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昇進・昇格試験の論文対策は、昇進・昇格試験で論文を書かなければならない方々を支援するサイトです。

書き方&論文テクニックWriting an essay and Technique

インデックス

昇進・昇格論文の構成

昇進・昇格試験の論文試験では、
 「受験者は昇進・昇格させるに相応しい人物か」
を見られます。

設問によって変わりますが、基本的には次のような構成になると私は考えています。

  1. 自分が担当する業務の紹介、その業務における自分の立場や役割
  2. 現状把握(背景、現状分析とその結果)
  3. 問題抽出、考察
  4. 課題設定(本来のあるべき姿、現状(As Is)とあるべき姿(To Be)のギャップ、そのための課題)
  5. 課題の実現方法(施策)の具体案(施策の具体案の説明、過去の対策の検証、過去の対策と違い自分の具体案が有効であることの根拠や理由の提示、事例を使った説明及び事例に対する考察
  6. 結論、抱負

受験者それぞれが人材として組織に所属して業務を行っています。

自分がこれまで、
・どのような立場でどのような業務を行ってきたか、
・それによってどのような知識や能力が身に付いたか、
・今後は組織の中でどのような位置付けで何をどのように行っていくのか、
・どのように組織に貢献するのか、

ということを述べ、そして採点者にそれを理解してもらわなければなりません

まず、上記1項にて自分がどのような人物かを述べます。

次に、2項で自分が組織の現状を正確に把握していることを述べ、その組織が持つ問題点を3項で説明します。

そして4項では、問題が解消した後の理想的な状態(あるべき姿:To Be)がどのようなものかを説明し、現状(As IS)からその理想的な状態にするための課題を設定・説明します。

5項では、課題に対してどのような施策が有効かの具体案を示し、それが有効である根拠を示します。過去の対策との比較や事例を使った説明が良いかもしれません。ここで、自分がどのような立場で何をどのように行うのか、これまでに培った知識やスキルをどのように駆使して実行するのかについても述べます。
ここで重要なのは自分ならではという「オリジナリティ溢れた施策」と「それを実現するのは自分しかいない!」ということです。

最後の6項では、結論や抱負を述べ、終了となります。

前述の通り、これは一つの例です。但し、大まかにはこのような構成と流れになると考えています。
このような構成の文章を制限時間内に規定の文字数で論理的に論じることになります。

文章を書く上で心掛けること

論文だけでなく、文書を作成する場合には常に「読み手が理解し易い(分かりやすい)文章」を書くように心掛けることが大事です。

ポイントは次の10点です。他にも自分なりに注意すべき点があれば、それをリストアップしておき、試験の前にそのリストだけ確認しておくというのも非常に効果があると思います。

  1. 文調(です・ます調 or である調)を統一しましょう。
  2. やさしい言葉、誰でもわかる言葉で書くようにしましょう。
  3. 一つの文は長くならないようにしましょう。
  4. 一つの文に持たせる内容は1つにしましょう。複数の内容を1つの文にまとめないようにしましょう。
  5. 二重否定は禁物です。例えば、「その可能性が無い訳ではない」は「その可能性がある」で良いです。
  6. 曖昧な表現は避けましょう。誤解を招く表現も禁物です。
  7. 主語と述語の関係を意識した文にしましょう。
  8. 同じ言葉を何度も連続して使わないようにしましょう。しつこいと感じられないようにしましょう。
  9. 括弧書きは多用しないようにしましょう。
  10. 専門用語はできるだけ業界外の一般の方々にも分かる言葉で表現しましょう。

論文試験の流れ(論文作成の流れ)

論文試験は、

1. テーマや課題を確認する(資料を読む)
  ↓
2. 与えられたテーマや課題について検討し、自分の考えをまとめる
  ↓
3. 検討結果を論文として執筆する
  ↓
4. 書いた論文を見直す

という流れが多いと思います。
これを設定された制限時間内に実施します。

テーマや課題の与えられ方は、事前に与えられている/与えられていないという違いがあるかもしれませんが、
ほとんどは「次の資料を読み、設問に答えなさい」という形態になると思われます。つまり、資料+設問という形でテーマや課題が与えられるケースがほとんどだと思います。

1.テーマや課題を確認する(資料を読む)

