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昇進・昇格試験の論文対策は、昇進・昇格試験で論文を書かなければならない方々を支援するサイトです。

論文に取り組む前の準備preparation for writing an essay

インデックス

準備としてやること

論理的思考力を鍛える

論文を書くにあたって論理的思考(力)が大切であることはこちらで述べています。
まずはこの力を鍛える必要があります。
・「論理的思考力の必要性」についてはこちらを参照ください。
・「論理的思考力の鍛え方」の記事についてはこちらを参照ください。

情報収集

論文試験ではテーマや課題、設問が与えられます。
予めテーマや課題が与えられている場合やどのようなテーマや課題が与えられるかが予め分かっている場合は、そのテーマや課題に答えるために必要な情報を集めておくと良いです。

それでは、予めどのようなテーマや課題が提示されるかが分からない場合はどうしたら良いでしょう。この場合は、過去の事例を上司や先輩に聞くなどし、まずはテーマや課題そのものの情報(過去問)を集めます。
次に過去問から今回提示されそうなテーマや課題の予想を立てます。この予想については、新聞やニュース、社内の現状などの情報が役に立ちます。

例えば、国内で不正アクセスによる個人情報流出の事件が相次いで起こっているような状況では、「社内の情報セキュリティを向上させるためにはどうしたら良いか」というテーマが与えられる可能性があります。また、売上が低迷しているのであれば、「売上をアップするための施策を提案せよ」という課題になるかもしれません。その時点でホットなネタを参考にテーマや課題の予想を立てます。

そして、インターネット等を使い、立てた予想に合う情報を集めます。上司や先輩、同僚から情報を集めても良いでしょう。

自分の考えや意見をまとめる

テーマや課題を把握して情報を集めたら、自分の考えや意見をまとめておきましょう。

例えば、上記のように「不正アクセスによる個人情報流出が発生しないようにするためには?」という課題が与えられたとしたら、「私ならこうする」という自分なりの考えをまとめておきます。
但し、ここでは漠然と考えをまとめておく程度で大丈夫です。どのように論理を展開するかの方針は別途まとめますので少しお待ちください。

論理的思考=ロジカルシンキング

論理的思考の必要性についてまとめます。

論文を書く場合には、論理的思考(英語では「Logical Thinking」)が必要です。

なぜ必要なのでしょうか?

論文では自分の考えを述べます。その考えが論理的でないと、読み手(採点者)は理解できません。つまり、論文の構成を考える際に論理的な思考が必要ということです。

また、昇進・昇格論文の場合、所属している組織が抱える問題・課題やその解決策を論じることが多いと思います。この組織が抱える問題や課題を検討したり、解決策を考えたりする際にも論理的な思考が必要です。更には、日常生活における会話でも論理的に話をしなければ自分が伝えたいことを相手に理解してもらえません

例えば、次のような内容のレポートや提案の文書を作成したとします。
デジタルカメラの需要が高まっていて、これから何年かは右肩上がりでこの状況が続くことが想定される
 ↓
当社もデジタルカメラを開発してデジカメ市場に参入しよう! 

これだけでは、デジカメ市場に当社が参入しなければならない理由が理解できませんし、その提案は通りません。いろいろな論理展開が考えられますが、次のような論理展開が必要です。

ここ数年、当社の売り上げは下降傾向である。現在取り扱っている製品では、事業を維持できないと考えられる。新しい製品を開発・販売していくことが案として考えられる。
 ↓
わが国では近年、デジタルカメラの需要が高まっており、これからもこの傾向が続くことが想定される。現在のデジカメ市場規模は○○円/年であり、来年は○○円、その後も○○円/年で増加する予想。
 ↓
デジカメを製造・販売している他社の動向は○○である。
 ↓
当社はデジカメを開発・製造するための特許や技術を持っており、容易に開発が可能である。投資規模は○○円程度。売上規模は○○円/年であり、大きな利益を生む可能性が高い。
 ↓
当社の名前は世界的にも有名であり、製品を市場に投入すれば売れることが確実である。コンサルタントの市場調査でも同様の結果が出ている。
 ↓
課題やリスクは○○であり、その対策は○○である。この対策を講じることで課題やリスクを解消できる。
 ↓
当社もデジカメ市場に参入しよう!

