ製でペナペナだけど、席についてから店員さんに言うとただでくれる)を手に入れてから、もう10時過ぎだったのでおとなしくホテルに帰った。

この日も佐治にビオフェルミンをあげて寝た。
この夜アテネは雨が結構強く降って、遠い意識の中で「あしたのミコノスは大丈夫だろうか」と思いながら寝ていた。



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