木下黄太氏インタビュー
「放射能防御」と脱原発を巡る、もろもろの事情
Twitterは社会性のない人たちが、いちばん入ってきやすいツール
運営者 そういう困難状態が続く中で、放射能回避側の中でもいろんなことが起きているわけですが、次はこれについてお話しいただきましょう。
木下 放射能回避側の人たち、反原発の人たちが話したときに、「少なくとも反原発の皆さんは社会的な常識を持っていることが多い。ところが放射能回避側の人たちに社会的常識が通じない」と言う話が、私の耳にもよく聞こえてきます。
運営者 それは謙虚に受け止めて、一体どういうことなのか考える必要があると思います。
木下 もちろん、「放射能回避の人はみんなおかしい」というのはロジックとして成立しないのですが、被曝回避という、今の日本では社会的に孤絶しそうなところに敢えて行こうとするような群の人たちの中には、通常よりも多くおかしな人が混じる傾向があるということでしょうね。
決して、全員がそうだと言ってるわけではない事は、お分かりいただけると思いますが。じゃあ問題は、どうしてそういう人たちが混じるのかということですが、元々そういう人には居場所がないんですよ。
運営者 そういう人たちは、自分が受け入れられて、なおかつ目立つことができればいいと思うから、何かそういうことがあればパッとそこに駆けつけるんですよね。今回はそれが福島第一原発爆発という事象であったと。
木下 その人たちは世の中に一定数いるのですが、なかなか自分の想いを発露できる場というのはないんです。
運営者 世の中が平和だとありませんね。
木下 普通はありません。特にツイッターにはそんな人達が沢山いたんだと思います。どうしてかというと、ツイッターは誰か書いているのかある程度まで特定可能なメディアです。匿名だけど、使っている名前で自己顕示可能です。彼らには「自分がやっているということを知ってほしい」という性向がありますから。
それと140字という字数は、日本語のような表意文字では何とか議論できるかもしれないと思わせるようなギリギリのところなので、議論のために使おうと
する人もいるのですが、実際は難しいです。140字では無理だし、そもそも、その人の立ち位置などが全くわからないので議論になりにくいんです。
しかも日本のツイッターは圧倒的に匿名の参加者が多いです。そうすると実名の人間が名無しに言いがかりをつけられて、それに対応するだけのメディアになっちゃってるんです。
運営者 やっていないのでよくわかりませんが、そうなんでしょうね。
木下 しかもそういう変な人が結構多くて、おそらくそういう人は、表面上は一応ちゃんとした社会生活を送っている場合もあるのだろうとは思います。
つまり、実質的に問題を抱えた人たちが、いちばん入ってきやすいツールになっているわけです。140字という字数は、ちゃんとしたことができない人達でも入って来やすいメディアなんです。楽ですから。