これでもまだ不十分かもしれません。

とにかく聞き手や読み手が理解できるような論理展開が必要なのです。

論理的思考力の鍛え方

トレーニング本を買って読む(訓練する)

まずは、「トレーニング本を買って読む」です。

これが一番手っ取り早いと思います。
論理的思考力を鍛えるには、論理的思考力のトレーニング本が良いと思います。トレーニング本は多数出ているので、実際に購入して訓練すると良いです。

中でもMBA留学のためのGMAT(ジーマット:Graduate Management Admission Test)関連の図書はお勧めです。特に「MBA留学 GMAT完全攻略」↓はお勧めです。

                 

常に論理的な思考をするよう心掛ける

次は「常に論理的な思考をするよう心掛ける」です。

トレーニング本で鍛えるのというのは理論などを頭で理解するということです。野球などのスポーツに例えると、まずは本を読んでボールの投げ方、バットの振り方を学ぶというステップです。ただ本を読んだだけでは上手くプレーをすることはできませんよね。日々の練習があってこそ上手いプレーが身に着きますし、本番でも活躍できます。論理的思考も同じです。日々の実践の中で練習が必要です。

普段の日常生活の中で意識することは非常に重要です。

例えば、上司との会話、同僚や部下との会話、上司に提出する報告書など、全て論理的に話したり記述したりする必要があります。論理的でないと理解してもらえません。上司は自分の説明を理解してくれず憤慨するかもしれません。同僚や部下は自分の言うとおりに行動してくれないかもしれません。これでは困ります。

逆に言うと、常に論理的な思考ができる人、論理的思考力のある人しか昇進・昇格できないということになります。昇進・昇格を目指すなら論理的思考力は必須ですね。

英語力を身に付ける

次は「英語力を身に付ける」です。

私は、英語力を身に付けると論理的思考力が向上すると感じています。

過去に欧米の企業と人工衛星のシステム開発をした際、会議等でいろいろな調整を英語で行う必要がありました。この調整の中では様々な説明をしなければなりません。開発対象のシステムは、日本の顧客向けのシステムでした。顧客の要求を開発関係者に伝える際、日本人への説明であれば、日本人なら当然知っていることは説明しなくても理解してもらえますが、欧米人には説明しなければなりません。また、論理的に説明しないと理解してくれませんので、説明の内容だけでなく順番についても注意が必要です。このように欧米人と英語で仕事をすると自然に論理的思考力が身に付いてきます。

また、このような経験をしなくても、英文でメールのやりとりをすれば同様の効果があります。相手に理解してもらうためには何をどのように書けばよいかを考える必要があります。このときに論理的思考力が鍛えられるのです。

更に、英語力を身に付けることには副次的な効果があります。
それは日本語の文章力が鍛えられるということです。これは英語力が身に付いたから日本語の文章力が向上するということではなく、恐らく論理的思考力が身に付いたことで理解してもらい易い日本語の文章が書けるようになるということかもしれません。
このように、英語力+論理的思考力+日本語文章力と”一石三鳥”なのです。

直接的な鍛え方ではありませんが、副次的な効果も考えると非常に良い方法だと私は考えています。

批判的思考=クリティカルシンキング

クリティカルシンキングとは?

クリティカルシンキングとは批判的に考えること(批判的思考)です。

物事を批判的に捉え考察します。何かの問題があるとき、どうしたらその問題が解決できるかを考えます。その際、その問題はなぜ発生しているのか、検討した解決策は妥当か、批判的に捉え考察することで、効果的な解決策を導出することができるようになります。ロジカルシンキング(論理的思考)と共に、クリティカルシンキングもビジネスを実践するために必須の能力と言えると思います。

Wikipediaの説明にあるように「批判的」というのは「否定」とは異なります。批判的というと「排除する」とか「拒絶する」というようなイメージが湧きますが、「これで良いのか?」、「これが最善か?」、「他にはないか?」、「客観的に考えるとどうか?」などの問い掛けを常にしながら考えるということです。

