Welcome 22のツボ 迷言集 Welcome
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途上国を旅してると軍隊や警官などに、何かとんでもない言いがかりをつけられる事がある。

そんな時にどうするか?。大事なのは彼等が「そんな事をするはずがない」という固定観念を捨ることだ。もし変だと思ったら、すぐに従う事はない。びびらないで彼等の言い分が本当かどうかまずは考えて欲しい。とはいっても他国の法律なんて僕らには分からない。じゃどうするか?試してみればいい。僕は海外を走っていて警察に捕まり罰金を請求されたら、まずは理由を聞いてから値切る。もしそれが法的に正当な請求なら値切れる訳がないからだ。ところが実際は案外値切れたりするから面白い。

それじゃ具体例でいってみましょうか。パナマの国道で警官にとめられて『お前は違反したから50ドル払え』と言われた。『何の違反だ』と聞くと『いいから払え』と言う。『イヤだ』というといきなり半額になった。しばらく交渉してると『お前は一体いくらなら払うんだ?』という。1時間後、ついに彼はあきらめた。こんな風に書くと腹立たしいかもしれないが、要するにこれは彼のこずかいなのだ。

でもここで考えて欲しい事がひとつある。今手元にあるデーターで調べてみると5年前のパナマ人の平均年収は25万円、日本とパナマでは国民一人当たりの収入に約14倍の差がある。つまり50ドル(6000円)は彼等にとっての700ドル、(84000円)いや実際はそれ以上かもしれない。さらに言えば世界最貧国の年収はなんと60ドル!日本と630倍の格差だ。例えばこの国で外人から1万円取れば630万円を手に入れたようなものだ。普通の日本人旅行者なら軍や警察ともめるぐらいなら、1万円で済めば安いと思って訴えたりしないだろう?。瞬時に大金を手に出来て、しかもバレない。仮に僕が彼等の立場だとしたら、もっとエゲつない手を考えるだろうし、プライドなんか保てないだろう。そこまで考えると多少の事には目をつぶろうという気になるのである。しかし次元は違ってもこっちも貧乏旅行者だ。無意味なお金は絶対払わん!。そんな駆け引きの中で『ハイ、この人に座布団一枚上げて』と言いたくなる見事なセリフを言ったヤツが何人かいた。

南アフリカの港でバイクの通関をした時だった。税関のインド人業者が、すべての金額を水増し料金にした書類を作ってきた。頭に来たので情報集めて論破してやると『アナタはバイクが無事に届いて嬉しいでしょう。いいじゃないですか、幸せなら』と言った。ウマい!このくらい気のきいたセリフなら許す気になる。

エリトリアからサウジアラビア行きフェリーも凄かった。紅海の真ん中でいきなり船長室に呼び出され『バイクの運賃が今決まった。我々の決めた金額に不満なら、君はここで降りて海の上を走っていってくれ』と言われた。これも映画並の名セリフだ。

アラスカの軍の検問は無茶渋かった。『ここから北極海までは軍の管轄だから通す訳には行かない』と言った軍人に『僕はこれから南米の端まで走る。だから北も行ける所まで行かしてくれ』と頼むと『そうか分かった。俺はお前を見なかった。お前も検問なんて知らなかった。それでいいな。ただしこの先は雪が深い。無理はするな。帰ってきたらコーヒーでも入れてやるよ。じゃあな』すごいでしょ、この渋さ。

また逆に言葉が続かない究極のバカセリフもある。パナマの空港でエクアドルに向けてバイクを空輸した時だった。ヘルメットを持って空港を歩いていたら警官に『お前は昨日スピード違反をしたから逮捕する』と言われて捕まった。ここまで見事にバカだとある意味感動的だ。エクアドル側も負けてはいない。明日着くと言われたバイクが1か月たっても届かないので、同じ問題のスペイン人と空港の苦情処理係に行くと職員は彼は20ドル、僕は2000ドルで解決すると言う。その理由が素晴らしかった。『日本人はお金持ちでしょ、バイク無くなるとお金払うのとどっちがいいですか?』。おいおい、それってお前の本音だろ。そのセリフは凄いけど、全然面白くないぞ。こうしてみると言葉のセンスも文化のひとつだ。やっぱりピリッとしびれるセリフを言って欲しいものだ。

 

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