まず始めに資料をぱらぱらとめくり資料全体の構成と量を確認します。
次に設問を読み、設問を把握した上で資料を読み始めます。
資料の読み方についてはテクニックのページ を参照してください。

論文を書き始める前に資料を読みますが、通常は資料の量は非常に多いです。つまり、短時間で大量の資料を読んで理解する力大量の情報の中から自分が求める情報を見つけ出す力が問われます。もちろん事前に与えられている場合はじっくり時間をかけて読むことが可能です。

2.与えられたテーマや課題について検討し、自分の考えをまとめる

設問と資料を読み終えたら、「シナリオ」(ストーリーボードなどとも呼ばれます)の作成に取り掛かります。「シナリオ(ストーリーボード)」の作成方法はこちら

通常、論文には文字数制限が設定されています。設定された時間制限内、文字数制限内で論文を書き上げなければなりません。論文全体の文字数制限は2000〜3000字が一般的だと思いますが、何もない状態からいきなり高得点が期待できる論文を書くことは難しいです。論文を書き始める前に何らかの準備が必要です。

ここで作成すると良いのが「シナリオ」です。シナリオの書き方についてテクニックのページを参照ください。シナリオは、論文全体の構成、文字数配分、使うべきキーワードや強調すべきポイントなどの論文を書く上での戦略をまとめたものです。論文を書き始める前にシナリオを作成し、それに基づき論文を書いていきます。

3.検討結果を論文として執筆する

実際に論文を書く段階です。
作成したシナリオに基づき、論文を書いていきます。

シナリオには全体の構成、流れをまとめてあるので、それに合わせて実際の文章を書いていきます。シナリオとして作った骨組に肉付けしていき形ある論文を作っていくイメージです。シナリオでしっかりと戦略が整理できていれば、問題なく執筆できると思います。

4.書いた論文を見直す

論文が書き終わった段階で、残り時間を利用して論文を見直す作業です。

まずは相応しくない言葉使い、誤った漢字、誤字・脱字を確認します。次に、シナリオの段階で作った論理展開が適切に論文に表現されているかを確認します。
修正の仕方についてはテクニックのページ を参照してください。


論文試験の形態、課題の与えられ方

提出期限が設定されていて期限までに論文を執筆して提出するケース

昇進・昇格のための試験とはいえ、集合形式ではなく課題が与えられ期限までに論文を作成・提出するケースです。

このケースでは、情報収集や論文内容の検討などの準備、論文の試し書き、他者によるレビューなどの時間が確保できるため、論文のレベルは高いものが求められます
このケースですと、受験者本人の能力を判断することが難しいのですが、非常に難しい課題を与え、情報収集力や人脈など本人の能力以外の側面も含めた総合的な判断をすることができると思います。但し、このケースは非常に希だと思います。

予め課題が与えられていて集合形式での試験を行うケース

論文試験の実施前に予めテーマや課題が受験者に提示されているケースです。

このケースでは、テーマや課題に答えるために必要な情報を収集することができますし、論文を予め書いておくことが可能です。本番前にしっかり準備ができるため、必然的に他者の論文のレベルも高くなります

情報収集と論文内容の検討、論文執筆練習をしっかり行い、試験時に書く論文の内容を頭に叩き込んでおく(覚えておく)必要があります。

テーマや課題が予め与えられておらず集合形式での試験を行うケース

論文試験の実施前にテーマや課題が知らされておらず、論文試験の問題用紙を見て初めてテーマや課題が分かるケースです。

このケースでは、さらに2つのケースに分けられます。

  • テーマや課題の予想ができる場合
論文試験の実施前にテーマや課題が知らされていないが予想はできるケースです。
この場合、予想に基づいた情報収集、論文内容の検討、執筆練習が可能です。
  • テーマや課題が全く予想できない場合
論文試験の実施前にテーマや課題が知らされておらず、全く予想ができないケースです。
このようなケース(全く予想ができないケース)は希だと思いますが、全くないとは言えません。
全く予想ができない場合は、
・新聞を毎日読み時事問題に明るくなっておく
・論理的思考、クリティカルシンキングの癖をつけておく
・どんなテーマや課題が出ても対応できるよう予め論文試験の練習をしておく

