11のツボ 装備

[HOME]  [海外ツーリングのツホ・インデクス]
[前のツボへ] [後のツボへ]

早いものでMr.坪井シリーズも連載1年目。海外ツーリングのツボと銘打っていながら書いてるうちに毎回バイクネタから脱線ばかり。その反省もこめて今回はバイクのお話です。

先日、僕のTTRレイドのメーターが7万キロになった。まだまだエンジンは全然元気だし10万キロぐらいまで乗りたいと思っている。

レイドは'95年から'96年にかけて僕と一緒にアフリカと中東を走ってきたバイクだ。でも最初アフリカ行きを計画した段階ではこのバイクを買う予定じゃなかった。バイク雑誌を見ている人なら気付いているかもしれないが海外ツーリングの定番はホンダのXLRなのだ。実際海外を走っていて会った日本人ライダーの8割ぐらいはこのバイクを使用していた。

では、なぜXLRが多いのか?というと、まず理由の第一は、過去のいろんなライダーの実績によって耐久性が証明されている事からくる安心感。第二は海外ツーリング使用にするための改造の必要があまりなく、また改造しようと思った時のパーツが市販部品とし手に入るため苦労がないということだ。

じゃなぜその事を知っていて僕がレイドを買ったか?というとただ単にカッコ良かったからだ。しごく単純な理由で申し訳ないが僕はXLRの実用性よりレイドのカッコ良さの方に引かれたのだ。しかしレイドは見かけだけじゃなく海外ツーリングにも改造なしで充分通用する基本性能は備えている。それでは途上国を含めてのツーリングに必要な改造とはなんだろう?

まず考えたいのは、日本のように簡単にガソリンが手に入らない事だ。レイドのタンクは16リットル、アフリカを走るにはかなり怖い。そのため危なそうな所を走る時は10リットルの予備タンを持っていた。しかし、実際5万キロほど走ってガソリンが足らなくて行けなかった場所は、ナミビアのカラハリ砂漠にあるブッシュマンの村一か所だけだった。 千キロ無補給で走れるようなビッグタンクを付けているバイクにも何台か出会ったが、敢えて特殊なルート、例えばサハラをメインルート以外で越えるとかアマゾン横断ダートを走るとか以外ならあんまり必要ないと思う。むしろタンクの重量からくる消耗部品の減りの早さや悪路での取り回しの難しさ、サスペンションの故障とかの方が問題な気がする。

さてその次に来るのが、明るいライトだ。日本には真の真っ暗闇はない。特に町に居ると何も見えないなんて事はありえない。しかし外国ではあるんだんなぁ、これが。真っ暗闇を走るのは危ないばかりじゃなく何ともいえず怖い。特に何百キロも闇の中の直線を一人で走ったりするとその内自分が走っている所がこの世じゃないような狂気に取り付かれたりする。そんな時出会う対向車のライトは、翼よあれがパリの灯だ!って感じだ。

えらく話しが脱線したが、ともかくライトは絶対明るい方がいい!後は荷物がいっぱい積めるようなキャリア、僕のレイドにはカブのキャリアを溶接してつけてある。これはなかなか普段でも便利だ。それからレバーを折らないようにナックルガード、質の悪いガソリンやドロがキャブに直接いかないためのクリーナ、昔チリでマフラーの熱でサイドバックがカチカチ山になった教訓をいかしての熱対策などなどだが、全部足してもそんなに金はかかっていない。

よく僕がバイクの事なら何でも知ってると勘違いしてV型エンジンがどうとか聞いてくる人がいるが前にも言ったけど僕は本当にとんでもないメカオンチなのだ。というよりセンスがないんだろう。昔ヨーロッパで4ストのKLを勝手に2ストと信じて2ストのオイルをずっと入れていた事もあったし、オーストラリアで乗っていたXJは、買ってから一か月シャフトだという事に気付かず、チェーンを点検しようとしてチェーンがないのにア然とした事もあった。 そんな僕でも世界一周できたのだ。これから行ってみようというキミ、迷う事ないぞ。本気なら相談のります。


The Gakushin 1998年6月号

bike2.jpg (11236 バイト)

This Homepage is maintained by Keiko Tsuboikeiko@a.email.ne.jp
©坪井伸吾 このサイトに置かれているすべてのテキスト、画像の無断転載を禁じます