欧米の学校教育ではクリティカルシンキングは義務教育として採りいれられているケースもあり、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングは大学生になるまでの過程で普通に身に付いてしまっていると言っても過言ではないと思います。つまり、大学でそれに磨きがかかり、大学を卒業して社会に出る頃には高いロジカルシンキングやクリティカルシンキングの能力が身に付いた状態になっているということです。グローバル化が進む現代においては、日本の学校教育でもこれらの思考力の教育が必要だと思います。

クリティカルシンキングと論文の関係

クリティカルシンキングと論文との関係についてです。

論文の読み手(採点者)のことを考えてみます。
論文を採点する人は、論文を読む際に”批判的”に読んでいきます。「この論文を書いた人はクリティカルシンキングとロジカルシンキングで問題・解決策を考えたのか?」、「非現実的なことを書いていないか?」など、悪い言い方をすると「粗探し」をします。

つまり、論文を書くときには、批判的に読まれることを想定しながら書く必要があるということです。もっと言うと、批判的に読まれることを意識するのではなく、問題や課題の考察、解決策の検討の段階で批判的に思考することが必要ということになります。

クリティカルシンキングはロジカルシンキングと共に昇進・昇格論文を書く上で必須のツールであり能力です。
ロジカルシンキング同様、クリティカルシンキングも日常生活の中で意識しながら訓練することができます。

昇進・昇格論文試験の目的を把握する

昇進・昇格試験で論文を書かせるのはなぜでしょうか?

論文で文章力をチェックしたいのでしょうか?
それとも、論理的思考力を確認したいのでしょうか?
論文によってその人物の何を計りたいのでしょうか?

それは、一言で言うと「昇進・昇格させるに相応しい人物かどうか」を判断するためだと思います。
これが目的になります。

当たり前だと思いますよね。実際そうなのです。

では、会社はどのような人物を昇進・昇格させたいのでしょうか?
会社が考える「昇進・昇格させるに相応しい人物」とはどのような人物なのでしょうか?

論理的思考力がある人でしょうか?
人をまとめる力のある人でしょうか?
イノベーションを起こせる人でしょうか?

これは会社の状況に依ります。
今あなたの会社ではどのような人物を必要としているのでしょうか?
あなたが昇進・昇格で狙っているポストにはどのような人物になってほしいと会社は考えているのでしょうか?

昇進・昇格試験を受ける場合は、まず「会社が昇進・昇格させたい人物像」を分析しておく必要があります。

会社が必要とする人物像が把握できたら、次は「どのような論文を書けば『この人物を昇進・昇格させたい!』と思ってもらえるか」ということをしっかり分析する必要があります。
これを考えた人と考えない人では論文の内容が変わってきますし、考えた人は会社が必要とする人物に近づいている可能性があります。

では、どのような論文を書けばよいのでしょうか?
このサイトに書くことをしっかり読んでいただくことでその答えを見つけていただくことができると幸いです。

昇進・昇格論文作成におけるポイント

昇進・昇格論文を作成する際のポイントをまとめます。

目標とする職位等の立場になって書く

例えば、課長になるための昇進試験を考えてみましょう。

論文の採点者はいろいろなポイントでチェックして採点をしていきますが、採点者が前提として意識しているのは「この論文を書いている人はとして物事を考え行動することができる人なのか」です。 要するに「この人を昇進・昇格のポスト(例えば、課長や部長)に昇進させると組織にメリットがあるか」を考えています。

従って、論文を書く際には、”自分が課長だったらこう考え行動する”というメッセージを論文中に書き、採点者に読み取ってもらえなければなりません。

つまり、目標とする職位等の立場になって論文を書く必要があります。言い換えると「自分はもうその立場になって考え、行動している」ということを論文を通じて分かってもらうのです。

正直言ってこれは難しいかもしれません。なぜなら、昇進試験を受ける人はその立場になったことがないからです。 ですので、今の自分の立場と目標とする職位等の立場の違いを理解し、その立場になった場合にどのように考え行動するのかを常日頃考えておく必要があります。

論文はそれを意識して書かなければなりません。
このサイトを読んでいただいている方の中には、その職位等になっていないにも関わらず、既にその立場で考え行動できている人もいるかもしれません。そのような方にとっても、しっかり意識して書くことが必要です。

目標とする職位等と今の自分との違いを認識する

昇進・昇格試験に合格したら何が変わるのでしょうか?