といった準備をしておくことは可能です。

論文試験そのものがあるかどうか分からないケース

昇進・昇格試験はありますが、その内容を事前に知らされず且つ毎年試験の内容がバラバラで論文試験そのものがあるかないかも分からないケースです。これは非常に希なケースですが、全くないとは言い切れません。

このようなケースの場合は、やはり自分自身の総合的なスキルを上げる努力をしておくのが良いと考えます。
前項同様、
 ・新聞を毎日読み時事問題に明るくなっておく
 ・論理的思考、クリティカルシンキングの癖をつけておく
 ・どんなテーマや課題が出ても対応できるよう予め論文試験の練習をしておく

といった準備をしておくことで、論文試験が出ても焦ることなく執筆でき、しかも高得点が狙えると思います。

資料の読み方

ここでは論文試験の中で与えられる資料の読み方についてまとめます。

他のページでも述べたように論文試験で与えられる資料の量は非常に多いです。短時間で大量の情報を処理する能力短時間で大量の情報の中から必要な情報を抽出する能力というものが試されています。速読のような短時間で資料を読むスキルを身に付けていれば良いのですが、誰もがそのようなスキルを身に付けているという訳ではありません。ここでは、速読などのスキルを持たない人のために提案するテクニックをまとめます。

尚、以下に述べるテクニックは所謂「試験テクニック」(試験の特徴に合わせた特殊な解法)です。本来、組織の上に立つ者は、短時間に大量の情報を処理する能力を持つ必要がありますので、自分にあった情報処理方法をマスターしておくことをお勧めします。

基本的な読み方

速読はできないけど読むスピードが速い方は、資料の最初から最後まで時間内(資料を読むために割り当てた時間内) に読むことができると思いますが、そうでない方は次のように読むのが良いと思います。(過去の勉強の中で自然と身についている方法だとは思いますが整理してみました。)

まず、テーマや課題、設問を確認し、論文試験で何を問われているのかを理解します。「論文の評価ポイント」 で述べたことを問われていることはもちろんですが、それを量るために与えられたテーマに対しどのような論理展開をしなければならないかを把握します


次に、資料に目次がある場合は、目次により資料全体の構成を確認しつつ、どのように話が進んでいくかを確認・把握します。
目次がない場合で、大きな見出しがあるような資料であれば、その見出しが目次の代わりになりますので、最初から順番に見出しを確認することで資料全体の構成と話の進行を確認・把握します。
目次も見出しも無い場合(たとえば、何らかの記事やコラム等の抜粋や複数の資料の抜粋をまとめたもの等)、たいていの資料には話の切れ目や話題が変わるところで段落が切られているはずですので、その段落ごとにざっと読んで(目を通す程度)その段落で著者が言おうとしていることを把握します。これを最後まで続けることで資料全体の構成や内容、話の流れをざっくりと把握することができます。

一つのテクニックとしては、テーマに関係するキーワード接続詞を探して、その前後の文章を読むことです。例えば、「人工知能」がテーマの場合のキーワードとしては、学習(機械学習)、ロボット、心、アルゴリズム、行動などになると思います。また、接続詞については、「ところで」や「さて」、「では」という言葉は、その前後で内容が変わる場合が多く、「つまり」、「すなわち」、「従って」、「要するに」という言葉の後にはその前に述べられたことの要約や説明がある可能性が高いです。つまり、接続詞を探してその前後の文章を読むことにより、その資料の内容を把握することができます。

接続詞については、次のサイトの解説が良くまとまっていると思います。
接続詞について(一覧と解説)<http://pothos.main.jp/setuzokusi.htm>
文章は接続詞で決まる<http://readingmonkey.blog45.fc2.com/blog-entry-674.html>

資料の概要が把握できたら、自分の考えを論文にまとめるにあたり重要であると思う箇所から深く読み進めていきます。読み進める際に注意したいのは時間です。どの程度の時間を資料の内容把握に割くかを最初に決めてあるはずなので、理解の深さ(どの程度理解を深める必要があるかによる)や読むべき文章の量と割り当てた時間 を比べて読むスピードを決めて読み進めましょう。
資料を読みながらやっておきたいことに「キーワードの抽出」があります。資料を読みながら、これから書く論文の中で使うべきキーワードをピックアップしておきます。メモ用紙やシナリオにキーワードだけ書き写しておくもいいですが、資料中のキーワードに下線を引いたり、キーワードを四角や丸で囲んでおいたりして後でピックアップしやすくしておくことをお勧めします。後で資料を読み直す際にキーワードに印を付けておくと短時間で読み直すべき個所を見つけられるためです。時間は限られているため、できるだけ無駄な時間を使わないような工夫をしましょう。

