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22 南アフリカ共和国のウナギ

 

fish.gif (239 バイト)アパルトヘイトで悪名を馳せた南アフリカもマンデラの登場と共に大きく変わった。しかしその中で取り残された黒人地区トランスカイの、ポートセントジョーンズという海辺の町に行ってみた。

驚いた事にこんな町にも欧米から貧乏旅行者が集まっていて、宿に足を踏み入れるとキリストみたいな風貌のアメリカ人が日本語で「お茶どうぞ」と言って永谷園の無農薬緑茶というの出してくれた。ベジタリアンのキリストはこの町の静けさをこよなく愛し、かなり長くここにいるらしい。

バイクで岬まで走ってみるとキリストの気持ちも分かる気がする。しかしここはそれだけじゃない。僕の目からみると釣り場としても超一級だ。山から流れ込んでくる水量豊富な河口はいかにもスズキがいそうだし、そこから延々広がる人気のない砂浜はまだ誰も手を付けていないポイントだらけに違いない。宿に帰ってキリストにその事を聞いてみると思いもかけぬ答えが帰ってきた。「川にイールがいるよ」「イール?」「ウ・ナ・ギです」

ウナギかあ〜、これはおもしろい。アフリカでカバヤキというのも一興だ。キリストが「私は魚は食べませんが、もしシンゴさんがウナギ捕まえたら食べてみます」と言う。さっそく二人で河原を掘ってミミズを探してみるが見つからず、仕方ないのでとりあえずイワシを買ってその切り身でやってみた。

河口の最高の場所で投げてみると、どうもオモリが泥にくわれているような感触がある。この底の具合ならヒラメ類もいそうな気もする。ポカポカ陽気の眠くなるような午後、あまりにも怪しいキリストと東洋人の二人はあっという間に遠巻きに眺める人の良さそうな黒人に取り囲まれた。なんとか彼等にもいいとこを見せてやろうとガンばったのだが結局ポートセントジョーンズの魚達は僕らに振り向いてくれなかった。宿に帰って今日のエサだったイワシを晩メシに焼いているとキリストが「今日は残念でした。また明日行きましょう」と言ってキャベツの漬物をくれた。fish.gif (239 バイト)

 

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