脱・前例がない

この4年間、勉強しながら行動の連続でした。採決での失敗もありました。成果を目に見えるものにすることも容易ではありませんでした。しかし、いつも行政への批判や反対の態度を取るときには、“自分だったらどうしていただろう”と自問してきたつもりです。
その時に見えてきたのは、全国にある様々な自治体の奮闘でした。真似すべき「前例」がそこにはたくさんあります。全国の自治体には個性があり、顔があります。その不均等発展がある限り、日本は大きくは間違った方向には向かわないように思えて、その豊かさが損なわれないよう、その一端を担うべく、藤沢市のあり方を発信します。

脱・会派主義!
会派ごとに採決態度を決めるなんて変!これこそが談合政治の温床。質問・答弁を通じて、一人ひとりの議員が判断する緊張感が必要です。
休日議会の開催。〜誰もが傍聴できる議会に
採決態度、発言議員の名前が記載された「議会だより」に


私は、質問時も原稿を読みません。シナリオ通りに議事が進み、どんなに議論の中身で行政に優っていても数の力で事が運ぶ議会にあっては異端児かも知れませんが、市民の常識を貫いてきたつもりです。議長室に呼び出されたり、「慣例」との戦いでした。出る杭は打たれますが、出すぎた杭は強くなって2期目に挑みます!


生産企業の責任で実効性のあるゴミ処理条例を!
ごみ処理の広域化計画は産業廃棄物を税金で処理する業界意向で進められ、ごみ減量と矛盾します。ドイツのカッセル市のように自治体独自の条例から拡大生産者責任の実現を!

4年間での一番大きな仕事だったのは、「エネルギーセンター」という大型ごみ焼却施設計画を地元の皆さんの住民運動の力で「凍結」状態に持ち込んだ際、一定の役割を果たした事です。500億円と言われる大型公共事業は、“ダイオキシン対策には大型で24時間連続稼動の施設が必要”という名目で、「ごみ処理の広域計画」という、藤沢市のごみだけではなく近隣市町と広域でのごみ処理を進めようとする国の政策で、産業廃棄物をも税金で処理しようとする日経連などの要請を受けた国の政策に、藤沢市が自治権を返上して乗っかっていく巧妙な仕掛けでした。
 大型で24時間連続燃焼の焼却炉を作るという事は、大量のごみを集め続けなければならないという、ごみの減量と全く矛盾します。その事を認識した地元の住民が、単に、“地元の迷惑ゴメン”という事にとどまらずに運動を展開した結果、計画の一時凍結という状況を作り出しました。
しかし、合併によって、計画の復活が懸念されます。延長戦を戦うためにも地元から県議の擁立を試みたのですが、残念ながら結果は得られませんでした。ごみ問題は全市的な課題であるにもかかわらず、誘致地域だけの説明会でごり押ししようとする市の市政にこれからも、チェックは欠かせません。



安心介護へ、介護のプロ育成に税金を!
ケアマネージャー等が専門職として自立できるように援助。楽しく健康づくり、介護予防のマネジメントで、寝かせきりゼロ=医療費抑制は人的パワーの充実で

介護保険によって、老人医療費は抑制されるといった当初の話は、まったく現実のものとなっていません。国民健康保険料も値上がりが続き、03年度から介護保険料もアップです。いまの介護システムは、機能回復や機能維持といった介護による成果を、数値化してその数値を向上させるために投資していくという意識が育ちにくい状況です。それだけの成果をあげるには、それなりの投資が必要なのですが、やはり「寝かせきり」の方が金になる事が問題なのです。
特にケアマネージャーは、どんなに介護者の立場に立ちたくても、雇われている企業の営業のために働かなければならず、その人に合った介護プランを立てて、検証し、そのデータを公的に蓄積していくという重要な仕事が担えないでいます。
和歌山県の南部川村は、和歌山県で一番医療費を使っていない村です。「日本一の梅の里」として剪定や収穫などに70代80代の仕事があり、早期検診を利用しやすくしたりするきめ細やかな行政の努力も理由です。人口1万2千人の茨城県大洋村は高齢者の筋肉トレーニング推奨で、高齢者の医療費の伸びを見事に抑えています。寝たきりの原因の一つ、転倒による骨折を減らすために大腰筋を鍛えるトレーニングで効果を調べる研究がスタートし、藤沢市でもこれに習おうとしています。
こうした身近な生活圏でのサービスを充実させている「前例」に、小さな町村が多いのも注目です。合併よりもやるべき事、やれる事はたくさんありますし、小さいこと、財政が厳しいなりの知恵が必要なのだと学びました。