設問に対応する部分だけを読む

時間内に資料全てを読むことができない場合、設問に答えるために必要な箇所だけを読むという方法があります。

論文試験の課題として与えられる資料の構成は、序論本論結論の3段階であることがほとんどだと思います。ただ、容易に3つが識別できるとは限りませんし、異なる構成の場合もあります。

まず、全体を読みます。このとき、資料の最初と最後は読む必要があります。タイトルやサブタイトル(目次がある場合は目次も)から資料の全体像をつかみます。

そして序論の部分を読みます。序論を読めば、その資料が何に関する資料であるかが大まかに把握できます。

次に本論ですが、資料が複数の章に分かれている場合は、章タイトルを全てチェックします。この段階で設問に対応する部分が見つかれば、その部分を読みます。

そして、念のため最後の結論の部分をざっと目を通します。希ですが、資料によっては結論の部分でそこまで述べてきた内容を覆すことを述べることがあるので注意が必要です。

複数の資料が提示されている場合の読み方

複数の資料が提示されている場合、その複数の資料を全て読む必要があることは希であり、自分にとって論文が書きやすい(論文としてまとめやすい)資料を選択して読むことが多いと考えます。(もちろん全部の資料に目を通して選択するのが理想ですが、限られた時間の中では難しいことが多いです。)

まず、論文のテーマや課題を確認しておきます。
次に各資料のタイトルを確認しましょう。もしタイトルを読んだだけで自分の得意な分野や自分が興味のある分野の資料を見つけられたら、それを候補として選びます。

選んだ候補が1つしかない場合は、その資料を読み始めます。この場合の読み方は前述の「基本的な読み方」や「設問に対応する部分だけを読む」 の読み方等を参照してください。

候補が複数ある場合は、各資料の序論と結論の部分を時間をかけずにさっと読み、資料の概要を把握して選択する資料を決めます。資料を決めたら前述の「基本的な読み方」や「設問に対応する部分だけを読む」 の読み方で読み進めます。

シナリオ(ストーリーボード)の書き方

ここではシナリオの書き方をまとめます。
シナリオ「ストーリーボード」「論文構成案(素案)」など他の名称で呼ばれることもありますが、ここでは「シナリオ」と呼ぶことにします。
シナリオは、論文全体の構成、文字数配分、使うべきキーワードや強調すべきポイントなどの論文を書く上での戦略をまとめたものです。

何故シナリオを書くのか?

さて、シナリオは何故必要なのでしょうか?
一言で言うと「合格する論文を書くため」ですが、その意義には次のようなものがあります。

  • 論理的な説明がしやすい構成にできる
  • 頭の中で考えたこと(論文の方針等)を可視化できる
  • 書くべきことを整理できるため、設問との関連性、優先順位付け等の見直しができる
  • 論文のテーマ(タイトル)を書くとこれから書く論文の論旨を強く意識できるため、論文の方向性が定まりやすい
  • 論文全体の要約版となるため、論理展開の確認がしやすい
  • 手戻りをなくす、または最小限にするため(基本的に書き直す時間はありません。一度に一気に書けるようにシナリオを作成することは必須になります。)

文字数配分のパターン

論文の規定の文字数(全体)と配分のパターンについてまとめたいと思います。
「論文の構成」で述べた構成は次の6つに分かれていました。
  1. 自分が担当する業務の紹介、その業務における自分の立場や役割
  2. 現状把握(現状分析とその結果)
  3. 問題抽出、考察
  4. 課題設定(指針や展望の提示、過去の対策の検証)
  5. 課題の実現方法の具体案(具体案が有効であることの根拠や理由の提示、事例を使った説明及び事例に対する考察
  6. 結論
このまま6つに分けて書いても構いませんが、大きく分けると序論本論結論の3つの塊に分けることができます。上記1〜6との対応は次のようになります。
 序論:1
 本論:2、3、4、5(この部分が論文として重要な部分です)
 結論:6

