Web-Suopei  生きているうちに 謝罪と賠償を!

「支える会」発足時の声明

中国から提起された日本人の戦争責任

発起人 藤原 彰

 戦後50年を経た今日、日本ではなおかつての戦争の評価について国論が分かれています。しかし歴史の真実を正しく見るなら、戦争が日本の侵略であったこと、その中で日本軍が残虐行為をくりかえし、アジア各国に数え切れないほどの被害を与えたことは、まぎれもない事実です。その中でも、最大の被害国が中国であることはいうまでもありません。
 ところが中国の筆舌につくしがたい戦争被害について、日本では今までほとんど問題にされることがありませんでした。かつての日本の侵略と加害の事実を明らかにし、戦争責任をはっきりさせることは、私たち日本人に課せられている責任だといえましょう。
 今回の中国の戦争被害者の要求は、中国の莫大な被害の中のほんの九牛の一毛にすぎません。しかし最大の被害国である中国からのはじめての問題提起としての歴史的意味をもっています。これを支えることで、少しでも日本人としての責任を果たしたい、そして中国人戦争被害者についての事実の究明と、補償問題の解決に寄与したいという思いで、発起人としてのお願いを申し上げます。

人間としての良心に照らして

弁護団長 尾山 宏

 今回の中国人戦争被害者の提訴は、被害者としての当然の要求なのですが、日本の裁判所の現状を考えると、勝訴をかちとることはなかなか大変なことです。国民の皆さんの強力な支持がなければ目的を達することは不可能です。
 この訴訟への国民的支持を広げてゆくためには、国民の皆さんが日本の過去の罪科についての歴史認識を深めて下さることが必要不可欠です。具体的に言えば、 1931年のいわゆる満州事変以降敗戦に至るまでの15年戦争が侵略戦争であったこと、その戦争下で日本軍が数々な残虐行為を、中国をはじめアジア諸国の人々に加えたことに加えて、原告あるいはその肉親の人たちが、南京大虐殺や731部隊で、あるいは「従軍慰安婦」としてどんな残虐行為をうけ、被害者あるいはその遺族として、五〇数年をどのような思いで生きてきたのか、という生の具体的事実を知り、さらには周囲の多くの人びとに知らせることが大切です。そうすれば人間としての良心に照らして、誰しも日本が国としてこれらの人びとに謝罪と賠償を行うことは当然のことだと思うようになるでしょう。
 皆さんの御協力を心からお願い申し上げます。

裁判を闘い抜こう

弁護団事務局長 渡辺 彰悟

 去る8月7日、中日における未曾有の戦争被害の中で、花岡事件に続き、元慰安婦5名、731部隊による生体実験被害者3人の遺族8名、南京大虐殺の被害者1名、無差別空爆の被害者1名によって、国を被告とする損害賠償訴訟が東京地方裁判所に提起された。
 四次にわたる訪中調査、被害者からの事情聴取を経ての提訴であった。できうれば原告とともに裁判所で提訴手続きをしたかったが、8月7日には間に合わなかった。しかし、四日遅れて11日には731被害者王耀軒の息子王亦兵と、空爆被害者高熊飛氏が来日し、また、今回提訴には至らなかったものの企業との交渉を継続中の強制連行被害者、劉連仁も遅れて成田に到着した。
 彼らの日本での訴えは、国際フォーラムその他の場で国民の共感を呼びおこした。しかし反面、週刊新潮の反応にもあるように必ずしも今日の提訴を好ましく思っていない勢力もある。
 我々弁護団も、そして支援の皆さんも、様々な思い入れやこだわりをひきずりながら中国人に対する戦争賠償の問題に取り組もうとしているのは、やはりこの問題が現在の日本のあり方を考えるうえで極めて重大であると認識しているからであろう。
 戦争責任にどうけじめをつけるのか、無責任な国の一構成員という立場を甘受したくない。そんなスタンスを私たちは最低限共有しているはずだ。このスタンスを批判するなら、真正面から議論しよう。
 50年目の国に対する請求である。多くの山が立ちはだかるであろう。皆さんの支援とともに乗り越えていこう。

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