■ファミリーサポートシステムや保育事業の発展に、高齢者事業とのコラボレーションを。
■子どもからも先生への「通信簿」で相互教育に。
■性教育の充実。

4年前の選挙前に作ったチラシに、「市で登録・講習し、保険に加入した有償ボランティアが自宅で一時預かり保育するサポートシステムを藤沢にも」と書きました。翌年市でスタートしたファミリーサポートシステムは、土地の確保などで保育施設等の新設・増設が難しい中での窮余の策という側面はありますが、地域で希薄になるコミュニティづくりにも有効で、利用者は増え続けています。このシステムをより充実したものにするために次のステップを目指しています。
 

■官の情報は市民のもの。市民の情報は本人のもの。
市の条例に基づき、住基ネット等による個人情報の外部提供を拒否できる自己情報コントロール権の明確化を。
荏原ダイオキシン事件でも、許認可権を持つ県の責任を市は問わず、国・県・市の協議記録は非公開でしたが、行政間情報の公開を。

荏原製作所によるダイオキシン流出事件の際、市は、高濃度の汚染を確認した後も、「発生源を特定してからでないと風説被害となる」と言って、市民に危険を知らせませんでした。まず、市民の安全を優先すべきと追及し、ダイオキシン等の危険物質のデータの速やかな公開を約束させました。
4年前のチラシで「市が出資する外郭団体も情報公開の対象に」と掲げましたが、その後、「土地開発公社」に限って公開対象に加えられました。でもまだまだです。


環境に優しく、災害に強い「自転車総合計画」の策定で、自動車中心の交通政策からの脱却。高速道路より、歩行者、自転車、車の共存できる生活道路のための公共事業を。


議会で取り上げられる自転車の問題は、いつも「放置自転車対策」の迷惑な対象でしかありませんでした。その認識を改めるために取り組みました。やはり4年前のチラシに高速道路問題と「誰もが安全に利用できる公共交通の充実や駅・商業地の駐輪場の拡充を」と記しました。藤沢駅を例にとると・・・
藤沢駅南北の駐輪場と放置率の推移  平日11時調べ
駐輪場数 収容台数 放置台数 総数 放置率
99年度 8 4084 1028 5112 20.1%
00年度 10 4164 674 4838 16.2%
01年度 10 4552 628 5180 13.8%
02年度 12 4883 605 5488 12.4%

少しずつは改善されているも、依然、駐輪場が足りていないのは明らかです。

■緊急の具体策には、藤沢駅北口周辺の駐輪場が不足から市役所の駐輪場に通勤用の自転車が押し寄せ、市役所利用者がはみ出している現状に対して、市役所東側の公用駐車場となっている敷地を利用しての新しい通勤・通学&市役所利用者用の駐輪場設置を求めました。
■長期的には、鉄道事業者・商業者組合等との協議を、効果的に進めるために「総合計画」を市で定め、「自転車等駐車対策協議会」の組織化を念頭に訴えました。

市の回答は、“「総合計画」について研究する”というところまでこぎつけました。

以下は、93年成立の「自転車法」が根拠です。
第7条「市町村は、・・・自転車等の駐車対策を総合的にかつ計画的に推進するため、自転車等駐車対策協議会の意見を聞いて、自転車等の駐車対策に関する総合計画を定める事が出来る」
第8条「市町村は、自転車等の駐車対策に関する重要事項を調査審議させるため、条例で定めるところにより、自転車等駐車対策協議会を置く事が出来る。・・・協議会は、道路管理者、都道府県警及び鉄道事業者等、自転車等の駐車対策に利害を有する者のうちから、市町村長が指定するもので組織する」

全国有志の自治体担当者が92年発足させた「全自連=全国自転車問題自治体連絡協議会」の要求などで、「鉄道駅は自転車の大量発生原因施設の一つ」とする認識が、一定反映した形で「自転車法」が成立しましたが、“鉄道事業者に対する自転車等駐車場設置義務の法制化”は見送られました。そのため、自治体側の力量が問われているのです。
結局、金がないから、駐輪場設置はムリ。と言うだけで知恵も出そうとしない市行政の姿にあらためて憤りを募らせた02年度12月議会でしたが、阪神大震災のときにも、大量の自転車が必要となりNGOはじめ多くの機関が震災地に自転車を送りました。大型店舗の相次ぐ出店に脅かされる地域商店街の「迷惑」ではなく「ゲットすべき自転車利用客」をどう誘致していくのか街づくりにとっても欠かせない視点です。環境面からの自転車の優位性をどう評価していくのか。小泉「行革課題」として高速道路問題を追及する側に立つ鉄道事業者と、それではどうやって「クリーン・低料金・誰もが安全に利用できる公共交通の充実」に向けた共同作業を進めるのか等々、諦めずに取り組んでいきます。

<参考>「自転車とまちづくり」渡辺千賀恵著(学芸出版社)、「自転車対策研究」全自連



※4年間の自己評価・・・多少なりとも結果が見える部分ですが、やろうとする事が本質的な部分であればあるほど思うような成果はなかなか上がりません。ですから、議会の外にある皆さんの声や行動をどのように力にしていくかという点で努力してきたつもりですが、非力を痛感するばかりでした。


 

 
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