上記の対応は一例であり、これにとらわれる必要はありません。
また、シナリオでは1〜6の何に重点を置くかをよく考えて1〜6の文字数配分を考える必要があります。

序論、本論、結論という大きい塊での文字数のバターン例を次に示します。

<全体:3000文字の場合の例>
  序論 本論 結論 説明
例1 1000 1000 1000 書きたいことの量が均等にある場合の配分例
例2 500 2000 500 本論を重視する場合の配分例
例3 500 1500 1000 本論と結論を重視する場合の配分例
例4 500 500 2000 結論を重視する場合の配分例(基本的にこの配分にすることは希だと思います)
例5 500 1000 1500 結論→本論の順に重視する場合の配分例
例6 800 1600 600 本論→序論→結論の順に重視する場合の配分例

例2のように本論を多くするのは、本論の部分=問題をどのように捉えて課題を設定し、その課題に対して具体的に何をどうするのかをしっかり述べる必要がある(述べたい)場合です。
また、例6のように序論の配分を増やすのは、序論で述べる現状把握を丁寧に述べる必要がある(述べたい)場合です。
各自の論文作成方針に従って臨機応変に決めましょう。

シナリオには何を書くのか?

それでは、いよいよシナリオの中身に入っていきます。
大抵はA4用紙などのメモに使える用紙が答案用紙(原稿用紙)と一緒に配布されると思いますので、その用紙を使ってシナリオを作成していきます。

ここではシナリオに書いておいた方が良いことをまとめたいと思います。
基本的にシナリオは「自分が分かれば何を書いても良い」です。自分さえ読めれば良いので、汚い字で書いてもまったく問題ありません。
論文作成の時間配分を書く
資料を読み、シナリオを書き、論文を執筆し、見直し・修正をするという一連の作業をどのような時間配分で進めるかを明確化します。
論文のタイトルを書く
タイトルは論文を一言で表現したものになるはずです。従って、タイトルを書くことにより論文で自分が何を言いたいのかを意識できるようになります。
論文の構成と文字数配分を書く
論文をどのような構成で書くか、論文全体の規定文字数をどのように配分するかを明確化します。
各セクションで使用するキーワードを書く
次項の要旨にも役立つのですが、各セクションで言いたいことや使うべきキーワードを列挙しておきます。キーワードを書きだすことで、論文全体の話の流れ(ストーリー)が何となく見えてくるはずです。
論文の各セクションで述べることの要旨を書く
前項で書き出したキーワードを使い各セクションで述べることを要旨として数行でまとめます。
シナリオの具体的な例は次の通りです。

<シナリオの例>

 タイトルやキーワード、方針に書いてあるものは例です。

シナリオの初版を作成した後に確認したいこと

一度シナリオを書きあげた後にそのまま論文執筆に取り掛かれることは希です。必ず見直しをして、シナリオのブラッシュアップを行い完成度を上げましょう。
シナリオの初版を書きあげた後に確認したいことは次の通りです。