もちろん肩書は変わるでしょう。確かに肩書が変わっただけで満足する時期はあります。

しかし、重要なのは肩書ではありません。私は「権限」が変わるというのが重要だと考えています。 昇進・昇格試験を課すのですから、試験に合格した人には組織もそれなりの権限を与えることになると思います。その権限は通常、「人」、「モノ」、「金」に関する権限です。最近はこの3つに加え、「情報」に関する権限の4つの場合もあります。

まず、「人」は人事権、人事交渉権となります。

次に「モノ」は、組織内の設備(パソコン、机、椅子、フロア等)などがその代表で、それを管理する権限になります。

また、「金」はプロジェクトや課、グループが持つ予算を管理する権限です。

そして「情報」はその職位以上の人が管理する情報(例えば、部下のTOEICの点数など)を扱う権限です。

これらの4つの権限使い業務を遂行することになります。 例えば、スキルマップなどの情報を参照し、他部門にいる人材を部門管理者と調整して連れてきたり、予算を使って設備を追加購入したりしながら、業務を遂行するという活動を行います。企業であれば利益を上げるための活動を行うことになります。このような権限を持っていると自分の判断・裁量でできることの幅が広がります。

このような権限を持っている場合と持っていない場合の違いを認識し、その権限があると何ができるのか、組織が抱える問題や課題を解決するためにその権限をどう使って策を講じるをしっかり考える必要があるということです。

昇進・昇格論文の評価ポイント

まず始めに、ここに書く評価ポイントは一例であり、ここに書いた通りに評価されるとは限らないということに注意してください。

昇進・昇格論文の採点者は、論文から何を読み取るのでしょうか?
基本的には次のような能力をチェックしていると考えます。

◆ 分析力(現状分析、問題把握、課題設定、自分分析、他者分析など)
◆ 論理的思考力
  論理的思考力についてはこちらも参考にしてください。
  <論理的思考力の必要性>
  <論理的思考力の鍛え方>
◆ クリティカルシンキング
  クリティカルシンキングについてはこちら(クリティカルシンキング)も参考にしてください。
◆ 独創性(柔軟な思考、オリジナリティのある発想など)
◆ 先見性(事業環境を見据え、目的を達成するために必要な策を提案できる能力など)
◆ 企画構築力(目的達成のための最適な策を提案する能力など)
◆ 文章力(論理的な構成、相応しい表現等の能力など)
◆ 忠実性(所定の文字数、設問に対する適切な回答などの規程を忠実に守れるかどうか)

採点者が何に重点を置いて論文を読むのかは、そのときの組織の状況により異なります
実際の評価ポイントを事前に(もしくは事後にも)教えてもらえることはできないと思いますが、評価ポイントは組織によって異なります。例えば、お金に厳しい組織であれば、予算管理能力や問われるということになるかもしれません。

従って、こちら(昇進昇格論文試験の目的)に書いたように所属している組織の現状を把握し、どのような人物を昇進・昇格させたいのか、どのような力が問われているのかをしっかり分析・把握しておく必要があります。

論文の採点者を知る

論文は誰が採点するかご存知ですか?

論文の採点者は組織によって異なります

大企業の場合、受験者数は非常に多くなります。忙しい上司が普段の業務を行いながら大量の論文を採点することは不可能です。従って、大企業では外部の専門業者に採点を委託することが多いです。場合によっては、論文の課題作成も外部の業者に委託することもあります。

ここで言いたいことは、採点者が誰かを意識して論文を書く必要があるということです。

外部業者が採点する場合、その組織でしか通用しない用語を使って書いた論文の内容は業者には理解できない可能性が高いです。外部業者が読んでも分かる言葉で論文を書かないと正しく理解してもらえず、評価ができない、つまり点数が下がってしまうということです。

逆に、中小企業などの昇進・昇格試験では上司や組織内の人間(例えば、人事部など)が採点することが多いです。このようなケースでは、逆に専門用語を使った方が良いと思われます。専門用語を使わないと回りくどい表現になってしまい評価が下がってしまうことがあるためです。

繰り返しになりますが、誰が採点するのかを意識して論文を書く必要があります。
できれば事前に把握しておくことが良いでしょう。

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