  • ストーリー展開(論理展開)は妥当か?
    採点者に納得してもらえるような論理的な説明の流れが組み立てられているかを確認します。これができていないと論文の評価(点数)は大きく下がってしまいます。
    論理展開には、帰納法三段論法(演繹法)がよく用いられます。帰納法は個々の事実から一般的原理を導く推論・結論を先に書いて、その理由(裏づけ)は何かを堀下げて書く展開方法で、演繹法は一般的原理から事象を説明する(結論付ける)方法です。自分に合った論理展開や採点者に納得してもらいやすい論理展開を自由に使いこなせるよう訓練をしておきましょう。
  • 設問に答える内容になっているか?
    例えば、「資料中のキーワードを使って論じなさい」という設問であれば、キーワードを確実に使用するようなシナリオになっている必要があります。
  • 現状把握は全体をとらえているか?
    現状を把握する際、偏った部分にしか目が行っていると正確に現状分析できているか疑問視されてしまいます。必要な範囲の全体を俯瞰して現状を正確に把握できているか(もしくは把握できていると説明できるか)を確認しましょう。
  • 自分が考える問題は他者から見ても問題と認識してもらえるか?(自分勝手な思い込みになっていないか?)
    問題として挙げる内容が自分だけ(もしくは身近な人だけ)が問題と思うようなものになっていないかを確認します。他者や他部門、上司や上位上司にとっては全く問題ではないことかもしれませんので、他者の視点でも十分問題として理解できるものになっているか確認します。
  • 自分が(自分が昇進・昇格した後の立場で)実行できる内容になっているか?
    施策・対策は実際に実現できる内容になっている必要があります。例えば、課題の実現のために「会社内の部門構成を変える」ということを主張したとしても、実際にそれができる立場にある場合以外は採点者に納得してもらうことはできません。尚、それを実現できるための論理的な説明ができるのであれば問題ありません。
  • 「自分が実行する」という主体性が表現できているか?
    前項同様、論文で主張する施策や対策が自分以外の誰かにやってもらうものになっていないか確認します。自分(論文執筆者=昇格・昇進試験の受験者)が実施することを採点者に理解してもらえる内容になっていることを確認します。
  • 他者に同意してもらえるような主張ができているか?(独りよがりになっていないか?)
    これも前項に近いですが、実行すると主張する内容に根拠がなければ、独りよがりと判断されてしまいます。採点者に納得してもらえるような論理展開になっているか、根拠をしっかり示せているかを確認しましょう。
  • 施策・対策の数は多すぎないか?
    あれもこれも実施します、というような内容では実現性が疑われる可能性があります。自分ができること、やるべきことをしっかりと把握して実行しようとしているかという観点で採点者は評価することを念頭に施策や対策を見直しましょう。

時間配分について

ここでは論文作成時の時間配分についてまとめます。

論文試験は、2時間や3時間という時間制限があるのが一般的だと思います。つまり、限られた時間内に論文を書き上げる必要があります。しかも、論文を書く前に資料を読む必要があるケースがあり、時間内に資料を読み論文内容を検討して論文を執筆書き上げなければなりません。この限られた時間の中でやるべきこととその時間配分を自分で設定・管理する必要があります。

まず時間配分の設定することになりますが、試験時間内にやらなければならないことを予め(試験前に)把握しておきます。通常は何度も練習をしているはずなので、その練習の中で覚えてしまっていることが多いと思います。時間内にやらなければならないことは次のような作業項目が挙げられます。

@ 氏名・所属等の記入
A 時間配分の設定
B テーマと課題の確認
C 資料の選択(必要時)
D 資料の内容把握
E シナリオ(ストーリーボード)作成
F 論文記入用紙へのマーキング(シナリオ作成で決めた構成(文字数)に合わせて論文記入用紙にマークを記入しておく作業)
G 論文作成
H 論文の見直し・修正

これらの作業を行う時間を配分しておきます。一番時間を費やす作業はやはり「論文作成」(実際に各作業)です。

この時間にどの程度の時間が必要かは文章を書くスピード に依存するので、自分の文章を書くスピードを把握しておく必要があります。「論文・文章を書くスピード」のところでも述べていますが、例えば自分のスピードが25字/分であったとします。2000字の論文試験の場合、論文を書くだけの時間は単純計算で80分かかることになります。与えられた時間が2時間(120分)であるとすると、その他の作業に使える時間は残りの40分ということになります。

しかし、実際に書く時間は80分よりも多くなることがほとんどです。というのも、字を間違えて書き直す時間や一度書いた内容を書き直す時間がかかるからです。従って、その書き直しの時間を10分と設定すると残りの時間は30分ということになります。この30分を論文作成以外の作業にどのように配分するかを決めていきます。時間を多く費やす作業から決めていくのが良いと思います。一旦決めた後で全体の配分を見直して最終決定します。

尚、最初に決めた時間配分の通りに進められることは希ですので、途中で時間配分を見直しながら進めることが必要になります。これも練習を何度も行って体得しておくことをお勧めします。

最後に時間配分の一例(25文字/分の場合)を示します。
@ 氏名・所属等の記入:1分
A 時間配分の設定3分
B テーマと課題の確認3分
C 資料の選択(必要時)2分
D 資料の内容把握15分
E シナリオ(ストーリーボード)作成5分
F 論文記入用紙へのマーキング(シナリオ作成で決めた構成(文字数)に合わせて論文記入用紙にマークを記入しておく作業)1分
G 論文作成80分
H 論文の見直し・修正10分

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